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【少年事件解説】同級生に万引きを行わせた中学生 窃盗容疑で警察の取調べ(前編)
同級生に万引きを行わせたことにより、中学生が窃盗容疑で警察の取調べを受けた架空の事件を参考に、間接正犯や教唆犯・共同正犯の成立について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
北九州市内の中学校に通う少年A(15歳)は、同校内の特別支援学級に通う知的障害を有する同級生のBに命じ、家電量販店で欲しかったゲームソフト1点の万引きを行わせ、Bから回収しました(X事件)。
犯行後、Bは体調不良で学校を欠席するようになりました。Aは別の同級生Cに「前に成功した店だから絶対に大丈夫。」と唆し、同店でCにゲームソフト数点の万引きを行わせ、Cから情報提供料として内1点を譲り受けました(Y事件)。
後日、被害に気づいた同店が警察に被害届を提出し、防犯カメラの映像からBとCの犯行が明らかになりました。BとCは、警察の取調べに際しAの関与を供述したことから、Aは窃盗の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)
間接正犯の成立について
万引きは、他人の財物を窃取する行為であり、窃盗罪が成立します(刑法第235条)。
万引きを直接実行したのは、X事件ではB、Y事件ではCですが、関与したAにも同罪が成立するか問題となります。
自身で直接犯行を行わなくても、事情を知らない他人や、幼児などの是非を弁識する能力のない者を利用して犯行を行う場合、正犯が成立するとされます(これを「間接正犯」といいます。)。
具体的には、他人を利用する者が、(1)自らの犯罪として行う意思を有し、(2)他人の行為を道具として一方的に支配・利用した、と認められる場合に間接正犯が成立し得ると解されます。
X事件で、(1)について、Aは自分の欲しかったゲームソフトの万引きをBに行わせ、回収し自分の物としている点で、自らの犯罪として行う意思を有したと認定し得ると考えられます。
(2)について、Bは特別支援学級に通う知的障害を有する生徒であることから、是非を弁識する能力のないBをAが一方的に利用したものと認められる可能性が十分にあります。
以上のことから、X事件で、Aに間接正犯として窃盗罪が成立し得ると考えらえます。
なお、この場合、Bは心神喪失(精神の障害により、善悪を区別する能力が全くない状態)に当たるとして、不可罰になると考えられます。
次回の後編では、Y事件における教唆犯及び共同正犯の成立について解説していきます。
少年が万引きに関与して取調べを受ける場合の弁護活動
窃盗罪は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科する、とされる罪ですが、本件は15歳の少年による事件のため、原則として刑事裁判や刑事罰の対象とはならず、少年法における少年事件として取り扱われます。
ただし、捜査段階では成人の刑事事件と原則同じ手続きとなるため、逮捕・勾留され、長期の身体拘束を強いられる可能性はあります。
そうした不利益を回避する可能性を高めるためにも、できるだけ早期の段階で刑事事件や少年事件の弁護活動の実績が豊富な弁護士に相談し、事件の見通しや取調べ対応などについて法的な助言を得ることをお勧めします。
福岡県の刑事事件・少年事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、窃盗の刑事事件・少年事件対応の豊富な実績があります。
ご家族の少年が窃盗に関与したとして警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】配偶者の虐待を黙認した場合に罪に問われる可能性(後編)
前回に引き続き、同居の母に対する虐待の疑いで、傷害の容疑で息子夫婦が逮捕された架空の事件を参考に、配偶者による虐待を黙認した場合に共謀共同正犯や不作為の幇助犯として罪に問われる可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の会社員男性A(55歳)は、妻B(54歳)と母V(88歳)と3人で同居していましたが、Bは要介護認定を受け寝たきりのVの在宅介護のストレスから、Vの腕をつねるなどの虐待を行うようになりました。
Aは、BからVに対する虐待が行われている様子を目にすることがあっても、Bとの関係悪化を恐れ、見て見ぬふりをしていました。
Vの娘XがA宅を訪問した際、Vの腕の多数の内出血に気づき、AとBによる虐待を疑い警察に通報したことにより捜査が開始され、AとBはVへの傷害の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
前回の前編では、共謀共同正犯の成立について解説しました。
不作為の幇助犯の成立について
Aに傷害罪の共謀共同正犯が認められなかった場合でも、BのVに対する暴行を黙認したことが、Aの犯行を手助けしたものとして、なお傷害罪の幇助犯が成立するか問題となります。
