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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会計を担当していた自治会の口座から金銭を引き出し使い込んだケース)

2025-08-28

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会計を担当していた自治会の口座から金銭を引き出し使い込んだケース)

今回は、会計を担当していた自治会の口座から金銭を引き出し使い込んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:会計を担当していた自治会の口座から金銭を引き出し使い込んだケース

福岡市内の自治会Vで会計を担当していたAさんが自治会から金銭100万円を横領したとして、福岡県警業務上横領の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市内の自治会で会計を担当しており、Vの口座から現金100万円を引き出し使い込んだ疑いが持たれています。
Vの関係者が、Vの口座から不審な出金があったことから警察に被害を相談したことで事件が発覚しました。
警察の調べに対して、Aさんは「ギャンブルで作った借金の返済に充てた」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、AさんはVで会計を担当しており口座を管理し得る立場にあったといえます(「業務上」)。
そして、Vの口座から100万円を引き出して借金の返済に使った行為は「横領」に該当します(①,②)。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談の重要性

業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との示談成立は、検察官の処分や量刑判断などに影響を与えるだけでなく、身柄拘束からの早期解放も期待できます。
このことから、被害者との示談成立はとても重要であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、事件の被害者は、加害者側に対して恐怖や怒りなどから強い処罰感情を有しており、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
もっとも、弁護士であれば、被害者の方に加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じていただけることも少なくありません。
そのため、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とはいえず、交渉は法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として務めていた会社の口座から現金を引き出し着服したケース)

2025-06-18

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として務めていた会社の口座から現金を引き出し着服したケース)

今回は、経理として務めていた会社の口座から現金を引き出し着服したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:経理として務めていた会社の口座から現金を引き出し着服したケース

福岡県警は、福岡市にある会社Vの口座から合計で現金50万円を引き出し着服したとして、経理担当として勤めていたAさんを業務上横領の疑いで現行犯逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、犯行当時、Vに経理として勤めており、Vの口座から複数回にわたって現金50万円を引き出し、着服した疑いが持たれています。
Vが口座からの不審な出金に気づき、警察に被害を相談していました。
そして、警察が捜査をした結果、Aさんの犯行が明らかになったため、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「横領したことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力をいい、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態をいいます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは犯行当時、Vの経理担当として勤めていたため、金銭を管理し得る立場にあったといえます(「業務上」①)。
そして、会社の口座から合計で現金50万円を引き出し着服した行為は「横領」に当たります(②)。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束の回避にむけた弁護活動

業務上横領罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との自由な接触も制限され、捜査機関の取調べにも一人きりで臨まなければならないなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることになります。
しかし、勾留による身柄拘束を回避すれば、そのような負担を被らずに済むかもしれません。
勾留による身柄拘束は、被疑者に勾留の理由と必要性があると検察官が判断した場合、検察官が裁判所に勾留請求します。
検察官の勾留請求を裁判所が認めると、被疑者は勾留されることになり、最長で20日間身柄を身柄拘束されることになります。
もっとも、弁護士であれば、検察官と裁判所に対して、意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
勾留の理由とは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合を言うため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、意見書と一緒に提出することで、被疑者勾留による身柄拘束の回避を目指します。
以上のような弁護活動は、被疑者勾留が決定する前に行う必要があるため、ご家族等が業務上横領罪身柄拘束されてしまったら、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース)

2025-05-01

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース)

今回は、勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:勤務先の口座から自分の口座に金銭を移して引き出したケース

福岡県警は、勤務先の口座から自分の口座に金銭を送金して引き出したとして、同社に経理として勤めていた従業員Aさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市にある会社で経理として勤めていた約1年の間に、複数回にわたって会社の口座から合計約5000万円を自分の口座に送金し、引き出して費消した疑いが持たれています。
別の経理担当の従業員が会社の口座に不審な動きがあることを発見し、会社に報告。
報告を受けた会社が警察に相談し、事件が発覚しました。
その後の聴き取り捜査などを経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「借金の返済やギャンブルに使った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社Vの元経理担当で金銭を管理し得る立場にあったといえます(「業務上」)。
そして、会社の口座から合計で約5000万円を自分の口座に送金した時点でその金銭につき法律上の支配力が及んでいるため占有が認められます(①)。
また、当該金銭を引き出し借金の返済やギャンブルに使った行為は横領に該当します(②)。したがって、上記事例におけるAさんの行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,実刑判決を回避するための弁護活動

