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【事例解説】道路交通法違反(速度超過)とその弁護活動(法定速度を約30キロ超過した架空の事例に基づく解説)

2023-12-13

 この記事では、架空の事例を基に、道路交通法違反(速度超過)の成立とその弁護活動について、解説します。

速度超過とは

 速度超過、一般にスピード違反として知られるこの行為は、公道で自動車やバイクを運転する際に、指定された速度を超えた速度で走行することを指します。
 速度超過・スピード違反は、道路交通法で以下のとおり禁止され処罰規定が設けられています。

道路交通法22条
1項 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

道路交通法118条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
 1号 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
3項 過失により前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

事例紹介:法定速度を約30キロ超過して国道を走行したケース

 ある夜、福岡県内の国道で、法定速度を約35キロ上回る時速95キロで走行していた普通乗用車が警察に発見され、停車させられました
 車を運転していたAさんは、警察官から赤い紙を渡され、道路交通法違反で話を聞きたいので、後日警察署に出頭するよう言われました。
(事例はフィクションです。)

交通反則告知書の種類とその影響

 速度超過による交通違反の場合、違反の程度に応じて異なる種類の交通反則告知書が交付されます。
 軽度の違反の場合は、交通違反通告制度により、「青切符」と呼ばれる交通反則告知書が交付されます。
 交通違反通告制度は、軽微な交通違反について、反則金を払うことで公訴を提起されない、または家庭裁判所の審判に付されないこととする制度のことです(道路交通法125条以下)。
 これにより決められた反則金を納付することで、刑事手続きには付されないため、いわゆる前科は付かないことになります。

 一方で、重大な違反、例えば一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の速度超過をした場合は、「赤切符」と呼ばれる交通反則告知書が交付されます。
 赤切符が交付された場合、青切符と異なり、刑事手続きに付されることになります。
速度超過違反事件の多くは、正式裁判ではなく罰金刑にとどまる略式裁判で終了する可能性が高いですが、同種前科がある場合や、大幅な速度超過をしてしまったような場合には、正式裁判が開かれ、懲役刑を受けることもあります。
 そのため、スピード違反で赤切符を交付された場合、1度弁護士に相談されることをお勧めします。

福岡県の道路交通法違反(速度超過)に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、速度超過などの道路交通法違反事件において、刑の減軽等を獲得した実績があります。
 福岡県での道路交通法違反(速度超過)事件で、自身やご家族が赤切符を交付されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】不同意わいせつ致傷罪とその弁護活動(被害者がPTSDを発症した架空の事例に基づく解説)

2023-12-10

 この記事では、架空の事例を基に、不同意わいせつの被害者がPTSDを発症した場合の弁護活動について、解説します。

事例紹介:不同意わいせつの被害者がPTSDを発症したケース

 知人の20代女性Vにわいせつな行為をし、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとして、久留米市在住の会社員男性A(28歳)が不同意わいせつ致傷の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、Aは、車に同乗していたVの身体を触るなどのわいせつな行為を行い、事件後、Vは心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受けたとのことです。
 Aは、Vにわいせつな行為を行ったことは認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

PTSD発症による不同意わいせつ致傷罪の成立

 不同意わいせつ罪(未遂犯も含む)を犯し、これにより人に「傷害」を負わせた場合、不同意わいせつ致傷罪(刑法第181条第1項)が成立します。
不同意わいせつ致傷罪は、令和5年法改正前の強制わいせつ致傷罪にあたる罪であり、法定刑は、無期又は3年以上の拘禁刑(「拘禁刑」の施行までは「懲役」)です。

 「傷害」とは、人の生理的機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良にすることとされており、外傷のみならず、パニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神的な疾患もこれに該当するとされます。

 よって、Aのわいせつ行為とVの心的外傷後ストレス障害(PTSD)の因果関係が認められると、Aに不同意わいせつ致傷罪が成立する可能性があります。

不同意わいせつ致傷事件の刑事弁護

 不同意わいせつ致傷罪は、法定刑に無期懲役を含むため、裁判員裁判の対象となりますが、性犯罪では、裁判員裁判の量刑は一般的に重くなる傾向があり、不同意性わいせつ致傷罪で起訴された場合、実刑となる可能性も十分あります。
 そのため、裁判を回避するために、被害者との示談の成立などにより不起訴処分を目指すことが特に重要だと言えます。
 不同意わいせつ致傷罪は、被害者の告訴がなくとも検察官の判断で起訴できる罪(非親告罪)ではありますが、実務上の運用は、被害者の意思を尊重し、プライバシー侵害が生じないように配慮する観点から、被害者との示談によって告訴の取消しに結びつけることができれば、不起訴処分となる可能性を高めることができると考えられます。

