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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース)
【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース)
今回は、勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:勤務先の口座から現金を自分の口座に振り込み横領したケース
福岡県警察中央警察署は、勤務先の口座から現金約2000万円を横領したとして、経理担当のAさんを業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、複数回にわたり、経理担当として勤務していた会社の口座から現金約2000万円を自身の口座に振り込み横領した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,業務上横領罪について
〈業務上横領罪〉(刑法第253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条第1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪は窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪(刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例では、Aさんは会社の経理担当として勤務しており、会社の金銭を管理する立場にあったといえ、会社の金銭を自分の口座に振り込み横領した行為につき業務上横領罪が成立することが考えられます。
2,執行猶予付判決の獲得を目指す弁護活動
業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」のみで、執行猶予付判決を得るためには判決によって言い渡される量刑が3年以下であることが必要です。
また、業務上横領罪は被害者が存在する犯罪であり、被害者との間で示談が成立し被害が回復していれば執行猶予付判決を獲得できる可能性は高まります。
そのため、被害者との示談交渉を試みます。
示談と一口に言っても内容は多岐にわたり、事件の解決を当事者同士で約束し将来の民事訴訟を予防することを内容とする単なる示談や、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談などがあります。
被害者の意向を汲みながら加害者にとって最大限有利な内容で示談を成立させるためには、高度な知識や経験が要求されるといえます。
また、事件の当事者同士でも示談交渉を行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い処罰感情を有しており、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
そのため、執行猶予付判決を獲得するための示談交渉は、法律の専門家であり刑事事件に関する高度な知識や経験を有する弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(食料品の無人販売店に侵入し、商品を盗んだケース)
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(食料品の無人販売店に侵入し、商品を盗んだケース)
今回は、食料品の無人販売店に侵入して商品を盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:食料品の無人販売店に侵入し商品を盗んだケース
福岡市にある食料品の無人販売店に侵入し、餃子などの食料品20点を盗んだとして、福岡市に住むAさんが窃盗の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、市内の無人販売店で餃子など20点、約5万円相当を盗んだ疑いが持たれています。
警察は店から被害届を受け、防犯カメラの映像を解析するなど捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは、「お金が無くて生活に困っていたから盗んだ」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,窃盗罪について
〈窃盗罪〉(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法において窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪と使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪と毀棄・隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法第261条)の成立が検討されることになります。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
窃盗罪は、被害者が存在する犯罪です。
被害者と示談が成立していることは、検察官が起訴するか否かに大きな影響を持ちます。
そのため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、被害者は、憎悪や恐怖から加害者に対して強い処罰感情を有していることが多く、また、被害者が書店やコンビニエンスストア等の場合には、そもそも示談交渉には応じないという姿勢をとっているところも多いです。
しかし、弁護士であれば、被害者に対して、加害者が反省・謝罪の意思を有していることや被害弁償を行う意思があることなどを冷静かつ丁寧に説明することができます。
また、示談交渉には応じないという姿勢の被害者に対しても不快にさせない程度に粘り強く交渉することで、示談交渉に応じていただける期待が高まります。
そして、示談と一口に言っても、事件を当事者同士で解決し将来の民事訴訟を予防することを内容とする単なる示談や、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談など様々な種類があります。
不起訴処分の獲得に向けていかなる内容で示談を成立させるかは、高度の専門的な知識や経験が要求されるため、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
そのため、示談交渉は、交渉のプロであり、刑事事件に関する知識や経験が豊富な弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)
【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(会社の預金口座から売上金などを横領したケース)
