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【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(勤め先の男女共用トイレに小型カメラを設置して同僚女性を盗撮したケース)
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(勤め先の男女共用トイレに小型カメラを設置して同僚女性を盗撮したケース)
今回は、勤め先の男女共用トイレに小型カメラを設置して同僚女性を盗撮したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:勤め先の男女共用トイレに小型カメラを設置して同僚女性を盗撮したケース
福岡県警察博多警察署は、勤め先の男女共用トイレに小型カメラを設置し、同僚女性Vさんを盗撮したとして、性的姿態等撮影の疑いで会社員のAさんを逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは勤務先の会社事務所の男女共用トイレに小型カメラを設置し、トイレを使用していた同僚女性Vさんの姿を撮影した疑いが持たれています。
設置された小型カメラに気付いたVさんが警察に通報し事件が発覚。
その後、警察が聞き込みや小型カメラのデータの解析などの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影罪〉
第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
第1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
第2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
第3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
第4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
第2項 前項の罪の未遂は、罰する。
第3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。
いわゆる盗撮行為については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
そして、被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
上記の事例では、Aさんは、「ひそかに」トイレを使用していたVさんの姿を撮影しており、また、その撮影を正当化する理由も見受けられないため、Aさんに性的姿態等撮影罪(性的姿態等撮影処罰法第2条第1項1号イ)が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
性的姿態等撮影罪は、被害者が存在する犯罪です。
そして、性的姿態等撮影罪を含む盗撮事件では示談の成立は、検察官の終局処分に大きな影響を与えます。
そこで、不起訴処分獲得のために被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は、事件の当事者同士でもできます。
もっとも、性的姿態等撮影罪をはじめとした性犯罪事件では、被害者は恐怖や嫌悪感から自分の連絡先を知られたくない、加害者から直接連絡されたくないと考え、当事者同士での示談交渉は上手くいかない可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者に知られることはないことや、加害者が反省・謝罪の意思を有しており、被害弁償をする準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することができるため、示談交渉に応じていただき、示談の成立に期待が高まります。
また、示談と一口に言っても、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談や被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談など、内容は多岐にわたります。
そのため、被害者の意向を汲み取りながら、事件を最大限有利なかたちで解決するためには、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えず、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメと言えます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース)
今回は、福岡市の商業施設において、女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:商業施設で女性の下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したケース
福岡市の商業施設で、20代女性Vさんの下着をサンダルに取り付けた小型カメラで撮影したとして、福岡県警は、福岡市在住のAさんを、性的姿態等撮影の疑いで逮捕しました。
Aさんは、福岡市の商業施設で、サンダルに取り付けた小型カメラで、女性のスカートの下から下着を撮影した疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんはサンダルに取り付けた小型カメラとスマートフォンをコードでつないで撮影していたところ、不審に思った保安員が警察に通報したことで事件が発覚しました。
警察の調べに対して、Aさんは「盗撮したことは間違いない」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影罪〉
2条1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2項 前項の罪の未遂は、罰する。
3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。
いわゆる盗撮については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