業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑のみであり、起訴されて有罪判決を受けると刑務所に服役することになります。
服役することになれば、職場から解雇されることや家族や友人と自由に会えなくなるなど外部との交流を制限されることになり自由な社会生活を大幅に制限されることになります。
しかし、執行猶予付判決を獲得することができれば、刑務所に服役せずに済むため、社会生活への影響を抑えることができます。
執行猶予は、判決によって言い渡される量刑が3年以下であることが条件の1つです。
そのため、量刑を3年以下にする必要がありますが、被害者に対して被害弁償をしているか、被害者の被害感情が緩和されているかなど事情は量刑判断に影響を持ちます。
したがって、被害者との間で示談が成立していることは執行猶予付判決を獲得するうえで非常に重要となるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、業務上横領罪の被害者側は加害者から財産的被害を受けるだけでなく、加害者との間にあった信頼関係も破壊されているといえるため、加害者が直接連絡しても示談交渉に応じてもらえない可能性があります
しかし、弁護士が相手であれば、被害者も示談交渉に応じてもらえることも珍しくなく、また弁護士であれば、示談交渉において加害者が反省していることや被害弁償の意思があることなどを冷静かつ丁寧に伝えることができるため、示談の成立が十分に期待できます。
以上より、示談交渉は当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(取締役を務めていた会社の金銭を自己の口座に送金し横領したケース)

2025-03-22

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(取締役を務めていた会社の金銭を自己の口座に送金し横領したケース)

今回は、取締役を務めていた会社の金銭を自己の口座に送金し横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:取締役を務めていた会社の金銭を自己の口座に送金し横領したケース

福岡県警は、取締役を務めていた会社Vから不正に送金した100万円を着服したとして、Aさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは自身が取締役を務めていた会社から自己の口座に送金した上で引き出していたとのことです。
会社Vの口座を管理する担当者が不正に送金されていることに気付き、警察に相談したことで事件が発覚しました。
その後、聴き取り捜査を経て、Aさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「ギャンブルにつかってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社Vの元取締役で金銭を管理し得る立場にあったといえ(「業務上」)、会社の口座から100万円を自己の口座に送金した時点で当該100万円につき法律上の支配力が及んでいるため占有が認められます(①)。そして、当該金銭を引き出しギャンブルにつかった行為は横領に該当するため(②)、上記事例におけるAさんの行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉の重要性

業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試み、示談成立を目指します。
被害者との間で示談が成立すれば、検察官の処分や裁判になった場合には判決に影響を持ちます。
また、被疑者が身柄を拘束されている場合には、身柄拘束からの解放も期待できます。
そのため、被害者と示談交渉を試み、示談の成立を目指すことは重要な弁護活動であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士で行うこともできます。
しかし、上記の事例のような業務上横領事件では、行為者は被害者の財産などの所有権を侵害するだけでなく、被害者との間の信頼関係を破壊することにもなります。
そのような事情を考慮すると、被害者は加害者側に対して強い処罰感情を有し、当事者同士での示談交渉は上手くいかないこともあり得ます。
以上より、示談交渉は当事者同士で行うよりも、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース)

2025-01-26

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース)

今回は、経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:経理として勤務する会社の口座から現金を引き出し横領したケース

経理として勤務する会社の口座から現金約50万円を引き出し横領したとして、福岡県警中央警察署は、同社従業員のAさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によると、同社の別の従業員が通帳を確認し、被害が発覚。
その後、警察に被害を届け出、警察が捜査を経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「生活に困ってお金を降ろして使ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪刑法第252条第1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条第1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社の経理として勤務しており、会社の金銭を管理する立場にあり、会社の口座から現金を引き出し使い込む行為は横領に該当するため、Aさんが勤務先の口座から現金約50万円を引き出し使い込む行為には業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉の重要性

