【万引き】逮捕から勾留前に釈放~福岡県太宰府市
福岡県太宰府市に住む会社員のAさんは、同市内にあるスーパーで万引きしたとして福岡県筑紫野警察署に窃盗罪で逮捕されました。Aさんは、逮捕後、筑紫野警察署内の留置施設に収容され、警察官の「弁解録取」を受けました。その後、Aさんは検察庁へ送致(送検)され、検察官の「弁解録取」を受けましたが、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断され釈放されました。逮捕の通知を受けたAさんの妻が弁護士にAさんとの接見を依頼。依頼を受け正式に弁護活動を始めた弁護士が、検察官に釈放に向けて働きかけを行ったことが釈放の要因となったようです。
(フィクションです。)
~ 万引きと窃盗罪 ~
刑法犯の中で万引きの認知、検挙件数が多いのは以前から変わりはありません。
つまり、万引きは比較的犯しやすい犯罪ともいえそうです。
しかし、万引きは刑法の窃盗罪(刑法235条)に当たる犯罪です。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
認知、検挙されるとAさんのように逮捕されることももちろんあります。
万引きだからとって軽く考えてはいけません。
~ 勾留前に釈放されることがある ~
では、逮捕後はどのような流れを辿るのかみていきましょう。
逮捕後は概ね以下の流れを辿ります。
「逮捕」→警察の留置施設に収容→警察官の「弁解録取」→留置→検察官送検→検察庁での弁解録取→検察官の勾留請求→裁判官の勾留質問→裁判官の勾留決定
「逮捕」から「裁判官の勾留決定」までは概ね2日間を要します(送致の翌日に勾留が決定した場合は3日間)。
裁判官が勾留決定すれば、勾留状に記載された留置施設に収容されます(通常は逮捕直後に収容された留置施設を指定されます)。
期間は10日間で、その後「やむを得ない事由」がある場合は期間を延長されることもあります。
ただ、「逮捕」から「裁判官の勾留決定」までに釈放されることがあります。
そもそも身柄を拘束される大きな理由は、被疑者に
①罪証隠滅のおそれ
②逃亡のおそれ
が認められるからです。
そこで、こうしたおそれがないと判断された場合は、法律上「釈放しなければならない」とされているのです。
勾留前の釈放権限を持つのは、弁護士でも裁判官でもなく警察官、検察官です。
ただ、警察官、検察官は罪を追求する側ですから、上記①、②のチャックがどうしても甘くなってしまうことがあります。
違法、不当逮捕事案が発生しているのも事実です。
そこで、警察官や検察官により適切な判断をしていただくため、弁護士が警察官や検察官に働きかけを行う必要性が生じます。
本件は、弁護士が検察官に働きかけを行った結果、釈放が実現されたケースでした。
ただ、それでも釈放が実現できないことがあります。
そうした場合に備えて、弁護士は裁判官にも働きかけを行います。
具体的には、勾留裁判に対する意見書を提出したり、場合によっては直接裁判官と面談するなどします。
~ 釈放されても安心できない ~
こうした働きかけによって、無事に釈放されててもそれで事件が終わりというわけではありません。
勾留される前に釈放された場合、私選で弁護人を選任しなければ、釈放後の弁護活動を受けることはできません(国選の弁護人は選任されません)。
にもかかわず、捜査の手が緩められることはありません。
釈放された反動から、反対に取調べが厳しくなることも予想されます。
取調べ対応や被害者への被害弁償、示談交渉をお望みの場合は私選の弁護士に弁護活動を依頼しましょう。
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