上記の事例では、Aさんは、「正当な理由なく」、「ひそかに」、Vさんのスカートの中という「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接または間接に覆っている部分」をサンダルに取り付けた小型カメラで「撮影」しているので、Aさんには性的姿態等撮影罪(性的姿態等撮影処罰法2条1号イ)が成立することが考えられます。
2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動
性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足を監視され、家族や友人など外部との交流を制限されるなど、厳しい環境に身を置かれることになります。
また、被疑者が勤め人であれば、身柄拘束中は出勤することができなくなりますが、そのような長期間を無断で休ませてもらえる会社など普通は存在しません。
そうなれば、被疑者は職を失い、収入が無くなり、それまでの生活を送ることが難しくなるといった不利益が生じることになります。
そのような不利益を回避するためにも、勾留されてしまった場合には、少しでも早く身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者が勾留されるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
そのため、身柄拘束からの早期解放を実現するためには、被疑者がそれらの要件を充たさないことを客観的な証拠や事情を収集・主張していく必要があります。
上記の事例で言えば、Aさんが撮影に使った小型カメラとスマートフォンが既に捜査機関に押収されていれば、Aさんが盗撮した画像を消去するなど証拠を隠滅できる可能性は低いといえるため、Aさんの証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な事情となります。
そのような弁護活動を通じて、被疑者の身柄拘束からの早期解放を目指します。
身柄拘束が長引けば、前述の不利益も大きくなることが考えられるため、ご家族等が身柄拘束をされてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】公然わいせつ罪と弁護活動(路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース)
【事例解説】公然わいせつ罪と弁護活動(路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース)
今回は、北九州市の路上で、通行人の女性に向けて下半身を露出したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:路上で通行中の女性に向けて下半身を露出したケース
福岡県北九市の路上で、通行人の女性に向かって下半身を露出したとして、会社員のAさんが公然わいせつの疑いで逮捕されました。
Aさんは、北九州市の路上で、歩いていた女性に向かってズボンを下ろして自分の下半身を露出した疑いが持たれています。
警察によりますと、被害に遭った女性が警察に通報したことから事件が発覚しました。
その後、警察官が現場付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「よく覚えていない」などと供述し、容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,公然わいせつ罪について
〈公然わいせつ罪〉(刑法第174条)
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法の公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をした場合に成立します。
「公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態を言い、現実に不特定又は多数人が認識する必要はなく、認識可能性があれば公然性が認められます。
例えば、不特定多数人が通行する可能性がある場所でわいせつ行為を行った場合に、たとえ実際にその場に通行人が全くいなかったとしても、不特定多数人の認識可能性は存在するため、公然性は否定されません。
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為で、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義的観念に反する行為を言います。
「わいせつな行為」に当たるとされた具体的な行為は、陰部を露出するストリップショーや見物客に覗かせて密室内で性交の演技などがあります。
上記の事例では、Aさんは、路上という不特定多数人が通行する場所で、被害者の女性に対して自分の下半身を露出するというわいせつな行為を行っているため、Aさんの当該行為には公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
2,否認事件における取調対応
逮捕により身柄拘束を受けている間に、被疑者は捜査機関から取調べを受けることになります。
被疑者には憲法上黙秘権が認められていますが、取調官との知識量などの力量差や、身柄拘束を受けて不安を抱えているなど被疑者の置かれた精神状態などを考慮すると、適切に黙秘権を行使することが難しい場合もあります。
また、上記の事例のように、被疑者が容疑を否認している場合に、やみくもに黙秘権を行使すれば、取調官の取調べが厳しくなったり、「このままでは帰れなくなる」など逮捕に続く勾留を匂わせて被疑者の恐怖や不安を煽り、被疑者に供述させるような取調べが行われたりすることも考えられます。
そして、取調べにおける被疑者の供述は供述調書となり、後に裁判が開かれた場合には証拠として重要な役割を持つことになるため、取調べにおいては慎重な供述が求められます。
もっとも、否認の際の取調べにおいて慎重に供述することや適切な黙秘権の行使には、刑事事件についての専門的な知識や経験が要求されます。
そのため、家族や親族が犯罪の疑いがあるとして逮捕・勾留されてしまい、かつ、その被疑者となった方が容疑について否認している場合には、刑事事件の専門的な知識や経験を有する弁護士に依頼して、取調べの対応についてのアドバイスを受けることが肝要となります。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県北九州市で公然わいせつ罪の当事者となりお困りの方、または家族・親族が公然わいせつ罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)