幇助犯の成立には、正犯の犯行を容易にする行為がなされたこと(作為)が通常必要とされるため、具体的な行為を行わなかったこと(不作為)を、作為と同視して処罰するには、(1)正犯の犯行を阻止する義務を有すること、(2)阻止することが可能かつ容易であったこと、が必要とされます。
本件では、(1)について、Aは実母であるVの扶養義務(民法877条)を負う上、要介護認定を受け寝たきりのVと妻Bの3人で同居していることから、BのVに対する虐待が行われている様子を目にした場合は、それを阻止する義務を有すると認められる可能性があります。
(2)について、AはBの夫であり、特段の事情がない限り、Vに対する暴行を阻止することが可能かつ容易であったと認められる可能性が高いと考えられます。
なお、子の虐待死事件において、夫から子への暴行を阻止する行為をとらなかった妻に対し、傷害致死罪の幇助犯を認定した裁判例があります。
虐待を黙認したことで逮捕された場合の弁護活動
傷害罪の共謀共同正犯の場合、通常の法定刑である15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があり、幇助犯の場合でも、刑の減軽はされますが、なお懲役刑の実刑などの重い処罰を受ける可能性はあります。
共謀共同正犯や不作為の幇助犯の成立の認定に際し、実行行為者との意思の連絡の有無や犯行への関与の形態などについて、逮捕後の取調べで厳しく追及されることが予想されるため、早めに弁護士と接見し、事件の見通しや取調べ対応などについて法的な助言を得ることが重要です。
また、捜査機関が押さえている物的証拠や実行行為者の供述内容など、捜査状況を的確に把握した上で対応を検討する必要があるため、刑事事件に強い弁護士に依頼し、適切な弁護活動を早く開始してもらうことをお勧めします。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
配偶者による虐待を黙認したことによる傷害の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】配偶者の虐待を黙認した場合に罪に問われる可能性(前編)
同居の母に対する虐待の疑いで、傷害の容疑で息子夫婦が逮捕された架空の事件を参考に、配偶者による虐待を黙認した場合に共謀共同正犯や不作為の幇助犯として罪に問われる可能性について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の会社員男性A(55歳)は、妻B(54歳)と母V(88歳)と3人で同居していましたが、Bは要介護認定を受け寝たきりのVの在宅介護のストレスから、Vの腕をつねるなどの虐待を行うようになりました。
Aは、BからVに対する虐待が行われている様子を目にすることがあっても、Bとの関係悪化を恐れ、見て見ぬふりをしていました。
Vの娘XがA宅を訪問した際、Vの腕の多数の内出血に気づき、AとBによる虐待を疑い警察に通報したことにより捜査が開始され、AとBはVへの傷害の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
共謀共同正犯の成立について
人の身体を傷害した者には、傷害罪が成立します(刑法第204条)。
本件で、Vの腕をつねる暴行を加え、内出血を負わせたBに同罪が成立することは明らかですが、Bの当該行為を黙認したAにも同罪が成立するか問題となります。
2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする、と定められています(刑法第60条)。
「正犯」とは、自ら犯罪を実行する者とされ、原則、法定刑で処罰されるのに対し、正犯を幇助、つまり手助けするに過ぎない者は「従犯」とされ、刑が軽減されます(刑法第62条)。
2人以上の者がそれぞれ、(1)互いに共同で犯罪を実行するという意思の連絡のもと、(2)犯行の一部を実行した、という(1)及び(2)の要件を充たす場合に正犯と認められるのが通常ですが、(2)の要件を欠く、つまり犯行の一部を実行していない者であっても、実行した者との関係性、犯行に至るまでに果たした役割、犯行による分け前の分与その他の事情を考慮し、正犯と認められることがあります(これを「共謀共同正犯」といいます。)
本件で、BはVへ暴行を加えていませんが、Vへの暴行についてAとBの間で意思の連絡があったと認められる場合、共謀共同正犯としてBも傷害罪が成立する可能性があります。
なお、子の虐待死事件において、子に死因となる暴行を加えたのは妻であっても、それをあえて制止せず黙認した夫との間の意思の連絡を認め、夫に傷害致死罪の共謀共同正犯を認定した裁判例があります。
次回の後編では、不作為の幇助犯の成立について解説していきます。
虐待を黙認したことで逮捕された場合の弁護活動
傷害罪の共謀共同正犯の場合、通常の法定刑である15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があり、幇助犯の場合でも、刑の減軽はされますが、なお懲役刑の実刑などの重い処罰を受ける可能性はあります。