今回は、会社の預金口座から売上金などを横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:会社の預金口座から売上金などを横領したケース
勤め先の預金口座から売上金など合わせて1000万円を横領したとして、那珂川市にある会社の執行役員Aさんが業務上横領の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは、執行役員を務めている会社の預金口座からインターネットバンキングを使って、合わせて1000万円を自分の口座に振り込み、横領した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「借金の返済や遊興費に使った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,業務上横領罪について
〈業務上横領罪〉(刑法253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪は窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪(刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例で言えば、Aさんは、執行役員を務めており、会社から委託を受けて会社の金銭を管理する事務を反復又は継続的に行う業務者の立場にあり、会社の預金口座からインターネットバンキングを使って合計で1000万円を自分の口座に振り込み、借金の返済や遊興費に使い「横領」しているため、Aさんには業務上横領罪が成立することが考えられます。
2、執行猶予付き判決を求める弁護活動
業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役刑であり、執行猶予付き判決を得るためには、判決により言い渡される刑が3年以下の懲役である必要があります(刑法第25条第1項柱書)。
執行猶予が付かなかった場合、刑務所に服役することになりますが、そうなれば勤め先を解雇になる、被疑者・被告人が学生の場合には退学処分になるなどの不利益が生じることが考えられます。
執行猶予による不利益を回避するためには、被害者との示談を成立させられるかが重要なポイントになります。
もっとも、事件の被害者は、加害者に対して強い怒りや処罰感情を有していることも多く、加害者から直接連絡されることを拒み、示談交渉に応じてもらえない可能性もあります。
しかし、弁護士であれば、被害者に対して、加害者が反省・謝罪の意思を持ち、被害弁償をする意思を有していることなど冷静かつ丁寧に説明することにより、示談交渉に応じてもらい、示談の成立に期待が持てます。
執行猶予を獲得するためにも、示談交渉は法律の専門家であり交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県那珂川市内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは
【事例解説】アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰った場合に成立する可能性がある犯罪とは
今回は、アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったという架空の事例に基づき、成立する可能性がある犯罪について解説致します。
事例:アルバイトとして勤務していたお店のお金を持ち帰ったケース
福岡市にある飲食店にアルバイトとして勤務していたAさんは、勤務中にお店のレジから現金5万円を持ち帰ったとして、逮捕されました。
レジ締め作業中に5万円の差額が出たことで不審に思った被害店舗関係者が防犯カメラの映像を見返すと、Aさんが現金を取り出してポケットに入れる瞬間が映っていたことから、警察に被害届を提出し、Aさんは逮捕されるに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「自分がやったことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,成立し得る犯罪について
上記の事例では、Aさんにはいかなる犯罪が成立することが考えられるでしょうか。
お店の現金を持ち帰るという行為は、刑法の窃盗罪(刑法第235条)もしくは業務上横領罪(刑法第253条)に該当することが考えられます。
〈窃盗罪〉
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します。
他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
〈業務上横領罪〉
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、通常の横領罪(刑法第252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言います。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪(刑法第254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法第643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
まとめると、窃盗罪は他人の占有を侵害する犯罪で、業務上横領罪は他人の所有権を侵害する犯罪であると言えます。
そのため、両罪は、占有が誰に認められるかにより区別されると言えます。
上記の事例を参考にすると、レジ内の現金の占有がお店に認められるなら、Aさんはお店の意思に反してお店の占有を排除してレジ金の占有を自分に移しており「窃取」しているといえるため、窃盗罪が成立し得ます。
一方で、レジ内の現金の占有がAさんに認められるならば、Aさんは業務としてお店のレジ金を占有していたことになり、レジ金を持ち帰るという行為は横領といえるため、業務上横領罪が成立し得ます。
雇用関係などにより上下関係がある場合、下位にある者が財物を管理していたとしても、その財物の占有は上位の者に認められ、下位の者は占有を補助する者に過ぎません。
上記の事例で言えば、Aさんはただのアルバイトで上位の者(例えば、お店のオーナー、雇用主など)の占有を補助する者に過ぎないということになります。
そのため、Aさんの、レジ金の占有者であるお店のオーナーの占有を、占有者の意思に反して自分の占有に移した行為は、「窃取」に該当するため、Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。
なお、Aさんがただのアルバイトではなく、そのお店の店長であった等の事情があれば、Aさんとオーナーとの間には高度の信頼関係が存在し、Aさんにはレジ金についてある程度の処分権が委ねられているといえるため、レジ金を持ち帰るという行為に業務上横領罪が成立する余地はあると言えます。