業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試み、示談成立を目指します。
被害者との間で示談が成立すれば、検察官の処分や裁判になった場合には判決に影響を持ちます。
また、被疑者が身柄を拘束されている場合には、身柄拘束からの解放も期待できます。
そのため、被害者と示談交渉を試み、示談の成立を目指すことは重要な弁護活動であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士で行うこともできます。
しかし、上記の事例のような業務上横領事件では、行為者は被害者の財産などの所有権を侵害するだけでなく、被害者との間の信頼関係を破壊することにもなります。
そのような事情を考慮すると、被害者は加害者側に対して強い処罰感情を有し、当事者同士での示談交渉は上手くいかないこともあり得ます。
以上より、示談交渉は当事者同士で行うよりも、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース)

2024-11-06

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース)

今回は、勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース

福岡県警察中央警察署は、勤務先の口座から現金約2000万円を横領したとして、経理担当のAさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、複数回にわたり、経理担当として勤務していた会社の口座から現金約2000万円を自身の口座に振り込み横領した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法第253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条第1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社の経理担当として勤務しており、会社の金銭を管理する立場にあったといえ、会社の金銭を自分の口座に振り込み横領した行為につき業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,執行猶予付判決の獲得を目指す弁護活動

業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」のみで、執行猶予付判決を得るためには判決によって言い渡される量刑が3年以下であることが必要です。
また、業務上横領罪は被害者が存在する犯罪であり、被害者との間で示談が成立し被害が回復していれば執行猶予付判決を獲得できる可能性は高まります。
そのため、被害者との示談交渉を試みます。
示談と一口に言っても内容は多岐にわたり、事件の解決を当事者同士で約束し将来の民事訴訟を予防することを内容とする単なる示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談などがあります。
被害者の意向を汲みながら加害者にとって最大限有利な内容で示談を成立させるためには、高度な知識や経験が要求されるといえます。
また、事件の当事者同士でも示談交渉を行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い処罰感情を有しており、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
そのため、執行猶予付判決を獲得するための示談交渉は、法律の専門家であり刑事事件に関する高度な知識や経験を有する弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)

2024-10-21

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)

今回は、会社の預金口座から売上金などを横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:会社の預金口座から売上金などを横領したケース

勤め先の預金口座から売上金など合わせて1000万円を横領したとして、那珂川市にある会社の執行役員Aさんが業務上横領の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、執行役員を務めている会社の預金口座からインターネットバンキングを使って、合わせて1000万円を自分の口座に振り込み、横領した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「借金の返済や遊興費に使った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。

以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例で言えば、Aさんは、執行役員を務めており、会社から委託を受けて会社の金銭を管理する事務を反復又は継続的に行う業務者の立場にあり、会社の預金口座からインターネットバンキングを使って合計で1000万円を自分の口座に振り込み、借金の返済や遊興費に使い「横領」しているため、Aさんには業務上横領罪が成立することが考えられます。

2、執行猶予付き判決を求める弁護活動

業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役刑であり、執行猶予付き判決を得るためには、判決により言い渡される刑が3年以下の懲役である必要があります(刑法第25条第1項柱書)。
執行猶予が付かなかった場合、刑務所に服役することになりますが、そうなれば勤め先を解雇になる、被疑者・被告人が学生の場合には退学処分になるなどの不利益が生じることが考えられます。
執行猶予による不利益を回避するためには、被害者との示談を成立させられるかが重要なポイントになります。
もっとも、事件の被害者は、加害者に対して強い怒りや処罰感情を有していることも多く、加害者から直接連絡されることを拒み、示談交渉に応じてもらえない可能性もあります。
しかし、弁護士であれば、被害者に対して、加害者が反省・謝罪の意思を持ち、被害弁償をする意思を有していることなど冷静かつ丁寧に説明することにより、示談交渉に応じてもらい、示談の成立に期待が持てます。
執行猶予を獲得するためにも、示談交渉は法律の専門家であり交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県那珂川市内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは

2024-09-30

【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは

今回は、アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったという架空の事例に基づき、成立する可能性がある犯罪について解説致します。