【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)
今回は、福岡県春日市の路上で女性の背後から近づき、手で口をふさいで胸を触るなどわいせつな行為をしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース
福岡県春日市の路上で女性の胸などを触ったとして、春日警察署は春日市在住の会社員Aさんを不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
春日警察署によりますと、Aさんは、帰宅途中だったVさんに背後から近づき、手で口をふさいだうえで胸を触るなどわいせつな行為をした疑いが持たれています。
調べに対し、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,不同意わいせつ罪について
〈不同意わいせつ罪〉(刑法176条1項)
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
刑法の不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの背後から近づき、口をふさぐという「暴行」を用いてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせて胸を触るという「わいせつな行為」をしているため、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。
2,示談交渉について
不同意わいせつ罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪などの性犯罪関係の場合、被害者は加害者に連絡先を知られたくないと思うこと、そして被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じて示談交渉を拒否する可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の方に連絡先が加害者に知られないことを説明して、安心して示談交渉に応じていただける可能性が高まるといえます。
また、示談も内容はさまざまであり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げを内容に加えた示談などがあります。
もっとも、これらの内容を加えた示談を成立させるためには、刑事事件に対する高度な知識や経験が要求されるため、示談交渉は交渉のプロである弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県春日市において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(ドラッグストアで女性のスカートの中をスマートフォンで撮影したケース)
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(ドラッグストアで女性のスカートの中をスマートフォンで撮影したケース)
今回は、福岡市内にあるドラッグストアにおいて、自分のスマートフォンを使って女性のスカートに中を撮影したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:ドラッグストアで女性のスカートの中をスマートフォンで撮影したケース
福岡縣那珂川市のドラッグストアで、20代女性Vさんのスカートの中を撮影したとして、那珂川市職員のAさんが性的姿態等撮影の疑いで逮捕されました。
福岡県警察春日警察署によりますと、Aさんは、那珂川市のドラッグストアで、面識のないVさんに背後から近づき、自分のスマートフォンでVさんのスカートの中を撮影した疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「スマートフォンをスカートの中を撮影したことは間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影罪〉(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律。以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)
2条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2号 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2項 前項の罪の未遂は、罰する。
3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。
いわゆる盗撮行為については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に性的姿態撮影等処罰法が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
上記の事例では、Aさんは、「正当な理由なく」、「ひそかに」、Vさんのスカートの中という「人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接または間接に覆っている部分」を自分のスマートフォンで「撮影」しているので、Aさんには性的姿態等撮影罪(性的姿態等撮影処罰法2条1号イ)が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
性的姿態等撮影罪で逮捕されると、捜査機関により捜査され、その後検察官により起訴されるかどうかが決まります。
起訴されると裁判が開かれて、有罪判決が出ると前科が付きます。
また、上記の事例のように被疑者・被告人が公務員の場合、前科が付いてしまうと国家公務員であると地方公務員であるとを問わず公務員資格を失い、失職してしまう可能性があります。
〈国家公務員法38条〉
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
1号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
〈地方公務員法16条〉