2,まずは弁護士に相談を
窃盗罪や業務上横領罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を行うことが身柄拘束からの解放や不起訴処分を獲得するうえで肝要となります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い処罰感情を有しており、交渉に応じてもらえないことも考えられます。
しかし、弁護士が間に入れば、加害者が反省・謝罪の意思を有していることや被害の弁償等を行う意思があることなどを冷静かつ丁寧に被害者に説明することができ、交渉に応じていただける期待が十分に持てます。
そのため、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、逮捕・勾留などにより身柄を拘束されてしまった方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース)
【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース)
今回は、福岡市内の駐車場にて、現金が入った財布を警察に届け出ることなく横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース
福岡市内の駐車場で、落ちていた現金5万円などが入った財布を拾い横領した疑いで、福岡市内に住むAさんが遺失物等横領の疑いで逮捕されました。
Aさんは、福岡市内のコインパーキングで、別の利用客Vさんが落とした現金5万円などが入った財布を持ち去り、警察に届け出ることなく横領した疑いが持たれています。
財布を落としてから2日後に財布を落としたことに気付いたVさんが警察に届出をし、コインパーキングや所の周辺の防犯カメラの映像を解析してAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,遺失物等横領罪について
〈遺失物等横領罪〉(刑法第254条)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
遺失物等横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立します。
そして、刑法に定められた単純横領罪(刑法第252条)や業務上横領罪(刑法第253条)と比べ、所有者との委託信任関係を裏切ることはなく、また、遺失物等横領罪が他人の占有を侵害しないことから、法定刑が軽くなっていると考えられています。
遺失物とは、占有者の意思によらず、その占有を離れ、まだ誰の占有にも属していないものをいいます。
漂流物とは、遺失物のうち、水面又は水中に存在するものをいいます。
もっとも、これらは例示されたものであり、遺失物等横領罪の客体となるか否かは、他人の占有を離れたものであるかどうかによって判断されます。
占有とは、物に対する事実上の支配力が及んでいる状態をいい、「占有を離れた他人の物」とは、占有者の事実上の支配力が及んでおらず未だ誰の占有にも属していない物で、その占有が委託信任に基づかずに始まった物と考えられます。
「占有を離れた他人の物」にあたると判断されたものとして、電車内に乗客が置き忘れた荷物や被害者が無施錠のまま自転車を長時間空き地に放置して遠くへ出かけてしまった場合のその自転車などがあります。
なお、その物に占有が及んでいる場合、すなわち「占有を離れた他人の物」に当たらないものを自分の物にしてしまった場合には、それは占有者に意思に反してその占有を自分の占有下に移すことになり、遺失物等横領罪ではなく窃盗罪が成立する可能性があります。
横領とは、不法領得の意思を発現する一切の行為、すなわち、その物の経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をすることをいいます。
上記の事例では、Vさんがコインパーキングに落としてから2日が経過しており、また、コインパーキングは日夜いろいろな人に利用されることなども考慮すると、Vさんが落とした財布にはVさんの占有が及んでいるとは考えづらいため、「占有を離れた他人の物」に該当し、それをAさんが拾って持ち去った行為には遺失物等横領罪が成立すると考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
前述の通り、遺失物等横領罪の客体は「占有を離れた他人の物」であるところ、その物をもともと占有していた人は、占有を失ってはいますが、所有権は失っていません。
そのため、被害者は所有権者ということになります。
そこで、被害者との示談交渉を試み、示談成立による不起訴処分獲得を目指します。
被害者に方に対して反省・謝罪の意思を示して、被害弁償等を行い、示談を成立させることができれば、不起訴処分獲得の期待が十分に持てます。
もっとも、示談交渉は、刑事事件に関する高度な知識や専門性が求められるため、示談交渉に強い弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
逮捕などにより身柄拘束を受けていない方には初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が逮捕等により身柄拘束を受けている方には初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース)
【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース)
今回は、業務上知り得た情報を使って被害者の弱みに付け込み、現金100万円を脅し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース
業務上知り得た情報を使って福岡市内に住む会社員Vさんから現金約100万円を脅し取ったとして、福岡市内の会社役員Aさんが恐喝の疑いで逮捕されました。
Aさんは、相談を受けて知り得た情報を使ってVさんの弱みに付け込み、「これが周囲にバレるとまずいよね」などと脅し、現金100万円を脅し取った疑いが持たれています。
Vさんが警察に相談したことで事件が発覚、その後、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです)
1,恐喝罪について
〈恐喝罪〉(刑法第249条)
第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
刑法の恐喝罪は、人を恐喝して、財物または財産上の利益を交付させた場合に成立します。
「恐喝」とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫・暴行を加えることを言います。
脅迫とは、相手方を畏怖させる程度の害悪の告知を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行とは、相手方を畏怖させる程度の有形力の行使を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
