福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

福岡市南区に住む高校生のA君は,学校から自転車で帰宅途中,同じく前方を同方向に進んでいた女性が運転する前籠に入れていたバックを盗り,そのまま逃走しました。そうしたところ,A君は,福岡県南警察署により窃盗罪で逮捕されてしまいました。A君の両親は,逮捕されたことが学校にばれて退学とならないか心配になり,弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

お子様が犯罪を犯したと知ったときに,ご両親として一番考えるのはお子様の将来のことではないでしょうか?そして,お子様の将来のことを考えると,「なるべく事件ことは学校に伏せておきたい」,「学校にはばれたくない」とお考えになることと思います。

~ ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱 ~

福岡県では,県内の小学校,中学校,高等学校に通う児童,生徒が逮捕された場合,「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」に従って,警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下,要綱)」は,県内の学校に在籍する児童又は生徒(以下,児童生徒)の非行等の問題行動並びに犯罪及び事故の被害の防止に関し,警察と学校とが必要な情報交換を行うなどして相互の連携を図り,児童生徒の健全育成に資することを目的として定められたもので,平成25年1月1日から施行されています。

= どんな場合に通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者(警察署長)から学校長へ連絡する事案として以下の事案を対象とするとしています。

・逮捕事案
・逮捕事案以外の事案で,次に掲げる理由により連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
 ・児童生徒が粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 ・他の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 ・児童生徒が複数で非行に及んでいること
 ・児童生徒が非行を繰り返していること
 ・児童生徒が不良行為を繰り返しており,罪を犯すおそれがあること
・児童生徒の犯罪被害に係る事案で,連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
・児童生徒の善行事案

= 必ず通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者は,上の事案を認めたときは,要綱の定めに従い学校長に連絡するもととされていますが,

捜査,調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは,連絡をしないことができる

とされています。つまり,必ず通報(連絡)されるわけではなく,連絡責任者の裁量で通報(連絡)されるか否か判断されることになります。

= 通報(連絡)されたら退学などの処分を受けるの? =

一般的に,逮捕されたからとって,その人が犯罪を犯したと確定したわけではありません。ですから,逮捕の事実のみで処分を受けることはないと思われます。また,要綱でも,「児童生徒サポート制度の趣旨を踏まえ,連絡責任者は,学校長への連絡の際は,当該学校長に対し,連絡対象事案のみを理由とする児童生徒の退学等の短絡的な不利益処遇を行うことがないよう確認を行うものとする」とされています。

~ 警察から学校に通報させないためには ~

以上から,お子様が逮捕された場合は,警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通報される場合があることをお分かりいただけたかと思います。ですから,それを阻止するためには,情報の発信元である警察に対し,通報により受けるお子様の不利益などを丁寧に説明するなどして,通報をひかえるよう働きかけていく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
福岡県南警察署までの初回接見費用:35,900円)

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