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【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース)

2024-09-24

【事例解説】遺失物等横領罪とその弁護活動(拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース)

今回は、福岡市内の駐車場にて、現金が入った財布を警察に届け出ることなく横領したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:拾った財布を警察に届け出ることなく横領したケース

福岡市内の駐車場で、落ちていた現金5万円などが入った財布を拾い横領した疑いで、福岡市内に住むAさんが遺失物等横領の疑いで逮捕されました。
Aさんは、福岡市内のコインパーキングで、別の利用客Vさんが落とした現金5万円などが入った財布を持ち去り、警察に届け出ることなく横領した疑いが持たれています。
財布を落としてから2日後に財布を落としたことに気付いたVさんが警察に届出をし、コインパーキングや所の周辺の防犯カメラの映像を解析してAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,遺失物等横領罪について

〈遺失物等横領罪〉(刑法第254条)

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

遺失物等横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した場合に成立します。
そして、刑法に定められた単純横領罪刑法第252条)や業務上横領罪刑法第253条)と比べ、所有者との委託信任関係を裏切ることはなく、また、遺失物等横領罪が他人の占有を侵害しないことから、法定刑が軽くなっていると考えられています。
遺失物とは、占有者の意思によらず、その占有を離れ、まだ誰の占有にも属していないものをいいます。
漂流物とは、遺失物のうち、水面又は水中に存在するものをいいます。
もっとも、これらは例示されたものであり、遺失物等横領罪の客体となるか否かは、他人の占有を離れたものであるかどうかによって判断されます。
占有とは、物に対する事実上の支配力が及んでいる状態をいい、「占有を離れた他人の物」とは、占有者の事実上の支配力が及んでおらず未だ誰の占有にも属していない物で、その占有が委託信任に基づかずに始まった物と考えられます。
占有を離れた他人の物」にあたると判断されたものとして、電車内に乗客が置き忘れた荷物や被害者が無施錠のまま自転車を長時間空き地に放置して遠くへ出かけてしまった場合のその自転車などがあります。
なお、その物に占有が及んでいる場合、すなわち「占有を離れた他人の物」に当たらないものを自分の物にしてしまった場合には、それは占有者に意思に反してその占有を自分の占有下に移すことになり、遺失物等横領罪ではなく窃盗罪が成立する可能性があります。
横領とは、不法領得の意思を発現する一切の行為、すなわち、その物の経済的用法に従って所有者でなければできないような処分をすることをいいます。
上記の事例では、Vさんがコインパーキングに落としてから2日が経過しており、また、コインパーキングは日夜いろいろな人に利用されることなども考慮すると、Vさんが落とした財布にはVさんの占有が及んでいるとは考えづらいため、「占有を離れた他人の物」に該当し、それをAさんが拾って持ち去った行為には遺失物等横領罪が成立すると考えられます。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

前述の通り、遺失物等横領罪の客体は「占有を離れた他人の物」であるところ、その物をもともと占有していた人は、占有を失ってはいますが、所有権は失っていません。
そのため、被害者は所有権者ということになります。
そこで、被害者との示談交渉を試み、示談成立による不起訴処分獲得を目指します。
被害者に方に対して反省・謝罪の意思を示して、被害弁償等を行い、示談を成立させることができれば、不起訴処分獲得の期待が十分に持てます。
もっとも、示談交渉は、刑事事件に関する高度な知識や専門性が求められるため、示談交渉に強い弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が遺失物等横領罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
逮捕などにより身柄拘束を受けていない方には初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が逮捕等により身柄拘束を受けている方には初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース)

2024-09-20

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース)

今回は、業務上知り得た情報を使って被害者の弱みに付け込み、現金100万円を脅し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:業務上知り得た情報で被害者の弱みに付け込み現金を脅し取ったケース

業務上知り得た情報を使って福岡市内に住む会社員Vさんから現金約100万円を脅し取ったとして、福岡市内の会社役員Aさんが恐喝の疑いで逮捕されました。
Aさんは、相談を受けて知り得た情報を使ってVさんの弱みに付け込み、「これが周囲にバレるとまずいよね」などと脅し、現金100万円を脅し取った疑いが持たれています。
Vさんが警察に相談したことで事件が発覚、その後、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです)