 不同意わいせつ致傷罪の被害者は、加害者に強い嫌悪感や恐怖感などを抱くことが通常であり、加害者が被害者と示談交渉を直接行うことは極めて困難だと考えられますが、弁護士であれば、被害者も話を聞いても良いとなることも多く、示談交渉の余地が生まれ、刑事事件に強く示談交渉の経験豊富な弁護士であれば、十分な内容の示談がまとまる可能性が見込まれます。

 なお、わいせつ行為と傷害の因果関係が疑われる事情、例えば、本件で言えば、被害者が別の要因により、事件前から既に精神疾患を有していた疑いがあるといった事情があれば、そうした事情を取調べの際に供述するなどして、捜査機関にわいせつ行為と傷害の因果関係に疑いを持たせ、捜査を十分に尽くさせることにより、罪名から「致傷」が外れる可能性もあるため、取調べの対応も重要になってくるケースも考えられます。
 不同意わいせつ罪であれば、法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑(懲役)と軽くなる上、裁判員裁判の対象外となり、起訴されても実刑を回避する可能性を高めることが期待できます。

福岡県の不同意わいせつ致傷事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、改正前の強制わいせつ致傷事件において、身体拘束からの早期解放や示談成立による不起訴処分などを獲得している実績があります。
 不同意わいせつ致傷事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】危険ドラッグ所持とその弁護活動(危険ドラッグを所持して逮捕された架空の事例に基づく解説)

2023-12-07

 この記事では、架空の事例を基に、危険ドラッグ所持により成立する犯罪とその弁護活動について、解説します。

危険ドラッグとは

 危険ドラッグは、合法的な薬物に似せて製造された、非合法な薬物です。
 これらは、麻薬や覚せい剤のような既存の薬物に似た効果を持ちながら、法的な規制を逃れるために作られています。しかし、製造過程での不純物の混入などにより、予期せぬ危険性を持つことがあります。
 日本では、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(薬機法)により、これらの薬物は「指定薬物」として規制されています。この法律は、医療目的以外での指定薬物の所持、売買、製造を禁じており、違反した場合には厳しい罰則が科されます。

事例紹介:危険ドラッグを所持して逮捕されたケース

 Aさんは、福岡県在住の大学生で、友人の紹介で危険ドラッグを摂取するようになりました。ある日、危険ドラッグを使用した後に外出したAさんは、警察官に声を掛けられ、その様子から薬物使用の疑いを持たれました。
 警察による家宅捜索の結果、Aさんの自宅から危険ドラッグが発見され、薬機法違反の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

危険ドラッグ所持の法的な罰則

 危険ドラッグの所持は、日本の法律において重大な違反行為とされています。
 具体的には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(薬機法)に基づき、厳しく罰せられます。この法律では、指定薬物の所持、売買、製造などを禁止しており、違反した場合、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはこれらの両方が科される可能性があります。
 特に、大量の危険ドラッグを所持していた場合や、販売目的であった場合など、犯罪の重大性に応じて、より厳しい刑罰が科されることもあります。
 このように、危険ドラッグの所持は、個人の生活に深刻な影響を及ぼすだけでなく、社会的なリスクも高いため、法律によって厳しく規制されているのです。

情状弁護の概念と重要性

 情状弁護は、刑事裁判において被告人に有利な事情を主張し、より軽い判決を求める法的な戦略です。この弁護の目的は、裁判所に被告人の状況や背景、犯罪に至った経緯を理解してもらい、刑罰の軽減を図ることにあります。
 情状弁護では、犯罪の動機や背景、被告人の反省の態度、被害の弁償など、犯罪に至った具体的な事情が重視されます。特に、初犯である場合や、犯罪への反省が見られる場合には、執行猶予の付与など、より寛大な判決が下される可能性が高まります。
 危険ドラッグ所持のような犯罪では、法定刑が比較的軽いため、情状弁護の効果が大きく現れやすいとされています。このため、弁護士は被告人の社会復帰を支援するためにも、情状弁護を適切に行うことが重要となるのです。