共謀共同正犯や不作為の幇助犯の成立の認定に際し、実行行為者との意思の連絡の有無や犯行への関与の形態などについて、逮捕後の取調べで厳しく追及されることが予想されるため、早めに弁護士と接見し、事件の見通しや取調べ対応などについて法的な助言を得ることが重要です。
また、捜査機関が押さえている物的証拠や実行行為者の供述内容など、捜査状況を的確に把握した上で対応を検討する必要があるため、刑事事件に強い弁護士に依頼し、適切な弁護活動を早く開始してもらうことをお勧めします。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
配偶者による虐待を黙認したことによる傷害の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み逮捕(後編)
前回に引き続き、わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み、わいせつ誘拐罪などで逮捕された架空の事件を参考に、わいせつ誘拐罪、監禁罪、不同意わいせつ罪の成立とその弁護活動及び未遂と中止未遂ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県糟屋郡内のショッピングモールで、女児V(4歳)を多目的トイレに連れ込み、わいせつな行為をしようとしたとして、福岡市在住の会社員の男A(25歳)が、わいせつ誘拐、監禁、不同意わいせつ未遂の容疑で逮捕されました。
福岡県粕屋警察署の調べによると、犯行当時、玩具売場で母親から離れて1人で遊んでいるVに、「お母さんが探している」と嘘を告げ、わいせつ行為を行う目的で、玩具売場外の多目的トイレに連れ込んで中から鍵をかけたところ、Vが泣き叫んだため解放したとのことです。
Aは容疑を認めており、「Vが泣いてかわいそうになったので、わいせつ行為には及んでいない」と供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
前回の前編では、わいせつ誘拐罪、監禁罪及び不同意わいせつ罪の成立について解説しました。
未遂とは
本件Aは、Vにわいせつ行為を行う前に解放したとして、同罪の未遂の容疑で逮捕されています。
未遂とは、犯罪の実行に着手したが、これを遂げなかった場合、と規定されています(刑法第43条)。
どの時点で「犯罪の実行に着手した」と認定されるかについて、判例上明確な基準はありませんが、犯罪の結果発生の現実的危険性のある行為が開始された時点、と解する立場が有力です。
旧強姦罪(現行法の不同意性交等罪)の判例ですが、被害者を性交目的でダンプカーの運転席に引きずり込もうとした段階で、犯罪の実行に着手したと認定し未遂犯が成立したものがあります。
本件で、Aがわいせつ目的でVを多目的トイレに監禁し、Vの服を脱がせようとするなどのわいせつ行為に及ぶような挙動を見せていた場合、不同意わいせつ罪の現実的危険性が生じるに至ったとして、不同意わいせつ罪の実行に着手したと認定され得ると考えられます。
中止未遂とは
未遂の場合は、刑を減軽することができる、と規定されていますが、未遂のうち、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する、と規定されています(刑法第43条)。
刑が必ず減軽又は免除される点で、通常の未遂と区別して、中止未遂と呼ばれます。
「自己の意思により犯罪を中止した」について、判例上明確な基準はありませんが、通常犯行の継続を思いとどまらせるような外部的事情により犯行を中止したような場合は、自発的意思による犯行の中止とは言えないため、中止未遂は成立しないとされます。
本件でAは、「Vが泣いてかわいそうになったので、わいせつ行為には及んでいない」と供述していますが、多目的トイレの外にVの泣き叫ぶ声が漏れて、犯行が直ちに発覚するのを防ぐためなど、やむなく犯行を中止したものと認定された場合は、中止未遂は成立しないこととなります。
中止未遂が成立しない場合は、通常の未遂として、刑が任意的に減免されることとなります。
幼児に対するわいせつ誘拐罪などの弁護活動
幼児が被害者となるわいせつ誘拐罪や不同意わいせつ罪などは、被害児童の今後の日常生活や対人関係に深刻な影響を及ぼす可能性があり、悪質と評価されやすく、被害者側との示談が成立したとしても不起訴処分を得られるとは限りません。
しかしながら、示談の成否は、起訴された場合の量刑や執行猶予の判断にも影響を及ぼし得るため、示談を成立させることはなお重要と言えます。
示談交渉は通常、被害者本人と行うものですが、被害者が幼児である場合は、当然ながら、両親等の保護者と行うこととなります。
保護者は、子どもの心身に深刻な被害を受けたということで、犯人を許せないという処罰感情が強いことが一般的であり、示談交渉を断られる可能性もあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