1,恐喝罪について

〈恐喝罪〉(刑法第249条)

第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法恐喝罪は、人を恐喝して、財物または財産上の利益を交付させた場合に成立します。
恐喝」とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫・暴行を加えることを言います。
脅迫とは、相手方を畏怖させる程度の害悪の告知を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行とは、相手方を畏怖させる程度の有形力の行使を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
相手方を畏怖させる性質のものである限り、直接に相手方に加えられることを要しません。
なお、相手方の反抗を抑圧させる程度の脅迫・暴行が加えられた場合、強盗罪刑法第236条)の成立が検討させることになります。
交付させ」る行為(交付行為)とは、相手方を恐喝行為によって畏怖させ、畏怖に基づいて財産または財産上の利益を犯人自身または第三者に移転させることを言います。
そして、恐喝罪は、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付行為→財物または財産上の利益の移転が、それぞれ原因と結果の関係を有していることが必要となります。
例えば、お金に困った犯人が被害者を脅迫してお金を渡すように要求したが、被害者は畏怖せず、犯人がお金に困っているという事情を知っており、憐みからお金を犯人に渡した場合には、脅迫行為と犯人の畏怖、畏怖に基づく交付行為の間に因果関係が認められないため、恐喝罪は既遂とならず、未遂にとどまることになります。
上記の事例では、Aさんは業務上知り得た情報を使ってVさんを畏怖させ、Vさんは100万円を支払っています。
そのため、Aさんの行為には恐喝罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束の解放に向けた弁護活動

恐喝罪逮捕勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束されることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足を監視され、家族や友人など外部との接触も制限されることになり、また、連日のように取調べを受けることも考えられるため、被疑者が抱える身体的・精神的負担は多大なものになると言えます。
そのような身柄拘束から少しでも早期の解放を実現するための弁護活動を行います。
被疑者勾留が認められるのは、被疑者が住居不定、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。
早期の身柄解放を実現するためには、これらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことが重要となります。
例えば、被疑者には家族がいて、同居している家族が被疑者を監督することを約束し、その旨を身元引受書として作成すれば、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となると言えます。
そのような弁護活動を通じて、被疑者の早期の身柄解放の実現を目指します。
少しでも早く被疑者の身柄解放を目指すのであれば、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において恐喝罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、恐喝罪をはじめとする刑事事件・少年事件に関する豊富な実績があります。
恐喝罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)

2024-09-17

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)

今回は、福岡市内のコンビニエンスストアで、スティックシュガーなどを盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを盗んだケース

福岡県警察博多警察署は、福岡市博多区のコンビニエンスストアにて、店内のコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーや飲料など商品10点1200円分を盗んだとして、福岡市職員のAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
コンビニエンスストアのオーナーから警察に被害届が提出されており、防犯カメラの解析や従業員からの聞き込みなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「万引きしたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,窃盗罪について

〈窃盗罪〉(刑法第235条)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
コンビニのコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーなどの備品・消耗品は、コーヒーマシンの利用客が無料で利用できるものですが、店側はお金を払って仕入れ、利用客に提供しています。
そのため、スティックシュガーなどの備品・消耗品は所有権の対象となり、経済的な価値も認められるため、「財物」に該当すると考えられます。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思窃盗罪毀棄隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、コンビニでスティックシュガーや飲料など商品である「財物」を「窃取」しており、それについて故意も不法領得の意思も認められるため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性があります。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