事例:アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったケース

福岡市にある飲食店にアルバイトとして勤務していたAさんは、勤務中にお店のレジから現金5万円を持ち帰ったとして、逮捕されました。
レジ締め作業中に5万円の差額が出たことで不審に思った被害店舗関係者が防犯カメラの映像を見返すと、Aさんが現金を取り出してポケットに入れる瞬間が映っていたことから、警察に被害届を提出し、Aさんは逮捕されるに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「自分がやったことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,成立し得る犯罪について

上記の事例では、Aさんにはいかなる犯罪が成立することが考えられるでしょうか。
お店の現金を持ち帰るという行為は、刑法窃盗罪刑法第235条)もしくは業務上横領罪刑法第253条)に該当することが考えられます。

〈窃盗罪〉

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します。
他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。

〈業務上横領罪〉

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、通常の横領罪刑法第252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。

まとめると、窃盗罪は他人の占有を侵害する犯罪で、業務上横領罪は他人の所有権を侵害する犯罪であると言えます。
そのため、両罪は、占有が誰に認められるかにより区別されると言えます。
上記の事例を参考にすると、レジ内の現金の占有がお店に認められるなら、Aさんはお店の意思に反してお店の占有を排除してレジ金の占有を自分に移しており「窃取」しているといえるため、窃盗罪が成立し得ます。
一方で、レジ内の現金の占有がAさんに認められるならば、Aさんは業務としてお店のレジ金を占有していたことになり、レジ金を持ち帰るという行為は横領といえるため、業務上横領罪が成立し得ます。
雇用関係などにより上下関係がある場合、下位にある者が財物を管理していたとしても、その財物の占有は上位の者に認められ、下位の者は占有を補助する者に過ぎません。
上記の事例で言えば、Aさんはただのアルバイトで上位の者(例えば、お店のオーナー、雇用主など)の占有を補助する者に過ぎないということになります。
そのため、Aさんの、レジ金の占有者であるお店のオーナーの占有を、占有者の意思に反して自分の占有に移した行為は、「窃取」に該当するため、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
なお、Aさんがただのアルバイトではなく、そのお店の店長であった等の事情があれば、Aさんとオーナーとの間には高度の信頼関係が存在し、Aさんにはレジ金についてある程度の処分権が委ねられているといえるため、レジ金を持ち帰るという行為に業務上横領罪が成立する余地はあると言えます。

2,まずは弁護士に相談を

窃盗罪業務上横領罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を行うことが身柄拘束からの解放や不起訴処分を獲得するうえで肝要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い処罰感情を有しており、交渉に応じてもらえないことも考えられます。
しかし、弁護士が間に入れば、加害者が反省・謝罪の意思を有していることや被害の弁償等を行う意思があることなどを冷静かつ丁寧に被害者に説明することができ、交渉に応じていただける期待が十分に持てます。
そのため、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、逮捕・勾留などにより身柄を拘束されてしまった方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース)

2024-07-26

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース)

今回は、コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げして逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース

福岡県北九州市のコンビニエンスストアの売上金約100万円を持ち逃げしたとして、業務上横領の疑いで、元店長のAさんが逮捕されました。
Aさんは、福岡県北九州市内のコンビニエンスストアに店長として勤務していた店の売上金約100万円を持ち逃げした疑いが持たれていて、福岡県警察小倉北警察署業務上横領の容疑で逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「金額は正確には覚えていないが、お金を持ち逃げしたことに間違いはありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例ですと、Aさんはコンビニエンスストアに店長として勤務しており、店のオーナーから委託を受けて店の売上金を保管・管理する事務を行う者であり、業務者に該当します。
そのため、Aさんが店の売上金約100万円を持ち逃げする行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談成立に向けた弁護活動

業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そのため、弁護士は被害者との示談交渉を試み、示談の成立に向けた活動を行います。
示談にも様々な種類があり、単に当事者間で事件が解決したと約束するものや、加害者が被害者に対して被害の弁償を行うことで、宥恕(加害者の刑事処罰を望まないこと)付き示談や、刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談があります。
被害者との示談を成立させる場合、宥恕付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談を成立させることが望ましいといえます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での示談交渉は拗れて上手くいかないことも考えられます。
また、被害者がスーパーやコンビニエンスストア、書店などの場合は、そもそも示談を拒否しているところが多く、当事者同士では示談交渉すらできないこともあります。
しかし、弁護士が粘り強く交渉すれば、示談交渉に応じていただけることもあるため、示談の成立が期待できます。
そのため、示談交渉交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県北九州市内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