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
1号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
「禁固以上の刑」とは、禁固刑・懲役刑・死刑を意味します。
上記の事例における性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑(禁錮刑と懲役刑を統合した刑罰)又は300万円以下の罰金であるため、裁判で有罪となり拘禁刑の刑罰が科された場合には、公務員資格を失い、失職してしまう可能性があります。
しかし、検察官が不起訴処分とすると、裁判が開かれることはないため、有罪判決を受けてしまうおそれはなくなります。
そのため、不起訴処分獲得に向けた弁護活動を行うことが重要であると考えられます。
性的姿態等撮影罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者の方との示談交渉を試みます。
そして、弁護士が加害者の立場から、被害者の方に対して反省・謝罪の意思を伝え、被害の弁償などを行うことにより示談の成立を目指します。
示談と言っても内容は種々様々であり、事件を当事者間で解決し将来の民事訴訟を予防することを内容とする単なる示談や、加害者の謝罪を受け入れ加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する宥恕条項付き示談、被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談などがあります。
示談交渉は当事者でもできますが、性的姿態等撮影罪をはじめとする性犯罪事件では被害者は加害者から直接接触されることを拒むことが通常といえ、また、示談の内容もさまざまであり、刑事事件に関する高度な知識や経験が要求されるといえるため、当事者間で示談交渉を行うことはあまり得策とはいえません。
示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼して、少しでも不起訴処分獲得の可能性を高めることが肝要です。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県那珂川市において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。
【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース)
【事例解説】不同意性交等罪とその弁護活動(被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース)
今回は、被害女性の背後から口を塞ぎ、脅迫して性的暴行を加えたという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:被害者を脅迫して性的暴行を加えたケース
福岡県大野城市の路上で、歩いて帰宅途中だった会社員Vさんの背後から突然抱きついて口を塞ぎ、「声を出したら殺す」などと脅迫し、その後、人のいない場所まで連れていきVさんの陰部に指を入れるなどの性的暴行を加えたとして、福岡県春日市在住の自営業Aさんが逮捕されました。
Aさんは性的暴行を受けた後、警察に連絡し、事件が発覚しました。
警察は犯行現場付近の防犯カメラの映像を解析したところ、不審な動きをしているAさんの姿が映っており、特定に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,不同意性交等罪について(刑法177条)
1項 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
刑法の不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
上記の事例では、AさんはVさんに対して、突然背後から抱きつき口を塞いで「声を出したら殺す」などという「暴行」・「脅迫」を用いて、Vさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態にさせ」て、Vさんの陰部に指を入れるなどの性的暴行を加えており「性交等」をしたといえるため、Aさんに不同意性交等罪が成立することが考えられます。
2,考えられる弁護活動
(1)身柄拘束からの早期解放
被疑者段階における身柄拘束には逮捕・勾留がありますが、逮捕・勾留による身柄拘束は最長で23日間続きます。
そして、被疑者勾留がなされるのは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれが認められる場合です。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
そのため、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。
上記の事例では、AさんはVさんとの面識はないため、Vさんに証言をさせないように働きかける現実的可能性は低く、また、犯人がAさんであると特定に至った防犯カメラの映像は既に捜査機関に押収されているとの事情があれば、Aさんによる隠滅は不可能であるため、証拠隠滅のおそれは低いと言えます。
さらに、被疑者の家族等が被疑者の身元を引き受けるという事情は、被疑者の監督が見込めるため、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となるでしょう。
(2)示談交渉
不同意性交等罪を含む被害者が存在する場合には、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、不同意性交等罪のような性犯罪の場合、被害者は加害者から連絡されることを拒否することが考えられます。
また、被害者としても加害者に自分の連絡先を知られたくないと思うでしょう。
そこで、弁護士が間に入り、捜査機関経由で被害者とのコンタクトを試み、弁護士が守秘義務を負っているため被害者の連絡先が加害者に知られることはないことなどを説明することで、示談交渉を試みます。
被害者が示談交渉に応じる場合には、加害者の立場から、加害者が謝罪・反省していることを伝え、被害者の自宅・職場等やその経路付近には近づかないことや示談金のお支払いなどを提示して、示談の成立を目指します。