窃盗罪で起訴されて有罪判決をうけると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられる可能性があります。
このうち執行猶予付き判決や罰金刑であれば身柄拘束を受けずに済みますが、前科は付くことになります。
上記の事例のように、被疑者・被告人が公務員の場合、禁固以上の刑に処せられると、国家公務員であれ地方公務員であれ、公務員となる資格を失い、当然失職となります。(国家公務員法38条1号地方公務員法16条1号参照)
また、罰金刑に処された場合でも、懲戒処分の対象となる可能性があります。(国家公務員法82条1項地方公務員法29条1項参照)
しかし、起訴されなければ、裁判が開かれることはないため、前科が付くことはありません。
そのため、不起訴処分の獲得を実現するための弁護活動を行うことが重要となります。
窃盗罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、上記の事例のように、被害者がコンビニ、スーパーや書店などの場合には、そもそも示談に応じないという姿勢をとっているところも多いです。
しかし、弁護士が粘り強く交渉をすることで、示談に応じてもらえる場合もあります。
また、示談と言っても内容はさまざまであり、事件を当事者同士で解決し、将来の民事訴訟(例えば、損害賠償請求訴訟など)を防止することを内容とする単なる示談や、刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談などがあります。
これらの内容を考慮しながら示談を成立させることは高度の知識や専門性が要求されるため、当事者同士で示談交渉をすることはあまり得策とは言えません。
そのため、示談交渉は、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース)

2024-09-14

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース)

今回は、近隣住人とトラブルになり、通報を受けて駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:近隣住民とのトラブルで駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだケース

福岡市城南区で、通報を受けて駆け付けた警察官の胸ぐらを掴んだとして、城南区在住のAさんが公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されました。
福岡県警察城南警察署によりますと、Aさんは、近所の住民とゴミの出し方で口論となり、その住人が警察に通報したところ、駆け付けた警察官に対して悪態をつき、胸ぐらを掴んだとのことです。
警察の調べに対し、Aさんは「カッとなってやってしまった」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法95条1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
職務」とは、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてであるとされています。(最高裁判決昭和53年6月29日
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
過去の裁判例では、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場において、警察官に証拠として差し押さえられた覚せい剤入り注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊した事案では、間接暴行により警察官の職務執行を妨害したとして、公務執行妨害罪の成立を認めています。(最高裁判決昭和34年8月27日
また、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例で考えると、警察官という「公務員」に対して胸ぐらを掴むという「暴行」を加えた時点で、公務執行妨害罪は既遂となります。

2,身体拘束回避に向けた弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕されると、最長で72時間、捜査機関により身柄を拘束されます。
そして、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合、検察官は、担当裁判官に対して、勾留請求します。
そして、勾留請求が認められると、被疑者は勾留されることになり、原則として10日、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間、身柄を拘束されることになります。
勾留の最中、被疑者は厳しく行動を規制され、また、家族や友人など外部との接触も制限される可能性があり、身体的にも精神的にも大きな負担や恐怖を抱えることになります。
そして、勾留されれば当然ながら会社に出勤することなどもできなくなるので、職を失い、収入が無くなる可能性もあります。
このように、勾留による身柄拘束にはさまざまな不利益が考えられます。
そこで、勾留による身柄拘束を回避するための弁護活動を行います。
前述したように、被疑者勾留は、被疑者が住居不定、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に、検察官が裁判官に勾留請求し、認められた場合に勾留されることになります。
そのため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、検察官や裁判官に対して勾留の必要性がない旨の意見書を提出し、勾留による身柄拘束の回避を目指します。
例えば、被疑者の家族が被疑者を監督することを約束する身元引受書があれば、それは被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となるため、それを意見書に添付して検察官に提出することができます。
もっとも、勾留に対する意見書は、被疑者が勾留される前に検察官や裁判官に提出する必要があるので、逮捕された場合には、少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとの弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

予備試験受験生アルバイト求人募集2024

2024-09-10

予備試験受験生アルバイト求人募集2024

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、2024年(令和6年)度の司法試験予備試験受験生を対象に、全国12都市にある各法律事務所の事務アルバイトを求人募集致します。司法試験合格に向けて勉強やモチベーション維持をしたい方や、弁護士・検察官・裁判官を目指していて刑事事件又は少年事件に興味のある予備試験受験生は是非ご応募下さい。