危険ドラッグ所持における弁護戦略

 Aさんのケースでは、弁護士はまず、Aさんが危険ドラッグに手を出した背景と動機を詳細に調査しました。友人の影響や社会的圧力、知識の不足など、犯罪に至った要因を明らかにすることが重要です。
 次に、Aさんが犯罪を行った後の反省の態度や、再犯防止のための具体的な計画を裁判所に提示しました。これには、薬物依存治療への参加や、社会復帰に向けた支援プログラムへの参加意向などが含まれます。
 また、Aさんの家族や友人からの支援の証言も、弁護の一環として取り入れられました。
 このように、Aさんの個人的な事情や社会復帰への意欲を強調することで、より寛大な判決を求める戦略が採用されたのです。

福岡県の危険ドラッグ所持事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、危険ドラッグ所持などの薬物事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 福岡県での大麻取締法違反事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【少年事件解説】非行を繰り返し家庭裁判所に送致された少年(架空の虞犯事件に基づく解説)

2023-11-28

 この記事では、架空の事例を基に、少年法で定められている「虞犯少年」について解説します。

事例紹介:福岡県の16歳の家出少女のケース

 福岡市内に住むAさん(16歳)は、高校を退学後、両親との折り合いが悪く、家出をしていました。Aさんは家出中、風俗で働いたり、援助交際をしたりして生活費や遊ぶお金を稼いでいました。
 しかし、ある晩、Aさんは警察官に補導され、家庭裁判所に虞犯少年として送致されました。
(事例はフィクションです。)

虞犯少年とは

 少年法は、少年の健全な育成を目的とし、非行少年に対して性格の矯正や環境の調整を行うことを目指しています。
 少年法では、何らかの罪を犯したわけではないものの、一定の事由があり、その性格や環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年(「虞犯少年」)について、家庭裁判所の審判に付すると規定しています(少年法第3条)。
 その理由として、未だ犯罪行為に至ってはいないけれども、不良な行為をしている少年を早期に発見して適切な保護を加えることにより、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪の発生を未然に防止するためであることがあげられます。

虞犯少年の要件

 虞犯少年を特定するためには、「虞犯事由」と「虞犯性」という主に二つの要素が考慮されます。

虞犯事由
少年法第3条は、虞犯事由として以下の四つを挙げています。
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること: 保護者の監督を必要としながらも、これに従わないことなど。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと: 家庭環境や少年の状況を考慮した上で、家庭に戻らないことに正当な理由がない場合など。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること: 暴力団や暴走族などの非行を誘発する集団への参加や、不健全な風俗営業への出入りなど。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること: 社会的・倫理的規範に反する行為を行う、または他人にさせることなど。

虞犯性
「虞犯性」とは、少年の性格や環境を考慮して、将来的に罪を犯したり、刑罰法令に触れる行為をする可能性があることを指します。この判断は、単なる推測ではなく、経験則に基づく蓋然性が必要とされます。

家庭裁判所送致までの流れ

虞犯少年が家庭裁判所に送致されるまでの流れを詳しく見ていきます。
・虞犯調査の開始: 警察やその他の捜査機関が虞犯少年を認知した際、犯罪としての捜査は行えませんが、虞犯調査を開始します。
・調査内容: この調査では、少年本人や保護者、参考人からの聞き取りを通じて、事件の事実、原因や動機、少年の性格・行状・経歴・教育程度、家庭や学校の状況、交友関係などが調査されます。
・通告と送致: 14歳未満の少年の場合は児童相談所に通告され、14歳以上18歳未満の場合は児童相談所に通告されるか、家庭裁判所に送致されます。
・家庭裁判所での手続き: 家庭裁判所に送致された後、犯罪少年の場合と同様に、家庭裁判所による調査が行われ、その後審判に付されます。

弁護士の役割と重要性

少年事件における弁護士の役割とその重要性について掘り下げます。

少年事件における弁護士の役割
・手続き上の権利の擁護: 弁護士は、少年が法的手続きの中で適切に扱われ、その権利が保護されることを確保します。
・更生へのサポート: 弁護士は、少年の更生と社会復帰をサポートするために、環境調整や改善教育の提案を行います。
・家庭裁判所との連携: 弁護士は家庭裁判所と連携し、少年の状況や背景を理解し、最適な処分を模索します。

