高齢ドライバーの方へ~悲惨な交通事故回避に向けて~

高齢ドライバーの方へ~悲惨な交通事故回避に向けて~

先日、東京池袋において、87歳の高齢ドライバーが車を運転中に暴走し、12人を死傷させる大事故を起こしたことはテレビ等でご覧になってご存知かと思います。その中には3歳の子どももおられました。そして、妻とその3歳の娘とを亡くしてしまった夫は妻と娘さんの写真を公開し、そのことが大きな反響を呼んでいます。夫は、「この数日間、何度もこの先、生きていく意味があるのか自問自答しました。」「しかし、同時に今回の事故での妻と娘のような被害者と私のような悲しむ遺族を今後、絶対に出してはいけないとも思いました。」との思いから写真を公開したとのことです。今回は、高齢ドライバー交通事故についてご紹介したいと思います。

~ そもそも高齢ドライバーとは何歳から? ~

高齢ドライバーについての明確な定義があるわけであはりませんが、警察庁の高齢者に関する交通事故の統計によれば、65歳以上を「高齢ドライバー」としているようです。しかし、以下でみるように、それぞれ対象となる年齢が異なりますから、この機会にしっかり確認してください。

* 高齢者マーク(高齢運転者標識)の使用は70歳以上から *

高齢者マークの使用は70歳以上からです。ただし、これはあくまで努力義務であり、使用していないからといって罰則はありません。

* 高齢者講習は70歳以上、認知機能検査は75歳以上 *

高齢者講習は、更新期間が満了する日などにおける年齢が70歳以上の方が、免許更新時に受けなければならない講習です。75歳以上の方は、この高齢者講習に加え、認知機能検査も受けなければなりません。認知機能検査は、更新期間が満了する日などにおける年齢が75歳以上の方が、免許更新時に受けなければならない講習です。いずれの場合も講習を受けなければ、免許を更新することができません。

対象となる方には、免許期間満了日の6か月前に「案内はがき」が郵送されますから、はがきが届いたら、すぐに講習の予約の手続をしてください!

~ 高齢ドライバーが起こす死亡事故の件数は多い ~

2018年の交通死亡事故の発生件数は、2008年と比べると、すべての年代のドライバーで減少しています。また、年代別にみると、20~74歳で免許保有人口10万人あたり3~4件であるのに対し、75~79歳で6.2件、80~84歳で9.2件、85歳以上で16.3件と、75歳以上の高年齢で多くなっています(警察庁「平成30(2018)年における交通死亡事故の特徴等について」)。

高齢者は加齢により、動体視力の低下や複数の情報を同時に処理することが苦手になったり、瞬時に判断する力が低下したりするなどの身体機能の変化により,ハンドルやブレーキ操作に遅れが出ることがあるなどの特性があると言われています。
また、加齢に伴う認知機能の低下も懸念されており,警察庁によれば,平成28年に運転免許証の更新の際に認知機能検査を受けた75歳以上の高齢者約166万人のうち約5.1万人は認知機能が低下し認知症の恐れがある第1分類と判定されているとのことです。

* 第1分類 *

上記でご紹介した「認知機能検査」の結果、「認知症のおそれ」【第1分類】と判定されると「医師の診断」を受ける必要があり、その結果、「認知症」と診断されたときは、運転免許証の「取消し」又は「停止処分」を受けます。

~ 交通事故を起こしたら刑事責任、民事責任を負う ~

交通事故を起こしたら、年齢にかかわらず刑事・民事の責任を負う可能性が出てきます。
一般の刑事事件では、過失運転致傷罪、過失運転致死罪の罪名が適用されることが多く、その場合

7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

に処せられる(処罰される)可能性があります。
また、民事責任の場合、任意保険に加入していれば、その多くは保険で賄われることと思いますが、自賠責保険のみしか加入していなかった場合は賄いきれなかった損害は全て事故負担となります。

~ 可能な限り自主返納を ~

池袋の事件のように悲惨な事故を起こさせない、また、自らも大きな負担(刑事責任、民事責任)を負わせないためにも、国は運転免許証の自主返納を推奨しています。しかし、地域によっては、車がないと日常生活に支障をきたす場所もあるようで、なかなか自主返納が進んでいないのが現状のようです。なお、警視庁の発表によりますと、自主返納率(免許保有人口あたり)トップの都道府県は「東京都」の8.0%で、最下位は「茨城県」の3.7%でした。「福岡県」は20位の5.1%で、意外にも「佐賀県」は福岡県より上の14位で5.3%でした。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。万が一交通事故を起こし困っているという方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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