予備試験受験生アルバイトについて

予備試験受験生が司法試験に合格するためには勉強環境及びモチベーションの維持が重要になります。特に予備試験受験後は、合格発表まで、次の行動を起こしづらかったり勉強に身が入りづらい時期でもあります。そんな時には、勉強及びモチベーション維持のために、法律事務所でのアルバイトが1つの有効な手段となります。
あいち刑事事件総合法律事務所の事務アルバイトに採用されると、専門弁護士による刑事・少年事件の弁護活動を間近に見ることができます。予備試験の勉強で学んだ法律知識が弁護士事務所でどのように使われているのかを見ることで、知識の確認と深化定着につながります。深夜早朝アルバイトであれば、冷暖房完備の快適で静かな環境で、電話対応などの簡単な仕事以外の時間は自由に勉強等をしていただけます(深夜早朝手当も出ます)。
当事務所アルバイト経験者の多くが司法試験に合格しているモチベーションの高い職場です。

予備試験受験生アルバイト求人募集情報

【事務所概要】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、日本では稀有な、刑事事件・少年事件及びその関連事件の弁護をメイン業務とする全国的刑事総合法律事務所です。著名事件から市民生活に密接した事件まで、数多くの刑事事件・少年事件及びその関連業務をほぼ全分野にわたって幅広く取り扱っています。全国12都市に事務所を構えており、経験豊富な弁護士に加え、元裁判官、元検察官、元官僚等の専門領域を持ったエキスパートが集まる専門性の高い職場環境となっています。刑事事件・少年事件のリーディングファームとして、プロフェッショナル養成のための所内研修及び事業部制度を整え、全国に高レベルの弁護サービス普及を目指しています。また、更生支援、犯罪被害者支援や入管事件にも力を入れて取り組んでいますので、当事者の支援や外国人問題に興味のある方も歓迎しています。

【募集職種】

・事務アルバイト
・深夜早朝アルバイト

【給与(東京の場合)】

・事務アルバイト:時給1300円+交通費
・深夜早朝アルバイト:時給1300円+深夜早朝割増(25%%UP)+交通費
※時給は勤務地によって異なり、1000〜1300円となります。

【勤務時間】

勤務時間:週1日~、1日3時間~
※業務内容や個人の事情に応じて勤務時間は柔軟に対応いたしますのでご相談下さい。

【執務環境】

・交通費支給
・各事務所とも主要駅近く利便性抜群。
・PC、事務処理環境、インターネット等完備
・刑事事件、少年事件の専門性が高い職場

【福岡支部紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、博多駅から徒歩4分の立地にあり、福岡県及び近隣県の刑事事件・少年事件を中心に取り扱っております。
弁護士1名が所属する小規模な支部ではございますが、その分、弁護士と事務員やアルバイトが綿密に連携し、様々な刑事事件・少年事件の弁護活動を行っております。
専門弁護士による刑事事件・少年事件の弁護活動を間近に見ることができ、司法試験や予備試験の勉強で学んだ法律知識が実際の弁護活動でどのように使われているのかを見ることで、知識の確認と深化定着につながると思います。
司法試験や予備試験合格に向けて、社会経験を積みつつ、勉強環境やモチベーションを維持をしたい方にとって、とても良い環境の職場だと思います。

司法試験受験生アルバイト求人応募方法

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のアルバイト求人募集にご興味のある方は、エントリー・説明会参加フォーム又は電子メールnoritakesaiyou@keiji-bengosi.com宛で事務所までご応募ご質問下さい。5日間程度のうちに採用担当者からメール又は電話でご連絡させていただきます。
なお、ご応募から1週間以上経過しても当事務所採用担当者から連絡がない場合、お申込が確認できていない可能性がございますので、お手数ですが当事務所まで直接電話にてお問い合わせ下さい。

【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース)

2024-09-08

【事例解説】事後強盗罪とその弁護活動(コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース)

今回は、コンビニで食料品を万引きした際に店員に見つかり、声をかけられたところ、ナイフを取り出して脅したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンビニで万引きしたあと、店員にナイフを出して脅したケース

福岡県警察西警察署は、福岡市西区にあるコンビニエンスストアにおいて、食料品など10点(被害額約5000円)を万引きしたあと、店員の男性にナイフを出して脅したとして、福岡市西区在住のAさんを事後強盗の疑いで逮捕しました。
Aさんは、品物を万引きした際に店員の男性に見つかり、警察に通報すると告げられたところ、逮捕されるのを免れるために、店員の男性にナイフを突きつけて「警察に通報したら刺すぞ」などと言い、その場から逃走したとのことです。
店員の男性に怪我はありませんでした。
犯行現場やその周辺の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を進め、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「お金がなくてやった。警察に捕まりたくなかった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,事後強盗罪について

