恐喝罪と脅迫罪との違い
恐喝罪と脅迫罪との違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県豊前市に住むAさんは、元交際相手だった知人Vに「お前、旦那に前科があること隠し取るやろ?」「ばらされたくなければ口止め料として100万円払いな」などというメールを送り、Vさんから自己の口座に100万円の振り込みを受けました。そうしたところ、Aさんは福岡県豊前警察署に恐喝罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 恐喝罪 ~
恐喝罪は刑法249条に規定されています。
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
「恐喝」とは,財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが,恐喝罪の場合,一般的に脅迫行為(害悪の告知)が行われることが多いと思われます。
害悪の告知の「程度」は、
相手方の反抗を抑圧するに至らない程度
のもの、すなわち、
相手方に畏怖あるいは困惑、不安の念を生ぜしめるに足る程度
のものが必要とされています。
害悪の告知の「内容」は、相手方またはそれと密接な連帯感情にある者の
生命、身体、自由、財産に対する危害(生命に対する危害:「殺すぞ。」など、身体に対する危害:「殴るぞ。」など、自由に対する危害:「行動を見張っているぞ。」など、財産に対する危害:「車を焼くぞ。」など)
であることが通常ですが、これに限らず、
・相手方の名誉(「過去の不倫をネットに載せるぞ。」など)
・家庭の平和(本件)
などに対する危害も含まれるとされています。
害悪の告知の「方法」は、
言語、挙動、動作を問われませんし、明示、黙示をも問わず、自己の性行、経歴、地位、勢威を利用して財物の交付を要求し、これに応じなければ不当な不利益が加えられる危険があるとの危惧の念を生じさせる害悪の暗示でもよいとされています。
~ 脅迫罪との違い ~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
刑法222条
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
恐喝罪と脅迫罪の一番大きな違いは、相手に
財産的被害を生じさせたか否か
という点です。生じさせた場合が「恐喝罪」、生じさせなかった場合は「脅迫罪」です(ただし、恐喝の意図で生じさせなかった場合は「恐喝未遂罪」です)。
また、
・害悪の告知の「相手」が、恐喝罪の場合限られない、のに対し、脅迫罪の場合「被害者」及び「その親族」に限られる
・害悪の告知の「内容」が、恐喝罪の場合限られない、のに対し、脅迫罪の場合、生命、身体、自由、名誉又は財産に限られる
などといった違いがあります。
~ 恐喝罪で逮捕され、示談交渉をお望みであれば? ~
恐喝罪で逮捕され、相手方との示談交渉をお望みであれば、弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
弁護士を間に入れない示談交渉は、感情の縺れなどから進展は望めません。
仮に示談交渉を進めることができれば、その進展具合によっては早期釈放される可能性が高くなりますし、示談を成立させることができれば相手方が被害届を取り下げてくれる可能性が高くなりますから、その場合は釈放されることとなるでしょう。また、この場合、刑事処分としては不起訴処分を獲得することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。