また、中止未遂が認められる可能性がある場合、被疑者(被告人)にとって有利となる事情を捜査機関や裁判所に的確に主張できるかが重要であり、この点からも、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談し、適切な弁護活動を開始してもらうことをお勧めします。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、未成年者が被害者である様々な性犯罪において、保護者との示談締結により不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
ご家族が幼児に対するわいせつ誘拐罪などで逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み逮捕(前編)
わいせつ目的で幼児を多目的トイレに連れ込み、わいせつ誘拐罪などで逮捕された架空の事件を参考に、わいせつ誘拐罪、監禁罪、不同意わいせつ罪の成立とその弁護活動及び未遂と中止未遂ついて、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県糟屋郡内のショッピングモールで、女児V(4歳)を多目的トイレに連れ込み、わいせつな行為をしようとしたとして、福岡市在住の会社員の男A(25歳)が、わいせつ誘拐、監禁、不同意わいせつ未遂の容疑で逮捕されました。
福岡県粕屋警察署の調べによると、犯行当時、玩具売場で母親から離れて1人で遊んでいるVに、「お母さんが探している」と嘘を告げ、わいせつ行為を行う目的で、玩具売場外の多目的トイレに連れ込んで中から鍵をかけたところ、Vが泣き叫んだため解放したとのことです。
Aは容疑を認めており、「Vが泣いてかわいそうになったので、わいせつ行為には及んでいない」と供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
わいせつ誘拐罪及び監禁罪について
未成年者を誘拐した者は、未成年者誘拐罪(法定刑は3月以上7年以下の懲役)が成立しますが、わいせつ目的があった場合、被害者が成人の場合と同様、わいせつ誘拐罪(法定刑は1年以上10年以下の懲役)が成立します(刑法第224、225条)。
「誘拐」とは、欺罔又は誘惑を手段とし、人を従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配下に置くこと、とされます。
本件で、AはVに「お母さんが探している」と嘘を告げて「欺罔」しており、「わいせつ行為を行う目的」で、母親のいる玩具売場外の多目的トイレに連れ込んでおり、Vを「従来の生活環境から離脱」させ「事実的支配下」に置いたものとして、わいせつ誘拐罪が成立し得ます。
また、不法に人を監禁した者は、監禁罪(法定刑は3月以上7年以下の懲役)が成立します(刑法第220条)。
監禁罪は、人の身体的活動の自由を奪う犯罪とされますが、幼児であっても自らの意思に基づき活動する能力を通常有するため、対象の「人」に含まれます。「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすること、とされます。
本件で、AはVを多目的トイレに連れ込んで中から鍵をかけており、4歳のVが自らトイレから脱出することは著しく困難であると考えられ、監禁罪も成立し得ます。
不同意わいせつ罪について
16歳未満の者に対しわいせつな行為をした者は、被害者の同意の有無にかかわらず、一定の例外を除き、不同意わいせつ罪が成立します(刑法第176条)。
同罪は、令和5年の性犯罪規定に関する刑法改正によって、従来の強制わいせつ罪に代わり、新たに創設された犯罪で、令和5年7月13日から施行されました。
法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑、とされています(「拘禁刑」はまだ施行されていないので、それまでは「懲役」になります。)。
なお、強制わいせつ罪では、被害者の同意の有無にかかわらず犯罪が成立する被害者の年齢が「13歳未満」であったところ、不同意わいせつ罪では「16歳未満」に引き上げられています(但し、被害者の年齢が13歳以上16歳未満の場合は、加害者と被害者の年齢差による一定の例外があります。)。
次回の後編では、不同意わいせつ罪の未遂と中止未遂について解説していきます。
幼児に対するわいせつ誘拐罪などの弁護活動
幼児が被害者となるわいせつ誘拐罪や不同意わいせつ罪などは、被害児童の今後の日常生活や対人関係に深刻な影響を及ぼす可能性があり、悪質と評価されやすく、被害者側との示談が成立したとしても不起訴処分を得られるとは限りません。
しかしながら、示談の成否は、起訴された場合の量刑や執行猶予の判断にも影響を及ぼし得るため、示談を成立させることはなお重要と言えます。
示談交渉は通常、被害者本人と行うものですが、被害者が幼児である場合は、当然ながら、両親等の保護者と行うこととなります。
保護者は、子どもの心身に深刻な被害を受けたということで、犯人を許せないという処罰感情が強いことが一般的であり、示談交渉を断られる可能性もあるため、刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士への相談をお勧めします。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、未成年者が被害者である様々な性犯罪において、保護者との示談締結により不起訴処分や刑の減軽などを獲得した実績があります。