相手方を畏怖させる性質のものである限り、直接に相手方に加えられることを要しません。
なお、相手方の反抗を抑圧させる程度の脅迫・暴行が加えられた場合、強盗罪(刑法第236条)の成立が検討させることになります。
「交付させ」る行為(交付行為)とは、相手方を恐喝行為によって畏怖させ、畏怖に基づいて財産または財産上の利益を犯人自身または第三者に移転させることを言います。
そして、恐喝罪は、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付行為→財物または財産上の利益の移転が、それぞれ原因と結果の関係を有していることが必要となります。
例えば、お金に困った犯人が被害者を脅迫してお金を渡すように要求したが、被害者は畏怖せず、犯人がお金に困っているという事情を知っており、憐みからお金を犯人に渡した場合には、脅迫行為と犯人の畏怖、畏怖に基づく交付行為の間に因果関係が認められないため、恐喝罪は既遂とならず、未遂にとどまることになります。
上記の事例では、Aさんは業務上知り得た情報を使ってVさんを畏怖させ、Vさんは100万円を支払っています。
そのため、Aさんの行為には恐喝罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束の解放に向けた弁護活動
恐喝罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束されることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足を監視され、家族や友人など外部との接触も制限されることになり、また、連日のように取調べを受けることも考えられるため、被疑者が抱える身体的・精神的負担は多大なものになると言えます。
そのような身柄拘束から少しでも早期の解放を実現するための弁護活動を行います。
被疑者勾留が認められるのは、被疑者が住居不定、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
早期の身柄解放を実現するためには、これらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことが重要となります。
例えば、被疑者には家族がいて、同居している家族が被疑者を監督することを約束し、その旨を身元引受書として作成すれば、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となると言えます。
そのような弁護活動を通じて、被疑者の早期の身柄解放の実現を目指します。
少しでも早く被疑者の身柄解放を目指すのであれば、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において恐喝罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、恐喝罪をはじめとする刑事事件・少年事件に関する豊富な実績があります。
恐喝罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)
今回は、福岡市内のコンビニエンスストアで、スティックシュガーなどを盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを盗んだケース
福岡県警察博多警察署は、福岡市博多区のコンビニエンスストアにて、店内のコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーや飲料など商品10点1200円分を盗んだとして、福岡市職員のAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
コンビニエンスストアのオーナーから警察に被害届が提出されており、防犯カメラの解析や従業員からの聞き込みなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「万引きしたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,窃盗罪について
〈窃盗罪〉(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
コンビニのコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーなどの備品・消耗品は、コーヒーマシンの利用客が無料で利用できるものですが、店側はお金を払って仕入れ、利用客に提供しています。
そのため、スティックシュガーなどの備品・消耗品は所有権の対象となり、経済的な価値も認められるため、「財物」に該当すると考えられます。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪と使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪と毀棄・隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、コンビニでスティックシュガーや飲料など商品である「財物」を「窃取」しており、それについて故意も不法領得の意思も認められるため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性があります。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
窃盗罪で起訴されて有罪判決をうけると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられる可能性があります。
このうち執行猶予付き判決や罰金刑であれば身柄拘束を受けずに済みますが、前科は付くことになります。
上記の事例のように、被疑者・被告人が公務員の場合、禁固以上の刑に処せられると、国家公務員であれ地方公務員であれ、公務員となる資格を失い、当然失職となります。(国家公務員法38条1号、地方公務員法16条1号参照)
また、罰金刑に処された場合でも、懲戒処分の対象となる可能性があります。(国家公務員法82条1項、地方公務員法29条1項参照)
しかし、起訴されなければ、裁判が開かれることはないため、前科が付くことはありません。
そのため、不起訴処分の獲得を実現するための弁護活動を行うことが重要となります。
窃盗罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、上記の事例のように、被害者がコンビニ、スーパーや書店などの場合には、そもそも示談に応じないという姿勢をとっているところも多いです。
しかし、弁護士が粘り強く交渉をすることで、示談に応じてもらえる場合もあります。
また、示談と言っても内容はさまざまであり、事件を当事者同士で解決し、将来の民事訴訟(例えば、損害賠償請求訴訟など)を防止することを内容とする単なる示談や、刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談などがあります。