〈事後強盗罪〉(刑法238条)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的(財物奪還阻止目的)、逮捕を免れる目的(逮捕免脱目的)または証拠を隠滅する目的(罪証隠滅目的)のいずれかの目的で、暴行または脅迫をした場合には、強盗として論ずる、すなわち刑法に定められた強盗罪が成立することになります。
窃盗が」とは、窃盗犯人、つまり窃盗罪刑法第235条)を犯した者をいい、万引きは窃盗罪に該当します。
上記の事例では、窃盗犯人であるAさんは警察に通報すると告げた店員に対して、逮捕を免れる目的でナイフを取り出して脅迫しています。
そのため、Aさんには事後強盗罪が成立する可能性があります。
なお 、窃盗罪には、財産上の利益を窃取すること(これを利益窃盗と言います。)を処罰する規定が存在しないため、1項強盗罪刑法236条第1項)が成立することになります。
例えば、初めから無賃乗車するつもりでタクシーに乗れば、運送サービスという財産上の利益を騙し取ったことになり、詐欺罪刑法第246条第2項)が成立することが考えられます。
しかし、タクシーに乗りしばらくしてお金がないことに気付き、目的地に到着して運賃の支払いを求められたタイミングで運転手の目を盗んで逃走した場合には、財産上の利益を窃取したことになりますが、利益窃盗を処罰する規定が存在しないため、不可罰となります。
ただし、「財布を忘れた。取りに帰りたいからいったん降ろしてくれ。」などと嘘をついて逃走した場合には、その行為は欺罔行為に該当し詐欺罪刑法第246条第2項)が成立する可能性があります。

〈強盗罪〉(刑法236条)

第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行または脅迫を用いて、他人の財物(第1項)または財産上の利益(第2項)を強取した場合に成立します。
強取」とは、相手方(被害者など)の反抗を抑圧させるに足りる程度の暴行または脅迫を加えて財物または財産上の利益を奪取することをいいます。
暴行とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
脅迫とは、相手方に畏怖を生じさせる程度の害悪の告知をいいます。

2,執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動

事後強盗罪強盗罪として処罰されることになるため、刑罰は5年以上の有期懲役が科されることになります。
執行猶予は、判決によって言い渡される刑罰が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金である必要があります。(刑法25条1項柱書
そのため、事後強盗罪で有罪判決を受けてしまった場合、執行猶予が付かない可能性があります。
しかし、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、裁判所は、その刑を減軽することができます。(刑法第66条
犯罪の情状に酌量すべきもの」とは、例えば、被害者との間で示談が成立しているなどの事情がある場合をいいます。
示談交渉は、事件の当事者間でも行うことはできますが、通常は事件の被害者は加害者に接触されることに恐怖を感じて、示談交渉に応じてもらえない可能性が高いです。
また、上記の事例のように、コンビニなどのお店も被害者である場合、最初から示談に応じないという姿勢のところが多いですが、弁護士が粘り強く交渉することで、示談交渉に応じてもらえる場合もあります。
そのため、示談交渉は、交渉のプロである弁護士に依頼することが得策であるといえます。
示談が成立すれば、執行猶予付き判決の獲得が十分に期待できます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族等が事後強盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、刑事事件・少年事件に関する経験・実績が豊富な弁護士が在籍しております。
ご家族等が事後強盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」まで、お気軽にお電話ください。

【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース)

2024-09-05

【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース)

今回は、マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:マッチングアプリで知り合った女性からお金を騙し取ったケース

マッチングアプリで知り合った女性から現金約100万円を騙し取ったとして、福岡県警察中央警察署は、福岡市中央区に住む会社員Aさんを詐欺の疑いで逮捕しました。
Aさんは、マッチングアプリで知り合った女性Vさんと結婚願望があるかのように装って交際し、「キャッシュカードを止められてしまった。支払いのためのお金がほしい」などと嘘をつき、複数回にわたり現金約100万円を騙し取った疑いが持たれています。
中央警察署がVさんから相談を受けたことで事件が発覚し、捜査を経てAさんの逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,詐欺罪について

