人工妊娠中絶が業務上堕胎罪に? 福岡県の刑事事件に強い弁護士が解説

2018-02-27

人工妊娠中絶が業務上堕胎罪に? 福岡県の刑事事件に強い弁護士が解説

医師であるAさんは、妊娠9か月のBさん(22歳・女性)の依頼を受け、堕胎手術を行いました。
これにより胎児Vが排出されましたが、この時Vは生命機能を有していたため、やむなくAさんはVを窒息死させました。
Aさんの行為は業務上堕胎罪にあたるでしょうか。
(大判大正11年11月28日刑集1巻705頁の事案を基に作成)

《 業務上堕胎罪 》

医師や医薬品販売者が女子の依頼・承諾を受けて堕胎させた場合には、刑法第214条の業務上堕胎罪が成立します。
堕胎とは、胎児を母体内で殺すか、または、自然の分娩期に先立って人工的に胎児を母体から分離・排出することをいいます。
上の事案の医師Aさんは、人工的に胎児VをBさんから排出したとして、業務上堕胎罪にあたるでしょうか。

《 母体保護法 》

人工妊娠中絶は、人工的に胎児を母体外に排出するものであるため、医師による人工妊娠中絶も業務上堕胎罪にあたるようにも思えます。
とはいえ、母体の健康等の理由から、一定の要件のもとで人工妊娠中絶を認める必要があります。
そこで、母体保護法という法律が、その要件について定めています。
母体保護法によれば、
①妊娠の継続や分娩が身体的・経済的理由により母体の健康を著しくおそれのある場合、または、強姦等による妊娠の場合であること
②胎児が受胎後満22週未満であること
③医師会の指定する医師(=指定医師)が本人及び配偶者の同意を得て行うこと(配偶者が不明の場合や死亡した場合等には本人の同意のみで可)
の要件を満たす場合には、人工妊娠中絶を許容しています。

上の事案では、Bさんは妊娠9か月であり、②の要件を満たさないことになります。
したがって、Aさんの行為は適法な人工妊娠中絶とはいえず、業務上堕胎罪にあたることになります。

なお、Aさんは排出されたVを窒息死させています。
これについて殺人罪が成立するかという問題がありますが、これについては次回検討します。

業務上堕胎罪が成立した場合、3月以上5年以下の懲役が科せられる場合があります。
福岡県で業務上堕胎罪でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
(初回法律相談:無料)

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