弁護士の重要性
 少年事件は、少年の将来に大きな影響を与える可能性があります。弁護士は、少年が再び非行に走らないよう支援し、健全な社会復帰を促進する重要な役割を担います。
 弁護士は、少年とその家族に法的アドバイスを提供し、彼らが直面する複雑な法的プロセスをナビゲートする手助けをします。
 少年事件における弁護士の介入は、少年の人生にとって正の転機をもたらす可能性があり、その重要性は計り知れません。

福岡県の少年事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、少年事件における弁護活動や付添人活動の豊富な実績があります。
 ご家族が非行により家庭裁判所に送致されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(万引き犯が逃走時に店員を転倒させた架空の事例に基づく解説)

2023-11-22

 この記事では、架空の事例を基に、事後強盗罪がどのような場合に成立し、弁護活動がどのように展開されるかを解説します。

事後強盗罪とは

 窃盗犯が、財物を取り返されるのを防ぐこと、逮捕を免れること、罪跡を隠滅すること、のいずれかの目的をもって「暴行」を加えた場合に、事後強盗罪が成立すると定められています(刑法第238条)。
 例えば、万引きは、通常、窃盗(刑法第235条)にあたる行為ですが、万引き犯が、万引きに気づいた店員や警備員らに捕まらないよう逃走する際に、店員らに「暴行」を加えたりすると、窃盗罪ではなく強盗罪が成立する場合があります。

事例紹介:万引き犯が逃走時に店員を転倒させたケース

 福岡市在住の主婦Aが、同市内のドラッグストアで化粧品を万引きして店外に出た直後、呼び止めた店員女性Vの身体に接触し床に転倒させ、逃走したとして、事後強盗の容疑で逮捕されました。
 福岡県博多警察署の調べに対し、Aは、「万引きしたことに間違いはないが、逃走の際に店員に接触し転倒させるつもりはなかった。」と供述しています。なお、Vに怪我はないとのことです。

事後強盗罪の弁護活動

 窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですが、事後強盗罪の法定刑は、強盗罪と同じく、5年以上の有期懲役と格段に重くなり、事後強盗罪で起訴された場合、原則として執行猶予が付くことはなく、懲役刑の実刑となる可能性が高いです。

 本件で、Aは「店員に接触するつもりはなかった」と供述していることから、事後強盗の故意(罪を犯す意思)を争うことも考えられますが、故意は、積極的に結果の発生を意図する場合だけでなく、結果が発生するかもしれない、又は発生してもかまわない、という認識がある程度でも認められるため、本件のような状況で、故意を争うのは容易ではないと思われます。

 他方で、暴行の態様が比較的軽微であり、Vに怪我もないことから、被害者であるVとドラッグストアに対する真摯な謝罪と被害弁償を行った上、示談が成立することで、不起訴処分や刑の酌量減軽による執行猶予を得られる可能性を高めることが期待できます。

 万引きは、常習性があることも多く、被害店舗の経営に大きな打撃を与える行為であることから、被害店舗によっては、被害弁償には応じるが示談交渉には応じない、加害者に厳罰を求める、という強い態度を示す場合も少なくないため、示談交渉は、刑事事件に強く、示談交渉の経験豊富な弁護士への依頼をお勧めします。

福岡県の事後強盗事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、事後強盗事件において、示談成立による不起訴処分を獲得した実績があります。
 事後強盗事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】大麻取締法違反とその弁護活動(大麻の栽培で逮捕された架空の事例に基づく解説)

2023-11-13

 

 大麻取締法違反は、我が国において重大な犯罪とされています。
 この記事では、架空の事例を基に、大麻取締法違反がどのように扱われ、弁護活動がどのように展開されるかを解説します。

大麻取締法とは

 大麻取締法は、大麻の不正な使用を防止し、公衆衛生の保護などを目的とする法律です。
 この法律は、大麻の所持、栽培、譲渡、輸入、および輸出などを厳しく規制しています。特に、営利を目的とした場合は、より重い刑罰が科されることになります。

事例紹介:高校教師の逮捕

 福岡市内の高校教師であるAさんは、個人的な好奇心から、自宅で小規模ながら大麻草を栽培していました。ある日、福岡県博多警察署の警察がAさんの自宅を訪れ、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。
 Aさんの母親であるBさんは、警察官から、Aさんを大麻取締法違反の疑いで逮捕したとの連絡を受けました。
(事例はフィクションです。)