〈詐欺罪〉(刑法246条1項)

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。
「人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物や財産上の利益を交付(処分)しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
「財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護されますが、経済的にも主観的にも全く無価値な物は保護されません。
過去の裁判例では、メモ紙1枚(大阪高等裁判所判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高等裁判所判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付(処分)行為→財物または財産上の利益の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付(処分)行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
そして 、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。
過去の裁判例では、価格相当の商品を提供したとしても、事実を知ればお金を払わないといえるような場合において、商品の性能等につき真実に反する誇大な事実を告知して相手方を誤信させてお金を受け取った場合には、相手方に対する詐欺罪が成立するとしたものがあります。(最高裁判決昭和34年9月28日
上記の事件では、AさんはVさんとの結婚願望があるかのように装い交際し、キャッシュカードが止められて、その支払いのためのお金がほしいなどと嘘をつき、Vさんからお金を騙し取っているため、Aさんには詐欺罪が成立する可能性があります。

2,早期の身柄解放に向けた弁護活動

詐欺罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は行動を厳しく規制され、家族や友人や恋人など外部との交流も制限されます。
また、逮捕・勾留による身柄拘束中は、当然ですが職場に勤務することができなくなるので休むことになりますが、無断で休ませてもらえる職場などなかなかありません。
そうなれば、被疑者は職を失う可能性が極めて高くなります。
また、被疑者に養う家族がいれば、収入が減り、今まで通りの生活を送ることが厳しくなるかもしれません。
そのため、少しでも早い身柄拘束からの解放を実現する必要があります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、早期の身柄解放に向けた弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことになります。
例えば、被疑者が家族と同居しており、その家族が被疑者の監督をすることを約束し、身元引受書を作成すれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となります。
早期の身柄解放を実現するためには、少しでも早い段階からこのような弁護活動を行う必要があるため、逮捕・勾留された場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース)

2024-09-02

【事例解説】覚醒剤取締法違反とその弁護活動(自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース)

今回は、犯人と同居する家族が別件で警察官に通報し、臨場した警察官が異変を感じて尿検査をしたところ、覚醒剤の反応が出たため逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:自宅で覚醒剤を使用したところ、別件で駆け付けた警察官に逮捕されたケース

福岡県警察博多警察署は、福岡市博多区の自宅において、複数回にわたり覚醒剤を使用した疑いで福岡市の職員Aさんを逮捕しました。
事件はAさんと同居する家族が別の用件で警察に通報があり、臨場した警察官がAさんの様子に異変を感じ、簡易検査キットを用いて尿検査をしたところ覚醒剤の反応が出たことをきっかけに発覚しました。
Aさんはその場で覚醒剤取締法違反となり逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「覚醒剤を使ったことに間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,覚醒剤取締法違反(使用)について

覚醒剤取締法(以下「法」と言います。)に言う「覚醒剤」とは、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類を言います。(法2条1項1号
覚醒剤は、一定の場合を除き、何人も、その使用を制限されており(法19条柱書)、使用した場合には覚醒剤取締法違反となり、10年以下の懲役刑が科されることになります。(法41条の3第1項1号
覚醒剤の「使用」とは、覚醒剤をその用法に従って用いる一切の行為を言い、自己又は他人の身体への使用だけでなく、鶏・豚などの家畜への使用や、研究、薬品の製造のための使用も含まれます。
また、他人から自己の身体へ注射してもらうような場合にも「使用」に該当します。
なお、覚醒剤を使用するにあたって、覚醒剤を所持することになりますが、これらは別の罪であるため、所持罪と使用罪の両方が成立し、併合罪(刑法45条)となります。