もっとも、示談と一口に言ってもその効果は様々であることから、示談の内容に宥恕条項(加害者を許し、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの約定を加えて成立させることが肝要です。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県春日市において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意性交等罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】性的姿態等撮影未遂罪とその弁護活動(女子中学生の背後から衣服の中を撮影しようとしたケース)
【事例解説】性的姿態等撮影未遂罪とその弁護活動(女子中学生の背後から衣服の中を撮影しようとしたケース)
今回は、商業施設内で女子中学生のショートパンツの中を撮影しようとしたというニュース記事を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:女子中学生の背後から衣服の中を撮影しようとしたケース
福岡市東区の商業施設で、女子中学生Aさんのショートパンツの中を撮影しようとしたとして自称アルバイトのAさんが逮捕されました。
性的姿態等撮影の疑いで逮捕されたのは、福岡市東区の自称アルバイトAさんです。
Aさんは、福岡市東区の商業施設内の書店で、本を読んでいたVさんのショートパンツの中を撮影しようとした疑いがもたれています。
警察によりますと、保安員がスマートフォンを持って店内を徘徊するAさんを発見。
不審に思い、監視を続けていたところ、AさんがVさんの背後から、履いていたショートパンツの中に、スマートフォンを差し込んだため、警察に通報しました。
Aさんはそのまま店から立ち去りましたが、乗っていたバイクのナンバーの解析や防犯カメラなどの捜査から関与が浮上。警察官がAさんの自宅に向かい、事情を聴いていたところ、盗撮を認めたということです。
取り調べに対し、Aさんは容疑を認めたうえで「性的欲求を満たすため」などと話しているということです。
(事例はフィクションです。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影罪〉
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)
2条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2号 刑法第百176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3号 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4号 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2項 前項の罪の未遂は、罰する。
3項 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。
いわゆる盗撮行為については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に性的姿態撮影等処罰法が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、正当な理由なく性的な姿態等を撮影すれば性的姿態等撮影罪が成立します。
被害者が13歳から15歳の場合、加害者が18歳から20歳の場合が問題となります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんの性的な姿態等を撮影すれば、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため、性的姿態等撮影罪は成立せず、処罰の対象外となります。
なぜ、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、年齢差が5歳以上年長の者の行為しか処罰されないのかについて、13歳以上16歳未満の者は、相手との関係が対等でなければ性的姿態等を撮影されることについて自由な意思決定が難しくなると考えられているからです。
どのような場合に相手との関係が対等でなくなるのかについて、一般的に、相手との年齢差が大きくなればなるほど、社会経験等の差から対等ではなくなると考えられます。
また、性的姿態等撮影罪には未遂を処罰する規定があることから、正当な理由がないのに、ひそかに、性的な姿態等を撮影する行為を行えば、結果として性的な姿態等が撮影されていなくても、未遂として処罰されることになります。
上記の事例で言えば、Aさんは、正当な理由がないのに、Vさんの意思に反して(「ひそかに」)、Vさんのショートパンツの中(「人が身に着けている下着のうち現に性的な部分を直接若しくは間接に覆っている部分」)に、スマートフォンを差し込んだ時点で、実際にスマートフォンにVさんのショートパンツの中が撮影されたデータ等が残っていなくても、性的姿態等撮影未遂罪が成立することになります。
なお、被害者が18歳未満の場合に、自己の性的好奇心を満たす目的で、被害者を撮影する行為は、児童ポルノ製造罪(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項)が成立し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。
2,身柄拘束回避・解放、不起訴処分獲得に向けた弁護活動
性的姿態等撮影未遂罪で逮捕された場合は、最長で72時間身柄を拘束されることになります。
そして、72時間を超えて、検察官がさらに身柄を拘束する必要があると判断した場合、裁判所に対して逮捕よりも長期の身柄拘束である勾留を請求します。(刑事訴訟法205条1項)
勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに10日を超えない範囲で延長することが認められているので、最長で20日間、身柄を拘束されることになります。(刑事訴訟法208条)
被疑者に対して勾留が認められるのは、勾留の理由や勾留の必要性があると判断された場合です。
勾留の理由は、被疑者が定まった住居を有しない、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められることになります。(刑事訴訟法207条1項本文、60条1項各号)
