大麻の所持で即決裁判

2019-06-28

大麻の所持で即決裁判

福岡県新宮町に住むAさんは、ライブ会場で密売人から大麻を買い、それをポケットの中に入れていたところ、自宅に帰る途中で、福岡県粕屋警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、所持品検査などの結果、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されてしまいました。
Aさんは、購入先については黙秘したものの、好奇心から自分で購入したことを認め反省している様子です。Aさんには前科・前歴はなく、もちろん逮捕されたのは初めてです。接見した弁護人は即決裁判に同意するようAさんに勧めました。
(フィクションです)

~ 即決裁判(手続き) ~

即決裁判とは,一定の事件(即決裁判対象事件)について,事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに,原則,1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。※死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件を除く

即決裁判を受けるメリットとしては,

1 審理は申立て後,原則,14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1,2に関連し,審理当日(判決当日)に釈放され,早期の社会復帰が可能となること

などが挙げられます。

他方,デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが,事実誤認を理由とする控訴はできないこと

などが挙げられます。
Aさんのように事実を認め、かつ、初犯である程度画一的な量刑(初犯の場合は6か月から1年、3年間執行猶予が相場と思われます)が期待できる場合は、デメリットよりもメリットの方が大きいと思われます。

~ 大麻における即決裁判対象事件 ~

即決裁判の対象となる事件は

死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件

です。これからすると大麻では

・栽培罪、輸入罪、輸出罪(7年以下の懲役)
・営利目的栽培、輸入、輸出罪(10年以下の懲役又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金)
所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(5年以下の懲役)
・営利目的所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び300万円以下の罰金)

であるため、一応は全ての罪が即決裁判の対象とはなり得ます。しかし、栽培罪、輸入罪、輸出罪(営利目的も含む)、営利目的所持罪、同譲り受け罪、同譲り渡し罪については、「事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わる」といえない場合が多く、即決裁判にはなじまないのではないかと思います。

* 平成29年に即決裁判に付された人員 *

平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年中に大麻取締法違反で第一審で終局処理までいった人員、「1348人」中「174人」が即決裁判の対象となったとのことでした。

~ 同意の撤回は可能? ~

即決裁判を希望する場合は、その旨の同意をする必要があります(刑事訴訟法350条の16第2項)。検察官から同意書にサインを求められますので、書かれてあること、説明を受けたことに納得してからサインしましょう。また、同意は後で撤回することも可能です(刑事訴訟法350条の22条第1号等)。

* 再起訴の可能性も *

ただし、同意を撤回し、それを受けて検察官により公訴(起訴)を取り消された場合は、再度起訴される可能性もあります。再度起訴されるということは、再び捜査を受けることを意味します。同意を撤回する場合は、通常、否認事件の場合が多いと思いますが、否認事件となった場合は、再捜査・再起訴の余地をの残すことによって、逆に、自白事件についての刑事手続の合理化・迅速化(余計な捜査をしない)を図る狙いがあります。
同意の撤回は、弁護人と相談の上慎重に判断しましょう!

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

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