【事例解説】傷害罪とその弁護活動(飲食店で知人と口論になり、馬乗りになって顔を複数回平手打ちしてケガさせたケース)
今回は、飲食店で知人と口論になり、馬乗りになって顔を複数回平手打ちしてケガさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:飲食店で知人と口論になり、馬乗りになって顔を複数回平手打ちしてケガさせたケース
福岡県警は、福岡市にある飲食店にて、知人男性Vさんに対し顔を平手打ちするなどの暴行を加えケガさせたとして、会社員Aさんを傷害の疑いで現行犯逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、飲食店で酒を飲んでいるときに、たまたま居合わせたVさんを見つけました。
その後、一緒に飲食することになりましたが、その後、口論になり、激高したAさんがVさんを押し倒して、馬乗りになり顔を複数回平手打ちしたとのことです。
店の関係者が「お客さん同士が喧嘩している」との110番通報をし、事件が発覚。
駆け付けた警察官によりAさんはその場で逮捕されました。
Vさんは押し倒された際に後頭部を強く打ちつけ、急性硬膜下血腫と診断されました。
警察の調べに対して、Aさんは「酒を飲んで暴力をふるってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について
〈傷害罪〉(刑法第204条)
人の身体を傷害した者は、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
刑法の傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
「傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させたりすることなども「傷害」に該当します。
「傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんを押し倒して馬乗りになり、顔を複数回平手打ちにする暴行を加えています。
そして、Vさんは急性硬膜下血腫と診断されていますが、これは、Aさんに押し倒された際に後頭部を強く打ちつけたことに起因するため、Aさんの暴行によりVさんの身体に「傷害」の結果が発生したといえます。
以上より、上記事例のAさんには傷害罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束からの解放に向けた弁護活動
傷害罪で逮捕・勾留されると、23日間、身柄拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
身柄拘束期間中、被疑者は生活を監視・規制される環境に身を置くことになり、家族や友人など外部との接触も制限され、一人きりで捜査機関の取り調べに臨まなくてはなりません。
また、被疑者勾留による身柄拘束が長引けば、職場への出勤や学校への投稿などができなくなり、その結果、職場からの解雇や学校が不審に思い調べることで犯罪の被疑者として捜査されていることが学校側に発覚して停学や退学などの重い処分を下される可能性もあります。
以上から、身柄拘束により被疑者が被る精神的・身体的な不利益は多大なものになると考えられます。
しかし、できるだけ早くに被疑者の身柄を解放することで、そのような不利益を回避することができるかもしれません。
被疑者勾留による身柄拘束は、被疑者が住居不定の場合や、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことで、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
例えば、上記の事例において、Aさんの家族や親族がAさんの身元引き受けを行うことで、Aさんの捜査機関や裁判所への出頭の機会を約束する旨の書面があることは、Aさんの逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となり得ます。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
少しでも早く身柄拘束をに対応するのであれば、なるべく早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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