勾留の必要性は、被疑者の身柄を拘束しなければならない必要性と、身柄拘束によって被疑者が受ける不利益とを比較して、勾留することが相当と言えるかにより判断されます。
そこで、身柄拘束回避のための弁護活動としては、勾留の理由や必要性を否定し得る客観的な事情や証拠の収集の活動を行います。
例えば、被疑者が家族と同居していて、同居している家族が身元引受人となり被疑者を監督するという事情があれば、住居不定と逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情になります。
また、上記の事例のように、盗撮行為に使ったスマートフォンが既に捜査機関に押収されていれば、被疑者による証拠隠滅のおそれを否定できると言えるでしょう。
それらの事情が存在しても検察官の勾留請求が認められ、被疑者が勾留されてしまった場合には、身柄拘束からの解放に向けた弁護活動を行います。
まず、被疑者がいかなる理由に基づいて勾留されてしまったのかを知るために、勾留理由の開示請求を行います。(刑事訴訟法207条1項本文、82条~86条)
そして、理由が明確になれば、前述のようなそれらの理由を否定し得る客観的な事情や証拠の収集や主張をしていくことで、身柄拘束からの早期解放を目指します。
性的姿態等撮影罪は、被害者が存在する犯罪でもあります。
そこで、弁護士は、加害者に代わって被害者との示談交渉を行います。
示談交渉は事件の当事者同士でもすることはできますが、当事者同士での示談交渉はあまりうまくいかないことが多いです。
特に、性的姿態等撮影罪のような性犯罪の場合、被害者側は加害者側に対して自分の連絡先を知らせたくないと考えるのが一般的であることから、加害者が被害者とコンタクトをとることは難しいと言えます。
しかし、弁護士を間に入れることで、被害者の方に安心して頂き、加害者の立場から被害者に対して謝罪・反省の意思を伝えたり、被害弁償等を行うことができれば示談の成立に対して十分な期待が持てると言えます。
そして、示談と言っても加害者側に一方的に都合のいい内容での示談を成立させることは難しく、被害者側の意向をくみ取りつつ、宥恕条項(加害者を許し刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消等の約定を加えた内容での示談を成立させることが肝要です。
また、示談が成立していれば、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれは低いと判断され、早期の身柄解放や、起訴猶予による不起訴処分の獲得も期待できます。
以上より、性的姿態等撮影罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において性的姿態等撮影罪で逮捕等により身柄を拘束されてしまった、あるいは性的姿態等撮影罪で在宅で捜査を受けている方など、性的姿態等撮影罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)
【事例解説】不同意性交等罪で逮捕された場合の前科回避ための弁護活動(顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース)
今回は、顔見知りの女子中学生とみだらな行為をして逮捕されたというニュース記事を参考にして、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:顔見知りの女子中学生とみだらな行為をしたケース
去年12月、福岡県粕屋郡にある駐車場で顔見知りの女子中学生Vさんとみだらな行為をしたとして、会社員のAさんが不同意性交の疑いで逮捕されました。
不同意性交の疑いで逮捕されたのは、福岡県春日市の会社員Aさんです。
Aさんは、福岡県粕屋郡にある駐車場でVさんが16歳未満であることを知りながら、みだらな行為をした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは、Vさんの親族と知り合いで、Vさんとも顔見知りだったということです。
Vさんが通院先の看護師に被害を相談し、看護師から連絡を受けたVさんの母親が警察に被害を届け出たことで事件が発覚しました。
取り調べに対し、Aさんは、「被害者と性行為したことは間違いありません」と容疑を認めているということです。
(rkb 4/2(火)13:37配信の記事を参考にして、内容や地名を一部変更し引用しています。)
1,不同意性交等罪について(刑法177条)
1項
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3項
16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
※前条(刑法176条)第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由
①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
不同意性交等罪は、①~⑧までの行為や原因により、被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、性交等をした場合に成立します。
(1)は被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性交等をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性交等をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)は被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)は被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性交等をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
「性交等」には、性交、肛門性交、口腔性交の他に、膣や肛門に、陰茎以外の身体の一部または物を挿入する行為も含まれます。
そのため、無理やり相手の陰部に手で触れた場合には不同意わいせつ罪(刑法176条)の成立が検討されることになりますが、指を陰部に挿入した場合には不同意性交等罪が成立することになります。