ご家族が幼児に対するわいせつ誘拐罪などで逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】所持品検査に違法性の疑いのある覚醒剤所持事件
職務質問に伴う所持品検査により、覚醒剤所持が発覚し現行犯逮捕された架空の事件を参考に、所持品検査の違法性と押収された証拠の証拠能力について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の自営業男性A(28歳)が深夜、同市中央区天神の路地に佇んでいたところ、巡回中の福岡県中央警察署の警察官Pに気づき慌てた様子で立ち去ろうとしました
PはAを呼び止め、Aの挙動不審な様子から、何らかの犯罪の嫌疑があると考え、Aに職務質問を行い、所持しているバッグの中身を見せるように言いました。
Aが拒否してその場を去ろうとしたため、PはAの進路を塞ぎ、Aのバッグを掴んで開き、中から粉末入りの小袋と注射器を発見しました。その場で検査したところ、粉末が覚醒剤であると判明したため、Aは覚醒剤所持の容疑で現行犯逮捕され、覚醒剤と注射器は証拠として押収されました。
(事例はフィクションです。)
所持品検査の違法性について
警察官は、何らかの犯罪の嫌疑がある者に対し、職務質問を行うことができます(警察官職務執行法第2条第1項)。
職務質問に伴い所持品検査を行うことは、職務質問の効果をあげる上で必要性、有効性の認められる行為であるとして、許容される場合があるとされますが、任意の職務質問に附随する行為として許容される以上、所持人の承諾を得て、その限度で行うのが原則とされます。
本件で、Aは所持品検査を承諾しておらず、Pはその場を立ち去ろうとするAの進路を塞いだ上、Aのバッグを掴んで開いています。
詳細な状況次第ではありますが、本件所持品検査は、Aの意思に反して、所持品の捜索・押収を受けることのない権利(憲法第35条)を侵害する強制処分(個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するもの)であるとして、捜索・差押令状なく行うことが違法と判断される可能性があります。
また、強制処分に至るものではないと判断された場合でも、本件所持品検査の必要性・緊急性を考慮の上、具体的状況の下で相当と認められる限度を超えた処分として、なお違法と判断される可能性はあります。
違法な所持品検査により押収された証拠の証拠能力
本件所持品検査が違法と判断されたとしても、Aが押収された覚醒剤を所持していた事実に変わりはないため、Aはこれを所持していたことによる覚醒剤取締法違反(所持)で有罪と認定され得るでしょうか。
これについて、証拠収集手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法捜査抑止の見地からして相当でないと認められる場合、証拠能力を否定すべきと解されています。
証拠能力とは、証拠として公判廷に提出して事実認定に供しうる能力とされますので、証拠能力が否定される場合、当該証拠に基づく有罪認定はできなくなります。
本件に照らすと、所持品検査に、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これによって押収された覚醒剤等を証拠として許容することで、将来同様の違法な所持品検査が繰り返されるおそれがあり相当でないと認められる場合、押収された覚醒剤等の証拠能力が否定され、これらを証拠としては覚醒剤取締法違反(所持)で有罪と認定されないことになります。
所持品検査に違法性の疑いのある覚醒剤所持事件の弁護活動
覚醒剤使用・所持などの薬物事件では、令状又は本人の許可なく行われた居室への立ち入りや、実質逮捕に相当するような任意同行などについて、捜査の違法性が認定され、違法な捜査により得られた証拠の証拠能力が否定された結果、無罪となった裁判例が数多くあります。
他方で、捜査の違法性を認定しつつも、得られた証拠の証拠能力までは否定せず有罪とされる場合もあるため、公判で捜査の違法性を主張することにより無罪を争うことは容易ではありませんが、弁護人が、起訴される前の段階で検察官に対し、所持品検査の違法性を十分な説得力をもって主張することで、検察官が不起訴処分を選択する可能性を高めることができると考えられます。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件に強く、覚醒剤所持などの薬物事件で、不起訴処分を獲得した実績があります。
ご家族が覚醒剤所持の容疑で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】常習賭博罪の成立と一事不再理効について
常習賭博罪で有罪の確定判決を受けた者が、裁判中に開始した別の賭博行為により警察の取調べを受けた事件を参考に、常習賭博罪の成立や一事不再理効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の会社員男性Aは、2020年1月から同年12月までの間、オンラインカジノで度々金銭を賭けたとして、常習賭博罪で起訴され有罪となり、懲役1年6月(執行猶予3年)の判決を受け、2021年6月に刑が確定しました。
