1.無免許運転・スピード違反
無免許運転については、道路交通法第64条に「何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで……、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」と規定されています。
そして、違反した場合には「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」(道路交通法117条の2の2第2号)と規定されています。
また、無免許運転をしていて、人身事故を起こしてしまった場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条により、過失であっても、「10年以下の懲役に処する。」とされます。
詳しくは ~ 人身事故・死亡事故 ~へ
スピード違反については、同法第22条1項に、「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。」と規定されています。
そして、罰則については、同法第118条1項1号に、「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
2.交通反則通告制度
(1)交通反則通告制度の意味
交通違反事件はあまりにも数が多いため、すべてを裁判所で処理することは不可能です。
そこで、道路交通法違反事件のうち程度が軽く危険性が少ないものについては、反則金を納付すれば刑事事件として取り扱わないという制度が設けられており、「交通反則通告制度」といいます。
もっとも、警察の処分に納得のいかない方は、反則金を納付しないことによって刑事事件として裁判において争うことが可能です。
ただし、裁判で有罪となれば前科がつきます。一方で、反則金を納めれば刑事処分ではないため前科が付きませんので、いずれを選択するか慎重に判断すべきです。
交通反則通告制度として終わらせることができるものとしては、明白かつ定型的な違反行為である一時不停止、速度超過(一般道路:30キロ未満、高速自動車国道等:40キロ未満)等を挙げることができます。
(2)交通反則通告制度のメリットとデメリット
①メリット
簡易・迅速な手続きであり、反則金を支払うことによって手続きから解放され「前科が付かないこと」が最大のメリットです。
②デメリット
警察の処分に不服がある場合にも、柔軟な対応ができません。
不服がある場合には、反則金の支払いを拒否し、通常の刑事手続き(少年の場合は審判手続き)で争う必要があります。
もっとも、裁判で言い分が認められなければ前科がつきますので反則制度の居品管しては慎重さが要求されます。
(3)交通反則通告制度の射程
以下の事案では、交通反則通告制度は適用されません。
①スピード違反のうち超過速度が時速30km以上(高速道路では時速40㎞以上)
②無免許運転・無資格運転
③酒酔い運転・酒気帯び運転・過労運転等・麻薬等運転
④人身事故
上記場合には、簡易迅速な反則通告制度の処理になじまないからです。
3.無免許運転の法定刑
(1)無免許運転
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2)
(2)無免許運転をして人身事故を起こした場合
自動車運転死傷行為処罰法により、無免許運転により人身事故を起こした場合には刑が加重されています。
詳しくは ~人身事故・死亡事故~ へ
① 危険運転致死傷罪
(死亡)1年以上の有期懲役(最高20年) (無免許以外も同様)
(負傷)6月以上の有期懲役(最高20年) (無免許以外は15年以下の懲役)
② 準危険運転致死傷罪
(死亡)6月以上の有期懲役(最高20年) (無免許以外は15年以下の懲役)
(負傷)15年以下の有期懲役 (無免許以外は12年以下の懲役)
③ 発覚免脱罪
15年以下の有期懲役 (無免許以外は12年以下の懲役)
④ 過失運転致死傷罪
10年以下の有期懲役(無免許以外は7年以下の懲役、禁錮又は100万円以下の罰金)
4.無免許運転を助長する者の罪
近時、「無免許運転をするおそれがある者に対して自動車やバイクを提供する行為」(車両提供罪)、「無免許の人に運転を要求若しくは依頼して同乗する行為」(要求・依頼同乗罪)が処罰の対象として新たに追加されました。
車両提供罪は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2の2第2号)、一方、要求・依頼同乗罪は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」(道路交通法第117条の3の2第1号)が科されます。
~無免許運転・スピード違反における弁護活動~
1 有利な処分を獲得
起訴猶予による不起訴処分又は略式裁判(罰金を支払うことにより手続きから解放される制度)になるよう弁護活動を行います。
具体的には、違反行為の態様、経緯や動機、回数や頻度、交通違反歴などを慎重に検討して、酌むべき事情があれば警察や検察などの捜査機関に対して主張していきます。
また、無免許運転・スピード違反の再犯防止のための具体的な取り組みや環境作りが出来ていることを客観的な証拠に基づいて主張することも重要です。
2 情状弁護
無免許運転・スピード違反で正式裁判になった場合でも、裁判所に対して、上記1のような主張・立証をすることで、減刑又は執行猶予付き判決を目指した弁護活動を行います。
3 身柄拘束解放活動
無免許運転・スピード違反で逮捕・勾留されてしまった場合には、事案に応じて、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。
4 不起訴処分又は無罪判決獲得
身に覚えがないにも関わらず、無免許運転やスピード違反による道路交通法違反の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張する必要があります。
速度測定器の誤作動、整備不良、設置・操作上のミスを指摘することで、無免許運転・スピード違反を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。
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