2024-04-14

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

今回は、事務局担当者として経理事務と金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:事務局担当者として経理事務や金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したケース

松阪署は4日、業務上横領の疑いで明和町、同町職員Aさんを逮捕した。
逮捕容疑は多気郡町村会の令和4年度事務局担当者として町村会経理事務と金銭出納などの業務に従事していた同5年2月28日、同町の金融機関で2回にわたり同事務局口座から払い出した現金合計約63万円を横領した疑い。
Aさんは「私はやっていない」と否認している。
同署によると、令和5年4月の人事異動で新しい担当者が事務を引き継いだ時、使途不明金が見つかったため、同町が同署に同年7月下旬から8月上旬にかけて相談し、10月上旬に告訴、受理された。
同町長職務代理者の下村由美子副町長は「多くの皆さまにご迷惑をおかけしたことをおわびいたします」「捜査に全面協力しますとともに、厳正に対処する」とコメントを出した。
伊勢新聞 3/5(火) 8:00配信のニュース記事を一部変更し引用しています。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」(刑法253条

業務上横領罪は、通常の横領罪刑法252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
また、他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずして開始した場合、その物は誰の占有にも属していないか偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。

2,業務上横領罪で逮捕・勾留による身柄拘束を受けた場合における弁護活動

業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間 、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
その後、検察官によって起訴されるか否かが判断され、起訴されてしまった場合には公判が開かれることになります。
窃盗罪などの他の財産犯に比べて、業務上横領罪未遂犯を処罰する規定が存在しないため、業務上横領罪に当たる行為を行った時点で結果が発生していなくとも既遂となります。
未遂犯は既遂犯に比べて刑罰を減軽される可能性がありますが(刑法43条本文)、業務上横領罪はすべて既遂として処罰されることになります。
また、横領行為は信頼して預けていた財物に手を出すという信頼を失墜させる行為であること、「業務上」という反復継続して行う立場でありながら犯行に及んだという点で非難の度合いが高く、起訴されてしまった場合には実刑判決を受ける可能性が高いと言えます。
業務上横領罪の刑罰は10年以下の懲役刑のみであるところ、執行猶予付き判決を獲得するためには、判決によって言い渡される刑罰が懲役又は禁錮3年以下である必要があります(刑法25条柱書)。
そのため、業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、それに引き続いて起訴されてしまった場合いは、弁護士による迅速なサポートを受けることが重要となります。
まず、勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者・被告人に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そこで、弁護士はそれらの事情を否定し得る客観的な事情や証拠を収集する活動を通じて早期の身柄解放を行います。
具体的な活動の一例としては、被疑者・被告人の家族や親族に働きかけて身元引受人となってもらい、被疑者・被告人の裁判所や捜査機関への出頭の機会を確保することができれば、逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となり、早期の身柄解放が期待できます。

次に、業務上横領罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
そのため、弁護士が被疑者・被告人に代わって被害者との示談交渉を行い、示談の成立に向けた活動を行います。
示談と一口に言っても内容は種々様々で、加害者側にだけ都合のいい内容で示談交渉を進めると交渉が拗れてしまい、示談が成立する可能性は低くなります。
そのため、被害者側の意向をくみ取りつつ、宥恕条項(加害者側の謝罪を受け入れて、加害者の刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴取消といった約定を入れた内容で示談交渉を進める必要があります。
また、身柄を拘束されている事件では、逮捕から起訴までの間 に示談を成立させることができれば、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され早期の身柄拘束が、起訴猶予による不起訴処分の獲得がそれぞれ期待できます。
そのため、身柄を拘束されてしまった場合には、短い期間で示談交渉を行い必要があるため、速やかな示談交渉が必要不可欠となります。
もし起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まるため、示談交渉の成立に向けた弁護活動が重要であることに変わりはありません。
以上より、業務上横領罪など逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがとても重要と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となってしまった方、もしくは家族・親族が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事弁護の経験・実績が豊富で刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、業務上横領罪で在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が当事者となってしまった方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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