福岡県における盗撮行為の規制
福岡県における盗撮行為の規制について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
会社員のAさんは、西鉄天神駅の構内で、特急列車を待っていた前の女性Vさんのスカート内に小型カメラを差し入れたところ、ちょうどその場面を目撃していた男性Wさんから「何にをしているんですか。」などと声をかけられてしまいました。Aさんは、まさか声をかけられるとは思わず、びっくりしてその場から逃走したところ、追いかけてきたWさんに追いつかれてしまいました。そして、Aさんは、駆け付けた駅員や警察官から事情を聴かれました。Aさんは、警察官に小型カメラを提出し、警察官と一緒に映像を確認しましたが、画面は真っ暗で、女性の下着や身体は映っていませんでした。ところが、Aさんは、警察官から「これも立派な盗撮ですよ。」と言われ、福岡県迷惑行為防止条例違反の被疑者としてさらに中央警察署で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
暑い季節になるにつれ女性は薄着となり、それに伴い盗撮も増えてくると言われています。また、季節に関わらず、盗撮が増加傾向にある背景にはカメラの高性能化が挙げられています。現在ではカメラやレンズが非常に小型になっているため、腕時計、ペン、靴の隙間にまでカメラを仕込むことが可能となっています。さらにファイバースコープなど紐状のカメラを紙袋に仕込み、1~2mmの小さな穴から撮影することもあるとか。昔からあるケータイのカメラでの盗撮も、スマホケースのレンズの穴から、無音のカメラアプリで撮影するなど、手口は巧妙化しています。
これからの季節に向けて、福岡県内における盗撮行為についての規定を確認しましょう。
~ 盗撮とはどんな行為はいうのか ~
盗撮行為については福岡県迷惑行為防止条例6条2項,3項に規定されています。まずは規定から確認しましょう。
第6条 (略)
2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
2号 衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影をすること。
3号 前二号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
3項 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
つまり、まとめると、
2項1号⇒他人の身体又は着用している下着を写真機等を用いて撮影する行為
2項2号⇒衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影する行為
2項3号⇒1・2号の行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向ける行為
3項1号⇒他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を写真機等を用いて撮影する行為
3項2号⇒1号の行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向ける行為
を「盗撮行為」として規制しています。
2項3号、3項2号からもお分かりいただけるように、「写真機等を設置し、又は他人の身体に向ける行為」だけでも処罰される可能性があります。つまり、映像に対象者の身体や下着が映っていなくても処罰される可能性があるということです。十分注意しましょう。
~ 罰則は? ~
盗撮行為に対する罰則は
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です。また、常習として盗撮行為を行った場合は、
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です。
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