罪に問われる行為

 大麻取締法における罰則は、大麻の不正な取り扱いを防ぐために厳格に設定されています。
 例えば、Aさんのように個人的な使用目的であっても、大麻草を栽培する行為は法律により禁止されており、発覚した場合、刑事罰の対象となります。
 大麻取締法第24条では、無許可の栽培はもちろん、所持や譲渡、輸入及び輸出も罰せられる行為と明記されています。
 これらの行為が発覚した場合、最大で7年の懲役刑に処される可能性があり、営利目的であればさらに重い罰則が適用されます。

営利目的の栽培とその罰則

 営利目的での大麻栽培は、個人的な使用を超えた重大な犯罪行為とみなされます。
 大麻取締法では、営利を目的とした栽培は特に厳しく処罰され、第24条2項により、10年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方に処されることがあります。
 このような重い罰則は、大麻の商業的な流通を抑制し、社会における大麻の悪影響を最小限に留めるために設けられていると考えられます。

弁護活動の重要性

 Aさんのように大麻取締法違反事件といった薬物事件で逮捕された場合、逮捕、逮捕の後からの勾留、勾留期間経過後での検察官による起訴、起訴された後の勾留と、身体の拘束期間が長期化する傾向があります。
 こうした、大麻取締法違反の疑いでの逮捕による、その後の生活への影響を何とか最小限に留めたいという場合には、いち早く薬物事件に精通した弁護士に初回接見を依頼して、逮捕されたご本人様の身体の拘束を解いてもらうような弁護活動をとることが重要になります。

福岡県の大麻取締法違反事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、大麻取締法違反などの薬物事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 福岡県での大麻取締法違反事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】他人の漫画上のキャラクターを使用した著作権法違反事件

2023-11-10

 他人が描いた漫画に出てくるキャラクターを使用した架空の著作権法違反事件を参考に、著作権法違反とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市に住むAは、SNS上で知り合ったVが描いたオリジナルの漫画を読んでいたところ、その漫画に出てくるキャラクターを商品化すれば売れるだろうと考えました。
 そこで、Aは、Vが描いた漫画の一部を使用し、Tシャツやマグカップにプリントした上で、SNS上で販売する旨の投稿をしたところ、警察より連絡が来て、著作権法違反として取調べを受けることになりました。
(事例はフィクションです。)

著作権法違反について

 人が思想や感情を創作的に表現したものであって、文芸、芸術、美術、音楽の範囲に属するものを著作物といいます(著作権法2条1項1号)。
 著作権法は、著作物を創作した人(著作者といいます。同項2号)などの権利を保護することを目的とした法律です。

 著作権法では、「著作権」(同法17条1項)の一つとして、著作者に、その著作物を複製する権利を与えています(この権利を複製権といいます。同法21条)。
 「複製」とは、作品を複写したり、録画・録音したり、印刷や写真にしたり、模写(書き写し)したりすることをいいます。

 Vが描いた漫画は、著作物にあたります。そして、Aの行為は、Vが描いた漫画の一部を使用し、Tシャツやマグカップにプリントしたというものであり、著作物の「複製」に当たります。
 そこで、そうしたAの行為は、Vが「複製」に同意していない限り、著作権を侵害するものといえます。

 著作権法119条1項は、「著作権…を侵害した者」は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処する(又はこれを併科する)とされており、Aはその範囲で刑事責任を問われる可能性があります。

著作権法違反事件における弁護活動

 たとえば、Aは、商品を作成する当時、Vから使用の許可をもらっていたが、その後、Vとの関係性が悪化したことから、Vに通報されたような場合、Vから許可をもらっていたことに関する証拠に基づき、著作権法違反の罪に問われないことを主張していく必要があります。

 また、今回の事例とは異なりますが、一定の場合、著作物が自由に使えることになっています。仮に、そうした事情があった場合、著作物が自由に使える場合であることを、捜査機関や裁判所に主張していくことも考えられます。

 これに対して、Aの行為が著作権法違反の罪に問われる場合においても、著作権法は著作者などの権利の保護を目的とした法律であるため、被害者である著作者が処罰を望んでいるか重要となってきます。
 そこで、Aとしては、著作権者であるVとの間で示談をし、今回の件を許してもらうことを目指す必要があります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、著作権法違反事件における刑事弁護の実績も多数あります。
 著作権法違反の罪として警察から取調べを受けるなどし、今後の対応についてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】樹木に対する器物損壊罪の成立と事件化阻止の弁護活動