Aは、裁判中の2021年4月頃から再びオンラインカジノを行うようになり、そのことが同年12月に警察に発覚し、同年4月から12月までの賭博行為について、警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)
常習賭博罪の成立について
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する、と定められているのに対し、常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処するとされ、賭博行為をした者に常習性が認められる場合に刑を加重しています(刑法第185条、186条)。
常習賭博における「常習」とは、反復・継続して賭博をする習癖のあることを意味し、判例によると、賭博行為の種類、賭けの金額、賭博行為が行われた期間・回数、同種前科の有無などの諸般の事情により総合的に判断されます。
常習性が認められる場合には、個々の賭博行為に賭博罪が成立するのではなく、常習賭博罪一罪が成立することにとなります。
一事不再理効について
本件Aは、2020年1月から同年12月までの間のオンラインカジノでの賭博行為により、常習賭博罪で懲役1年6月(執行猶予3年)の確定判決を受けていますが、当該賭博行為とは別の、2021年4月から同年12月までの間のオンラインカジノでの賭博行為について、別途罪に問われる可能性はあるのでしょうか。
何人も、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない、との憲法第39条の規定を受け、刑事訴訟法第337条で、既に確定判決を経た場合に再度起訴された場合、判決で免訴の言渡しをしなければならない、と定められています。
この規定は、一度有罪判決を受ける危険にさらされた者を同じ事実で再び危険にさらすべきではないという、「二重の危険」の考えに基づくものとされ、「一事不再理効」と呼ばれます。
ここで、「確定判決を経た」の範囲が問題となりますが、公判手続において、「公訴事実の同一性」の範囲で審判対象である訴因の変更が許され、有罪とされる危険が生じることから(刑事訴訟法第312条参照)、訴因の変更が許される「公訴事実の同一性」の範囲と「確定判決を経た」の範囲が通常重なると考えられます。
常習賭博罪は、常習性が発現された賭博者の一連の賭博行為を、1個の常習犯罪として処罰の対象とするものであり、本件Aが起訴され有罪の確定判決を受けた常習賭博罪の判決確定時までに反復して行われた賭博行為は全て、同裁判の「公訴事実の同一性」の範囲に含まれると考えられます。
よって、確定判決を受けた2021年6月より前に行っていた、2021年4月から同年6月までの賭博行為は、既に「確定判決を経た」場合にあたるとして、起訴された場合は免訴になる可能性が高いため、罪に問われる可能性は低いと考えられます。
他方で、2021年7月から同年12月までの賭博行為は、確定判決後に新たに行われているため、そもそも一事不再理効の問題とはならず、別途、賭博罪や常習賭博罪として罪に問われる可能性はあると考えられます。
賭博の容疑で取調べを受ける場合の弁護活動
賭博の容疑で逮捕されるなどして警察の取調べを受ける場合、賭けの金額、賭博行為が行われた期間・回数、などを中心に聴取され、常習性が認められると判断された場合には、容疑が常習賭博罪に変わる可能性があります。
また、警察の取調べで作成される供述調書は、検察官が処分を判断する際の重要な判断材料になるほか、起訴され裁判となった場合は、証拠となります。
そのため、意思に反した供述調書が作成されるなどして不利益を被らないよう、刑事事件の弁護活動の経験豊富な弁護士に、取調べ対応について事前に相談しておくことをお勧めします。
この他、弁護士は検察官と処分交渉を直接行うことも可能なため、弁護士に依頼することで、ギャンブル依存症の治療のため専門機関を受診していることや、二度と賭博を行わないことを誓約していることなど、被疑者に有利な事情を弁護士が検察官に申述することで、不起訴処分を獲得できる可能性を高めることが期待できます。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において不起訴処分を獲得した実績が数多くあります。
自身やご家族が賭博の容疑で警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】特殊詐欺で勾留 接見禁止解除の弁護活動
特殊詐欺事件で逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされた事件を参考に、接見禁止解除の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡市在住の男子大学生A(21歳)は、アルバイト先の先輩からの誘いをきっかけに高齢者を騙して現金を振り込ませる特殊詐欺事件に加担したことで、詐欺の容疑で逮捕され、福岡県中央警察署の留置場に身体拘束されました。