これらの内容を考慮しながら示談を成立させることは高度の知識や専門性が要求されるため、当事者同士で示談交渉をすることはあまり得策とは言えません。
そのため、示談交渉は、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース)
【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース)
今回は、コンビニで食料品を万引きした際に店員に見つかり、声をかけられたところ、ナイフを取り出して脅したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース
福岡県警察西警察署は、福岡市西区にあるコンビニエンスストアにおいて、食料品など10点(被害額約5000円)を万引きしたあと、店員の男性にナイフを出して脅したとして、福岡市西区在住のAさんを事後強盗の疑いで逮捕しました。
Aさんは、品物を万引きした際に店員の男性に見つかり、警察に通報すると告げられたところ、逮捕されるのを免れるために、店員の男性にナイフを突きつけて「警察に通報したら刺すぞ」などと言い、その場から逃走したとのことです。
店員の男性に怪我はありませんでした。
犯行現場やその周辺の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を進め、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「お金がなくてやった。警察に捕まりたくなかった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,事後強盗罪について
〈事後強盗罪〉(刑法238条)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的(財物奪還阻止目的)、逮捕を免れる目的(逮捕免脱目的)または証拠を隠滅する目的(罪証隠滅目的)のいずれかの目的で、暴行または脅迫をした場合には、強盗として論ずる、すなわち刑法に定められた強盗罪が成立することになります。
「窃盗が」とは、窃盗犯人、つまり窃盗罪(刑法第235条)を犯した者をいい、万引きは窃盗罪に該当します。
上記の事例では、窃盗犯人であるAさんは警察に通報すると告げた店員に対して、逮捕を免れる目的でナイフを取り出して脅迫しています。
そのため、Aさんには事後強盗罪が成立する可能性があります。
なお 、窃盗罪には、財産上の利益を窃取すること(これを利益窃盗と言います。)を処罰する規定が存在しないため、1項強盗罪(刑法236条第1項)が成立することになります。
例えば、初めから無賃乗車するつもりでタクシーに乗れば、運送サービスという財産上の利益を騙し取ったことになり、詐欺罪(刑法第246条第2項)が成立することが考えられます。
しかし、タクシーに乗りしばらくしてお金がないことに気付き、目的地に到着して運賃の支払いを求められたタイミングで運転手の目を盗んで逃走した場合には、財産上の利益を窃取したことになりますが、利益窃盗を処罰する規定が存在しないため、不可罰となります。
ただし、「財布を忘れた。取りに帰りたいからいったん降ろしてくれ。」などと嘘をついて逃走した場合には、その行為は欺罔行為に該当し詐欺罪(刑法第246条第2項)が成立する可能性があります。
〈強盗罪〉(刑法236条)
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は、暴行または脅迫を用いて、他人の財物(第1項)または財産上の利益(第2項)を強取した場合に成立します。
「強取」とは、相手方(被害者など)の反抗を抑圧させるに足りる程度の暴行または脅迫を加えて財物または財産上の利益を奪取することをいいます。
暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
脅迫とは、相手方に畏怖を生じさせる程度の害悪の告知をいいます。
2,執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動
事後強盗罪は強盗罪として処罰されることになるため、刑罰は5年以上の有期懲役が科されることになります。
執行猶予は、判決によって言い渡される刑罰が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金である必要があります。(刑法25条1項柱書)
そのため、事後強盗罪で有罪判決を受けてしまった場合、執行猶予が付かない可能性があります。
しかし、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、裁判所は、その刑を減軽することができます。(刑法第66条)
「犯罪の情状に酌量すべきもの」とは、例えば、被害者との間で示談が成立しているなどの事情がある場合をいいます。
示談交渉は、事件の当事者間でも行うことはできますが、通常は事件の被害者は加害者に接触されることに恐怖を感じて、示談交渉に応じてもらえない可能性が高いです。
また、上記の事例のように、コンビニなどのお店も被害者である場合、最初から示談に応じないという姿勢のところが多いですが、弁護士が粘り強く交渉することで、示談交渉に応じてもらえる場合もあります。
そのため、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼することが得策であるといえます。
示談が成立すれば、執行猶予付き判決の獲得が十分に期待できます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内においてご家族等が事後強盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース)
【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース)
今回は、マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース
マッチングアプリで知り合った女性から現金約100万円を騙し取ったとして、福岡県警察中央警察署は、福岡市中央区に住む会社員Aさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、マッチングアプリで知り合った女性Vさんと結婚願望があるかのように装って交際し、「キャッシュカードを止められてしまった。支払いのためのお金がほしい」などと嘘をつき、複数回にわたり現金約100万円を騙し取った疑いが持たれています。
中央警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,詐欺罪について
〈詐欺罪〉(刑法246条1項)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