また、「わいせつなもの」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを言います。
当該行為がわいせつなものではないと誤信させ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした場合にも成立します。(2項)
被害者が16歳未満の者である場合に、その者に対して性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
ただし、被害者が13歳以上16歳未満の者で、加害者が20歳未満の場合、加害者が被害者よりも5歳以上年長である場合に、性交等をすれば不同意性交等罪が成立します。
被害者が13歳~15歳の場合、加害者が18歳~20歳だと問題になります。
例えば、18歳のXさんが、15歳のYさんに対して性交等を行った場合、Yさんは16歳未満ですが、年齢差が5歳未満であるため処罰の対象外となります。
2,前科を避けるための弁護活動
不同意性交等罪は被害者が存在する犯罪です。
そのため、被害者側との間で示談交渉を進め、被害者側に対して謝罪や被害に対する弁償等を行い、示談の成立を目指します。
示談は当事者同士でもすることはできますが、通常は拗れて上手くいかないことが多いです。
また、特に性犯罪の場合は、捜査機関は加害者に対して被害者の連絡先を教えることは非常に少なく、被害者側も加害者からの連絡を受けてくれる可能性も極めて低いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、被害者の方に丁寧な説明を行うことができ被害者の方も安心して交渉を行うことができ、示談成立の可能性が高まります。
示談といっても加害者側だけに都合のいい内容での示談は期待できません。
被害者側の意向や意見をくみ取りつつ、宥恕条項(被害者の謝罪等を受け、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や、刑事告訴の取消や被害届の取下げなどの約定を加えたかたちでの示談を成立させることが必要不可欠であると言えます。
これらの示談交渉は、法律についてあまり詳しいとは言えない一般の方が行うことは難しいため、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメです。
不同意性交等罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されていても、示談が成立していれば、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
被疑者が逮捕されてから起訴されるまで最大でも23日間しかありません。
その間に示談を成立させることができれば、公訴を提起されずに済むことが期待できます。
公訴を提起されてしまえば、例えば勤め先を解雇されるとか、結婚している場合には離婚など社会生活を送るうえで大きな障害となることが予想されます。
そのため、不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士の力をかりることが重要と言えます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県粕屋町において不同意性交等罪の当事者となってしまった方、またはご家族等が不同意性交等罪で身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱っており、刑事事件・少年事件に対する様々な経験や高い実績があります。
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【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース)
【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース)
事例:商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース
3月7日夜福岡市の商業施設で女性のスカートの中を盗撮していたとして44歳の無職のAさんが現行犯逮捕されました。
「性的姿態撮影等処罰法」いわゆる盗撮処罰法違反の疑いで現行犯逮捕されたのは福岡市博多区の無職のAさんです。
警察によりますとAさんは7日午後8時20分ごろ福岡市天神の商業施設で韓国から観光で訪れていた29歳の女性Vさんが陳列棚を見ていたところ後ろから近づきスカートの中にデジタルカメラを差し入れて下着を撮影しました。
一緒にいたVさんの家族らが気づき近くの警備員に通報し発覚しました。
Aさんは調べに対し「やったことは間違いありません」と容疑を認めています。
警察は余罪の有無についても詳しく調べています。
(KBC 福岡 03/08 08:36の記事を一部変更し引用しています。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影〉
次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
2 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去に関する法律2条。以下「性的姿態撮影等処罰法」といいます。)
いわゆる盗撮行為は、従前も各都道府県の迷惑防止条例に違反し処罰の対象となっていましたが、2023年7月13日に施行された性的姿態等撮影処罰法により性的姿態等撮影罪等を設けることで盗撮行為が厳罰化され、都道府県により刑罰の差異が無くなりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由なく、人の性的な部位や身に着けている下着やわいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態などの性的姿態等を撮影される者の同意を得ることなく撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合など、極めて限定的な場合にのみ認められるものと考えられています。(参考:法務省 性犯罪関係の法改正Q&A Q4 A4)
また、13歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、その撮影される者よりも5年以上年上の者が性的姿態等を撮影する行為も処罰対象となります。