中央警察署からAの父Bに、Aが逮捕されたという連絡があった2日後、再び警察からBに、Aに対して10日間の勾留が決定したことと併せて、接見禁止決定がなされたため面会できない旨の連絡がありました。
Aと早く面会して直接話をしたいBは、刑事事件に強い弁護士にどうしたらよいか相談しました。
(事例はフィクションです。)
接見禁止決定とは
被疑者が警察に逮捕された場合、通常、警察所の留置場に身体拘束されます。逮捕後から勾留決定前は、弁護人及び弁護人となろうとする者以外との面会は基本的に認められていないため、家族であっても被疑者と面会をすることはできません。
逮捕から最大3日間の身体拘束後に勾留決定が行われる際に、接見禁止決定がなければ、面会時間や警察官の立会等の制約はありますが、家族を含めて一般の方でも面会することが通常可能となります。
しかし、事例の特殊詐欺事件のような複数の共犯者がいる組織的な犯罪の場合は、被疑者が一般面会を利用して、口裏合わせなどの証拠隠滅を図ることを防ぐため、勾留決定と併せて接見禁止決定が裁判所によりなされることが多いです。
身体拘束を受けたまま起訴された場合、基本的には、判決が出されるまで身体拘束が継続することになります。起訴されてから判決が出るまでの期間は、場合によっては数か月やそれ以上に及ぶこともあり、接見禁止決定がなされると、そのままでは家族であっても長期間面会できない可能性があります。
接見禁止解除の弁護活動
接見禁止決定は、逃亡・罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があることが要件(刑事訴訟法第81条)ですが、事件と無関係の両親との面会により、逃亡・罪証隠滅することが疑われる可能性は一般的に低いと思われます。
そこで、弁護人は、接見禁止決定に対して、その一部の解除、例えば、両親等の特定の親族との関係においてのみ面会を許すよう、裁判所に申立てを行い、被疑者と両親等との早期の面会を可能とする弁護活動を行うことが考えられます。
接見禁止の一部解除の申立てにおいて、対象者が事件と関係ないため被疑者との面会を認めても逃亡・罪証隠滅の恐れがないこと、対象者と被疑者との間で接見を認める必要性があることなどを申述する必要があり、経験の豊富な弁護人からの申立てが有効です。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、被疑者が身体拘束され接見禁止決定がなされた刑事事件も多数取り扱い、接見禁止解除の弁護活動により、被疑者とご家族との早期の面会を可能とした実績が多数あります。
ご家族が逮捕・勾留され、接見禁止決定がなされて面会ができないなどしてお悩みをお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
【事例解説】飲酒による酩酊状態での器物損壊事件
公務員が飲酒による酩酊状態で器物損壊し逮捕された架空の事件を参考に、酩酊状態での犯行における刑事責任能力と器物損壊罪の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
福岡県久留米市内の居酒屋で、店の扉を壊したとして、同市内在住の同市職員の男性A(28歳)が逮捕されました。
警察の調べによると、事件当時Aは飲酒により酩酊しており、トイレの扉を蹴って損壊したところ、被害に気づいた店員が警察に通報し、駆け付けた警察官により逮捕されました。Aは、酷く酩酊していたため全く覚えていないと供述しているとのことです。
(事例はフィクションです。)
心神喪失と心神耗弱について
心神喪失者や心神耗弱者の犯行については、刑事責任能力の欠如を根拠に刑の免除や減軽が規定されています。精神の障害により、善悪を区別する能力又は自分の行動を制御する能力が全くない状態を「心神喪失」、著しく減退している状態を「心神耗弱」といいます(刑法第39条)。
心神喪失や心神耗弱が認定される例として、統合失調症や躁うつ病等の精神障害、知的障害や認知症、薬物や飲酒による酩酊状態などが挙げられますが、例えば、精神障害であれば一律に責任能力を欠くという訳ではなく、犯行当時の病状、犯行前の生活状態や犯行の動機・態様などから、犯行がその障害の影響によるものであると認定される必要があります。
飲酒による酩酊状態と刑事責任能力
飲酒による酩酊状態の場合、普段の酒癖や犯行前の飲酒量、犯行の動機・態様、犯行前後の言動などが総合的に考慮されて責任能力が判断されることになりますが、一般的な酩酊状態(「単純酩酊」)の場合は、完全な責任能力が認められる可能性が非常に高いです。
仮に、著しい興奮が生じる「複雑酩酊」や幻覚が生じるほどの「病的酩酊」として、心神喪失や心神耗弱と認定される可能性があるとしても、自由な意思による飲酒でその状態を招いた場合は、刑事責任を認めることとされ、犯罪の成立は妨げられない可能性が高いです(「原因において自由な行為」といいます。)。
公務員による器物損壊事件の弁護活動
器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料、と定められています(刑法第261条)。