2023-11-07

 隣人トラブルから、隣家の樹木を枯らすため除草剤を散布した事件を参考に、樹木に対する器物損壊罪の成立と刑事事件化を阻止するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市内に居住する男性Aは、隣人Vの庭の樹木の枝が自宅の庭まで伸びていることをVに注意したものの、何も対応しないVに腹を立て、Vの外出時を狙って、樹木を枯らす目的で、自宅の庭から樹木の根元へ除草剤を繰り返し散布しました。
 ある日のこと、Aは、除草剤を散布するところをVに目撃され、警察に通報すると訴えられてしまい、刑事事件に強い弁護士に対応を相談しました。
(事例はフィクションです。)

樹木に対する器物損壊罪の成立について

 他人の物を損壊した者は、器物損壊罪として、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料を科される可能性があります(刑法第261条)。

 器物損壊罪における「物」とは、広く財産権の目的となり得る一切の物をいい、動物や植物もこれに含まれます。

 また、同罪における「損壊」とは、物理的な損傷に限らず、心理的な抵抗感から事実上使用不可となるなど、その物の本来の効用を失わせることも含むとされます。
 そのため、物理的な損傷に至っていないため未遂にとどまり、器物損壊罪は未遂犯の処罰規定がないから処罰されない、と単純に考えることはできません。

 本件で、除草剤の散布により樹木の枯死や変色などの物理的な損傷に至っていないとしても、除草剤の影響で生育に何らかの害が生じ得ることによる取引価値の低下など、樹木の本来の効用を失わせ「損壊」したとして、器物損壊罪の成立が認められる可能性もあると考えられます。

器物損壊で刑事事件化を阻止するための弁護活動

 器物損壊罪は、被害者の告訴(犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示)がなければ起訴されない親告罪であることから、被害届が出される前に被害者と示談が成立し、示談書の中に宥恕条項(加害者の処罰を求めない旨の条項)を入れてもらえれば、警察の介入による刑事事件化を防げる可能性が高いと考えられます。

 また、示談書の中に宥恕条項まで入れてもらうことができなかったとしても、器物損壊罪の法定刑は比較的軽微であるため、被害弁償が済んでいることが示談書で確認できれば、不起訴処分となる可能性を高めることが期待できます。

 そのため、器物損壊罪が成立し得る行為を行った場合、被害者との示談の成立が特に重要と言えますが、当事者同士では、被害者の被害感情などから、示談交渉がうまくいかない可能性が考えられます。
 また、法律の専門家ではない当事者同士による示談の場合、内容に不備があることで、一旦示談が成立したにも関わらず、後日紛争が蒸し返される恐れがでてきます。

 そのため、被害者との示談交渉は、弁護士に依頼して行うことをお勧めします。刑事事件における示談交渉の経験が豊富な弁護士に依頼することで、適切な示談金を算定した上で、十分な内容の示談が成立する可能性を高めることができます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、様々な刑事事件において、被害届が出される前に被害者と示談を成立させることで、刑事事件化を阻止した実績が多数あります。
 自身やご家族が、器物損壊罪が成立し得る行為を行ってしまい、刑事事件化を防ぎたいとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【少年事件解説】わいせつ行為を行った13歳の少年に警察から呼出し(後編)

2023-11-04

 前回に引き続き、13歳の少年が女児にわいせつ行為を行った架空の事件を参考に、14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡県大野城市内在住の少年A(13歳)が、小学校から帰宅途中の女児V(8歳)の陰部を下着の上から触るわいせつな行為を行いました。
 帰宅したVから事件の話を聞いた母親が警察に通報し、後日、Aは、福岡県大野城警察署から本事件の調査のための呼出しを受けました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の取扱いと警察・児童相談所の調査について、解説しました。

家庭裁判所の調査・審判について

 事件が家庭裁判所に送致されると、少年が非行に至ってしまった原因を探り、どうすれば再非行をせずに立ち直ることができるかなどを探るため、家庭裁判所調査官による調査が行われます。
 調査は在宅で行われることもありますが、少年の心身の状況等の鑑別などのために、「観護措置」として、原則4週間、少年鑑別所に収容される場合もあります(少年法第17条第1項、3項、4項)。

 調査の結果、少年審判が開始され、少年の非行事実があると認められた場合、非行内容や少年の抱える問題性(「要保護性」といいます。)に応じて、処分を決定します(保護処分又は不処分の決定)。