刑法の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。
「人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
「財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護されますが、経済的にも主観的にも全く無価値な物は保護されません。
過去の裁判例では、メモ紙1枚(大阪高等裁判所判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高等裁判所判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
そして 、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。
過去の裁判例では、価格相当の商品を提供したとしても、事実を知ればお金を払わないといえるような場合において、商品の性能等につき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させてお金を受け取った場合には、相手方に対する詐欺罪が成立するとしたものがあります。(最高裁判決昭和34年9月28日)
上記の事件では、AさんはVさんとの結婚願望があるかのように装い交際し、キャッシュカードが止められて、その支払いのためのお金がほしいなどと嘘をつき、Vさんからお金を騙し取っているため、Aさんには詐欺罪が成立する可能性があります。
2,早期の身柄解放に向けた弁護活動
詐欺罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は行動を厳しく規制され、家族や友人や恋人など外部との交流も制限されます。
また、逮捕・勾留による身柄拘束中は、当然ですが職場に勤務することができなくなるので休むことになりますが、無断で休ませてもらえる職場などなかなかありません。
そうなれば、被疑者は職を失う可能性が極めて高くなります。
また、被疑者に養う家族がいれば、収入が減り、今まで通りの生活を送ることが厳しくなるかもしれません。
そのため、少しでも早い身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことになります。
例えば、被疑者が家族と同居しており、その家族が被疑者の監督をすることを約束し、身元引受書を作成すれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となります。
早期の身柄解放を実現するためには、少しでも早い段階からこのような弁護活動を行う必要があるため、逮捕・勾留された場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニエンスストアで雑貨など商品を万引きしたケース)
【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニエンスストアで雑貨など商品を万引きしたケース)
今回は、コンビニエンスストアで化粧品など商品を万引きしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:コンビニエンスストアで雑貨など商品を万引きしたケース
福岡市南区内のコンビニエンスストアで雑貨、飲食物や化粧品の3点(合計約1万円)を盗んだとして、福岡県警察南警察署は、福岡市南区在住の会社員Aさんを窃盗の容疑で逮捕しました。
警察によりますと、Aさんの万引きに気付いた店員が警察に通報し、現場に駆け付けましたが、Aさんは既に店から立ち去っていました。
その後、防犯カメラの映像を確認するなどの捜査によりAさんを特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「盗んだことに間違いありません」と供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,窃盗罪について
〈窃盗罪〉(刑法235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法では窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪と使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪と毀棄・隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは雑貨などの商品を窃取しており、コンビニエンスストアの商品を窃取することを認識しているため、Aさんに窃盗罪が成立することが考えられます。
2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動
窃盗罪で逮捕されると、警察で48時間、検察で24時間身柄を拘束され、取調べを受けることになります。
その後、検察官がさらに被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合、検察官は裁判官に対して逮捕よりも長期の身柄拘束である勾留を請求します。
そして、検察官の勾留請求が認められると、被疑者は勾留されることになります。
勾留期間は、原則として10日、さらに必要があると判断された場合は10日を超えない範囲で延長が認められます。
そのため、逮捕から計算すると、最長で23日間、身柄拘束を受けることになります。
勾留による長期の身柄拘束は、被疑者だけでなくその家族にも様々な影響を及ぼします。
10日も無断欠勤を許してくれる勤め先というのはなかなか無いため、勤め先から解雇されることも考えられます。
職を失うということは収入が無くなることになるため、これまで通りの生活を送ることは難しくなるでしょう。
このように、勾留による身柄拘束は被疑者やその周囲に対して様々な不利益をもたらすことがあると言えます。
しかし、勾留請求の前に事件を受任した場合には、勾留による身柄拘束の回避に向けた弁護活動を行うことができます。
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
そのため、弁護士は、検察官が勾留請求する前に、被疑者が勾留の要件を充たさない旨の意見書を提出し、勾留請求しないよう働きかけ、被疑者の身柄拘束の解放を求めます。
また、仮に検察官が勾留請求したとしても、裁判官にも意見書を提出し、検察官が勾留決定をしないよう働きかけて身柄拘束からの解放を求める活動を行うことができます。
勾留に対する意見書は、被疑者が勾留される前に提出する必要があるため、逮捕された場合にはできるだけ早く弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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