万引きと微罪処分② 福岡県太宰府市での万引きに刑事弁護士が対応
~ 前回(平成30年11月14日付ブログの続き) ~
前回は微罪処分とは何か,微罪処分の対象事件,対象となり得る基準についてご説明し,万引きなどの窃盗罪は対象事件ではありますが,被害額が2万円以下であることなどが基準となることをご説明いたしました。本日は,万引きなどの微罪処分は誰が決めるのか,その後の手続はどのように進んでいくのかについてご説明いたします。
(フィクションです)
~ 微罪処分は警察が決める ~
微罪処分を決するのは検察庁や裁判所でもなく警察です。警察の犯罪捜査に関する規範について定めた犯罪捜査規範198条には次のようにかかれています。
捜査した事件について,犯罪事実が極めて軽微であり,かつ検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては,送致しないことができる
ただし,警察の自由裁量で何から何まで微罪処分にできるものではありません。犯罪事実が軽微であり,検察官から送致の手続きをとる必要がないとあらかじめ指定されたもの,である必要があるのです。検察官からどういう事件が指定されているかについては前回のブログでご説明いたしました。
~ 微罪処分とした場合の流れ,手続き ~
では,警察がある万引き事件を微罪処分としたとしましょう。その後はどのような流れ,手続きになるのでしょうか?この点,まず,犯罪捜査規範200条をみると,微罪処分により事件を送致しない場合は次の処置を取るものとされています。
1号 被疑者に対し,厳重に訓戒を加えて,将来を戒めること
2号 親権者,雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し,将来の監督につき必要な注意を与えて,その請書を微すること
3号 被疑者に対し,被害者に対する被害の回復,謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと
これからすれば,微罪処分となったとしても,少なくとも1回は警察署まで出頭する必要があるでしょう。また,同時に被疑者を監督すべき方も同様です。
そして,警察は,これらの処置が終わると,被疑者の氏名,年令,職業及び住居,罪名並びに犯罪事実の要旨(以下,氏名等といいます)を記載した微罪処分事件報告書によって,検察官に事件の報告をします(犯罪捜査規範199条)。報告書1枚につき4,5名ほど,同じように微罪処分となった方の氏名等が記載されています。この報告の手続は刑事訴訟法246条本文にかかれてある「事件の送致」ではありませんから,この報告書に証拠書類や証拠物は付けられていません。また,「事件が送致」された場合と異なり,検察庁から呼び出しを受けることはありません。要は,警察署で警察官から厳しい御咎めを受けて終わりということになります。
万引きで微罪処分なら刑事事件の弁護士へお任せください。次回の「万引きと微罪処分③」では,微罪処分となった場合の効果,メリットについてご説明いたします。