2,弁護活動

覚醒剤をはじめとする薬物犯罪では、犯罪の被害者が存在しません。
そのため、傷害罪窃盗罪のように被害者が存在する犯罪とは異なり、示談をする相手が存在せず、示談を試みるといった弁護活動はできないことになります。
そのような場合の弁護活動としては、贖罪寄付を行うことが考えられます
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件や、被害者との示談ができない刑事事件などにつき、刑事手続の対象となっている方の改悛の真情を表すために日本弁護士連合会(日弁連)に贖罪寄付を行うことをいいます。
その他にも、法テラスが独自で受け付けているものや日弁連交通事故相談センターが交通事故被害者に特化した交通贖罪寄付を受け付けています。
また、覚醒剤など薬物事件の場合には、全国にあるダルク(薬物依存者の回復を目指す回復施設)をはじめとした薬物等依存者の自助グループへ贖罪寄付を行うことが考えられます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において覚醒剤取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方、あるいは家族・親族が覚醒剤取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱う弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しております。
覚醒剤取締法違反の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が覚醒剤取締法違反の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)

2024-08-29

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)

今回は、福岡県春日市の路上で女性の背後から近づき、手で口をふさいで胸を触るなどわいせつな行為をしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース

福岡県春日市の路上で女性の胸などを触ったとして、春日警察署は春日市在住の会社員Aさんを不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
春日警察署によりますと、Aさんは、帰宅途中だったVさんに背後から近づき、手で口をふさいだうえで胸を触るなどわいせつな行為をした疑いが持たれています。
調べに対し、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意わいせつ罪について

〈不同意わいせつ罪〉(刑法176条1項)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4

そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの背後から近づき、口をふさぐという「暴行」を用いてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせて胸を触るという「わいせつな行為」をしているため、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉について

不同意わいせつ罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪などの性犯罪関係の場合、被害者は加害者に連絡先を知られたくないと思うこと、そして被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じて示談交渉を拒否する可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の方に連絡先が加害者に知られないことを説明して、安心して示談交渉に応じていただける可能性が高まるといえます。
また、示談も内容はさまざまであり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げを内容に加えた示談などがあります。
もっとも、これらの内容を加えた示談を成立させるためには、刑事事件に対する高度な知識や経験が要求されるため、示談交渉は交渉のプロである弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース)

2024-08-26

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース)

事例:コンビニで他の客と口論になり仲裁に入った従業員を殴って怪我させたケース

福岡県警察城南警察署は、福岡市城南区にあるコンビニエンスストアにおいて、男性従業員Vさんに暴行を加えて怪我を負わせたとして、福岡市城南区に住む会社員Aさんを傷害の疑いで逮捕しました。
城南警察署によりますと、Aさんは客としてコンビニエンスストアに訪れ、別の客と口論になり、Vさんが仲裁に入ったところ、Vさんの顔を殴ったとのことです。
Vさんは口から出血する怪我を負いました。
警察の調べに対して、Aさんは「気が高ぶりつい殴ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して顔を殴るという暴行を加えて、口から出血させる怪我を負わせており「傷害」しているといえるため、Aさんには傷害罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動

傷害罪で逮捕されると、被疑者は警察で24時間、その後検察に身柄を送検されて48時間、身柄を拘束され、取調べを受けることになります。
そして、検察官が必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求し、認められれば、被疑者は勾留されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて身柄拘束期間が長く、原則として10日、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間身柄を拘束されます。
上記の事例のように、被疑者が会社に勤めている場合には、勾留が続いている間は仕事を休まなければなりませんが、10日間も無断で休ませてもらえる会社はなかなか存在しないため、被疑者は職を失う可能性があります。
また、被疑者に養う家族がいれば、収入減がなくなり、経済的に苦しい状況になる可能性もあります。
そのため、弁護士は、検察官・裁判官に対して勾留に対する意見書を提出します。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そこで、弁護士は、被疑者が逮捕されて勾留を請求されている段階であれば、勾留の必要性がないことを示す意見書を提出します。
それにより検察官の勾留を請求しなければ、被疑者は釈放されることになります。
それでも検察官が勾留請求した場合には、裁判官に対して意見書を提出し、勾留決定しないよう働きかけます。
このように、勾留を阻止する機会は2回ありますが、勾留決定されてからではその機会を失うため、逮捕されてしまった場合にはできるだけ早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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