Aは地方公務員であることから、起訴され有罪となり万一懲役刑となった場合、執行猶予が付いたとしても、地方公務員法第16条1号で定める「禁錮以上の刑に処せられた者」に該当し、原則として失職することとなります(同法第28条4項)。
他方、器物損壊罪は親告罪であり、被害者からの告訴(犯人の処罰を求める意思表示)がないと起訴されないため、弁護活動としては、早期に被害者に対する謝罪及び被害弁償を行った上、被害者との示談交渉により、告訴をしない又は告訴を取り消す内容を含む示談の成立を目指すことが考えられます。
刑事事件に強く、示談交渉の経験の豊富な弁護士であれば、示談金の支払いと併せて、今後一切、被害店舗に立ち入らない旨を誓約することなどにより、告訴の取り下げ又は告訴をしない内容を含む示談が成立する可能性を高めることが期待できます。
福岡県の刑事事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、器物損壊事件における示談成立による事件解決の実績が数多くあります。
器物損壊事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。
【少年事件解説】大麻取締法違反で17歳の少年を逮捕
大麻取締法違反で17歳の少年が逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
事件概要
福岡市中央区内のコンビニエンストアの駐車場内で乾燥大麻約2グラムを所持したとして、大麻取締法違反(共同所持)の容疑で、同市早良区在住の17歳の男子高校生2人が現行犯逮捕されました。
福岡県中央警察署の調べに対し、2人はいずれも容疑を認めており、「自分たちで吸うために、他校の先輩から約1万2千円で買った」と供述しています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、一部事実を変更したフィクションです。)
少年の大麻取締法違反での身体拘束について
大麻の所持は、5年以下の懲役に処するとされている犯罪です(大麻取締法第24条の2第1項)。
大麻取締法違反などの薬物事件の場合、売人等の事件関係者との口裏合わせや、薬物を使用するための器具類の破棄等の罪証隠滅の恐れがあるとして、逮捕・勾留される可能性が極めて高いですが、これは被疑者が17歳の少年の場合でも同様であり、逮捕され、捜査を行う上でやむを得ないと判断された場合、最長20日間、刑事施設に勾留される可能性があります。
捜査機関による捜査が終了し、犯罪の嫌疑が固まった場合は、全ての事件が家庭裁判所に送致され、少年の性格・資質や精神状態、生活環境などを調べる必要があると判断したときは、「観護措置」として、最長8週間、少年鑑別所に収容された上で、少年審判を受けることになります。
家庭裁判所の審判と保護処分について
17歳の少年の場合、原則として懲役刑などの刑事罰を受けることは無く、家庭裁判所の審判において、少年の非行事実があるとされた場合、非行内容や少年の抱える問題性(「要保護性」といいます。)に応じて、処分を決定します(保護処分又は不処分の決定)。
保護処分(少年法第24条第1項)は、重い順に、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致、保護観察処分、となっています。
保護観察処分は前2者と異なり、少年を家庭や職場等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指すものです。
少年の大麻取締法違反での弁護活動について
捜査段階においては、弁護士が、弁護人として、少年の身体拘束からの解放を目指したり、取調べに関するアドバイスなどの活動をしていく必要があります。
また、事件が家庭裁判所に送致された後は、弁護士が付添人として、少年の更生に向けた活動をし、家庭裁判所に対し適切な処分を求めることが考えられます。
具体的には、少年の家庭や学校での普段の素行を踏まえ、少年本人への働き掛けや、ご家族と協力して、少年を取り巻く環境を整えるなどし、少年が再び非行を行う危険性がない事情などを、主張・立証していくことになります。
特に薬物事件では、その依存性・中毒性により一般に再非行の可能性が高いことから、入手したルートや交友関係を断ち切ることが非常に重要であるため、少年の交友関係や活動場所などを制限していくこと、少年の所持金に関して保護者が管理することなどの取り組みのほか、既に薬物の依存状態になっている場合は、専門的な治療を行うため、専門医療機関への通院なども必要となる可能性があります。
どのような段階で、どのような対応をしていくべきか専門的な判断を必要とするため、少年事件の場合、できるだけ早い段階で少年事件の実績が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。
福岡県の少年事件に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、少年事件における付添人や審判対応の豊富な実績があります。
薬物事件でご家族の少年が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