13歳未満の者、あるいは13歳以上16歳未満の者は、大人と比べて心身の両側面において成長が不十分であり、それに乗じて性的な姿態を撮影する行為を処罰することが目的であると考えられます。
2,性的姿態等撮影罪とその弁護活動
性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留された場合、起訴されるまでの間は最大で23日間しかありません。
その間に、被疑者として身柄を拘束され、警察と検察の取調べを受けることになりますが、罪を認めている場合でも、警察と検察にどのようなことを話せばいいのかなど、適切かつ丁寧なアドバイスを法律の専門家である弁護士から受けることが大切です。
なぜなら、身柄を拘束されている被疑者は1人で不安を抱えたまま取調べに臨むことになるため、話さなくてもいいことまで話してしまい刑が重くなる可能性もあり得るからです。
また、性的姿態等撮影罪は被害者がいる犯罪であるため、被害者との示談を成立させるための弁護活動を行います。
被害者に対し謝罪や被害弁償を行うことで被害者からの宥恕(被害者に対して謝罪し、それを受けて加害者の刑事処罰を求めないという意思)を得ることができれば、起訴猶予による不起訴処分や仮に起訴されてしまった場合でも執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなります。
不起訴処分となれば前科が付くのを回避でき、また執行猶予付き判決を獲得できれば実刑を回避できるため、これまで通りの日常生活に戻ることができます。
また、勾留による身柄拘束は、被疑者に証拠隠滅又は逃亡のおそれが認められるためになされるものですが(刑事訴訟法207条1項、60条1項各号)、示談が成立していれば、そのおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
以上より、刑事事件はスピードがなによりも大切です。
性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留された場合には、刑事弁護において経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士の迅速なサポートを受けることが重要なります。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において性的姿態等撮影罪の当事者となってしまった方または家族・親族が当事者となってしまった方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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会社に隠しカメラで性的姿態等撮影罪、不特定多数との示談交渉
会社に隠しカメラで性的姿態等撮影罪、不特定多数との示談交渉
性的姿態等撮影罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事件
福岡県直方市に住んでいる会社員Aさんは、自身が勤めている会社のトイレに隠しカメラを仕掛けていました。
Aさんはその隠しカメラで日常的に盗撮を繰り返していましたが、トイレの清掃員に隠しカメラを見つかってしまいました。
隠しカメラのことが見つかったことで、会社は警察に通報することにしました。
そして直方警察署の捜査によって仕掛けたのはAさんであることが分かり、性的姿態等撮影罪の疑いでAさんは逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
性的姿態等撮影罪
令和5年7月13日に施工された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」に、性的姿態等撮影罪は定められています。
参考事件に適用されたのはこの法律の第2条第1項であり、この条文は「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」を禁じています。
「性的姿態等」も同条に記載があり、人の性的な部位又は人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分、その他のわいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態となっています。
第2条第1項に違反した場合は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が刑罰として科されます。
参考事件のAさんは盗撮行為を目的に会社のトイレに隠しカメラを仕掛け、人の性的姿態等を撮影していることから、性的姿態等撮影罪が成立しました。
被害者の多い盗撮事件
Aさんは日常的に盗撮行為を繰り返していたことから、盗撮をしていた期間は長期にわたっていると考えられます。
また、会社のトイレは多数の人が利用する場所です。
そのため参考事件は、不特定の被害者が非常に多くなっていると予想できます。
盗撮事件において、示談の締結は減刑を目指す上で最も効果的です。
しかし参考事件のような盗撮事件の場合、不特定多数の被害者と連絡を取って示談交渉を進める必要があります。
示談交渉は個人でもできるとはいえ、個人の力で多数いる面識のない被害者を特定し、示談交渉を進めることは現実的ではありません。
また、警察に被害者の連絡先を聞いたとしても、基本的に教えてもらうことはできません。
このようなケースで示談の締結を目指すのであれば、弁護士によるサポートは欠かせません。
性的姿態等撮影罪での示談交渉をお考えであれば、盗撮事件に詳しい弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。
盗撮事件の経験が豊富な弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件及び少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所は土、日、祝日も24時間対応しているフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料でご利用いただける法律相談、逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
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