危険運転致傷事件で逮捕されてしまった場合における弁護活動などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
Aは、進行中の道路上が滑りやすい状態であると認識しつつ、制限速度を大幅に超える速度で自車を走行させていた。
しかし、Aはカーブを曲がり切れず、ガードレールに衝突し同乗者Vに怪我を負わせた。
博多警察署の警察官は、Aを危険運転致傷の疑いで逮捕した。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです)。
~危険運転致死傷罪とその類型~
本件でAは、危険運転致傷の罪によって逮捕されてしまっています。
被害者の死傷を伴う交通犯罪については、2015年に自動車運転死傷行為処罰法が制定され、同法によって処罰されることになりました。
同法は、道路交通法や刑法などと比べると、あまり耳馴染みのない法律かもしれません。
そこで、本稿では、同法が規定する「危険運転致死傷罪」にフォーカスし、同罪の諸類型について見ていくことにします。
自動車運転死傷行為処罰法は、2条において「次に掲げる行為を行い」「よって、人を負傷させた者」を、危険運転致死傷罪として処罰する旨を規定しています。
ここにいう「次に掲げる行為」とは、同条1号~6号によって規定されている6つの危険運転行為を指します。
まず1号は、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」を、危険運転行為として規定しています。
これは、一読して分かるとおり、いわゆる飲酒運転等を重く処罰する趣旨の規定といえます。
次に2号は、「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」を規定しています。
「高速度」とは、速度が速すぎるため自車を進路に沿って走行させることが困難な速度をいい、これに当たるかどうかは道路状況や車両の構造等に照らして判断されることになります。
3号は、「その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」を規定し、ここにいう「技能」とは、初歩的な技能を有しないことをいい、免許の有無は問われません。
4号では、「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近……する行為」を規定しています。
典型的には割り込みや幅寄せ行為がこれに該当することになりますが、これに加えて「通行を妨害」する意図があることまでが必要とされる点に注意が必要です。
5号は、「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し」た場合を、危険運転行為と規定しています。
赤色信号との確定的な認識までは必要なく、信号に従う意思がない場合にはこれに該当するとされています。
最後に6号は、「通行禁止道路」を進行する行為、つまり、歩行者専用道路の走行や高速道路の逆送行為等を危険運転行為として、重く処罰する趣旨の規定になります。
なお、4~6号に関しては上記それぞれの行為に当たることを前提に、「重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」を処罰する規定であることに注意が必要です。
~危険運転致傷事件における弁護活動~
本件事例は、このうち2号の危険運転行為に該当するものと考えられることから、いち早く弁護士に相談することが重要です。
危険運転行為に該当し、危険運転致死傷罪が問われる場合には、重い処分が下される可能性があることに十分に注意しなければなりません。
交通事件だからといって、甘い見通しを持つことは禁物です。
本件のように逮捕されてしまっている場合には、勾留される可能性にも留意した弁護活動を行っていく必要があるでしょう。
また、交通事件でも被害者対応が極めて重要になってくることから、この点に関して十分に経験を積んだ弁護士に依頼するメリットは大きいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致傷事件を含む交通事件などの刑事事件を専門とする法律事務所です。
危険運転致傷事件で逮捕された方のご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。