 保護処分は、重い順に、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致、保護観察処分、となっていますが、決定の時に14歳に満たない者の場合、少年院送致は、特に必要と認める場合に限り行われます(少年法第24条第1項)。
 保護観察処分は前2者と異なり、少年を家庭等に置いたまま、保護観察官による指導監督という社会内処遇によって、少年の更生を目指すものです。

触法事件における弁護活動

 事件に関する調査が開始された場合、弁護士は、警察や児童相談所の調査への対応に関するアドバイスを行います。特に、触法少年の場合は、自分が思っていることを上手く表現することができない場合もあるため、警察などへの対応は、慎重に行う必要があります。
 児童裁判所に送致された後、一時保護される可能性のある事案においては、一時保護の必要性があるのかを検討し、回避に向けた取組みを行う必要がある場合も考えられます。

 少年法は、「少年の更生を図る」ことを目的としていることから、少年事件では、「要保護性」をいかに解消できるかが問題となるため、事件が家庭裁判所に送られた後は、弁護士が付添人(少年法第10条)として、少年の更生に向けた活動をし、家庭裁判所に対し適切な処分を求めることが考えられます。
 具体的には、少年の家庭や学校での普段の素行を踏まえ、少年本人への働き掛けや、ご家族と協力して、少年を取り巻く環境を整えるなどし、少年が再び非行を行う危険性がない事情などを説明していくことになります。

 これまで述べたとおり、少年事件、特に触法事件は、児童相談所の関与など成人事件とは異なる点が多く、どのような段階で、どのような対応をしていくべきか専門的な判断を必要としますので、できるだけ早期の段階で、触法事件の弁護活動の経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

福岡県の少年事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、触法事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 ご家族が少年事件の加害者となるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【少年事件解説】わいせつ行為を行った13歳の少年に警察から呼出し(前編)

2023-11-01

 13歳の少年が女児にわいせつ行為を行った架空の事件を参考に、14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡県大野城市内在住の少年A(13歳)が、小学校から帰宅途中の女児V(8歳)の陰部を下着の上から触るわいせつな行為を行いました。
 帰宅したVから事件の話を聞いた母親が警察に通報し、後日、Aは、福岡県大野城警察署から本事件の調査のための呼出しを受けました。
(事例はフィクションです。)

14歳に満たない者が犯罪に該当する行為をした場合の取扱い

 刑法第41条で、14歳に満たない者の行為は罰しない、と定めています。
 これは、14歳未満の者については、一律に責任能力を否定し、罪を犯し得ないとされているためです。
 本件Aの行為は、Aが14歳以上であればVに対する不同意わいせつ罪に該当し得るものですが、Aは行為時において13歳のため、犯罪は成立せず、Aに刑罰が科されることはありません。

 しかし、14歳未満の者で、刑罰法令に触れる行為(つまり、犯罪に該当する行為)をした少年(以下、「触法少年」といいます。)は、児童福祉法及び少年法の手続きにより、調査や家庭裁判所の審判(以下、「少年審判」といいます。)の対象となることがあります(少年法第3条など)。

警察・児童相談所の調査について

 触法少年が起こした事件(以下、「触法事件」といいます。)の場合、警察は刑事事件として捜査を行うことができず、逮捕・勾留といった身体拘束を行うこともありません。
 警察は、事件について調査を行い、少年の行為が一定の重大な罪に係る刑罰法令に触れる場合など、事件を児童相談所に送致します(少年法第6条の2、6条の6)。

 事件が送致されると、児童相談所は、少年が再び同じ非行を行わないために、どういった処遇が必要かなどを判断するための調査を行います。
 調査は在宅で行われることもありますが、児童の安全の確保や行動観察などのために、児童相談所等に「一時保護」される場合もあります(児童福祉法第33条)。

 調査の結果、少年や保護者への訓戒や児童福祉士らによる指導継続、又は児童養護施設等入所といった福祉的措置で終わることもありますが、少年審判に付することが適当と認められる場合は、事件は家庭裁判所に送致されます(児童福祉法第27条、少年法第6条の7)。

次回の後編では、家庭裁判所の調査・審判と触法事件における弁護活動について、解説します。

福岡県の少年事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、主に刑事事件や少年事件を取り扱っており、触法事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 ご家族が少年事件の加害者となるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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