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【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(知人を電話で脅し、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えて金銭を脅し取ったケース)

2025-04-25

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(知人を電話で脅し、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えて金銭を脅し取ったケース)

今回は、知人を電話で脅し、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えて金銭を脅し取ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:知人を電話で脅し、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えて金銭を脅し取ったケース

福岡県警は、知人Vさんに対して電話で脅し、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えて金銭を脅し取ったとして、福岡市内に住むAさんを恐喝の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vさんに対して、電話で「金を払わないと痛い目にあわすぞ」などと脅迫して金銭を要求し、また、電話を掛けた後Vさんと会い、胸や腹部などの暴行を加えて、現金10万円を脅し取った疑いが持たれています。
2人は知人同士で、Vさんにけがはなく、被害に遭ってすぐに警察に被害を届け出ました。
警察の調べに対して、Aさんは「金に困ってやった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです)

1,恐喝罪について

〈恐喝罪〉(刑法第249条)

第1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法恐喝罪は、人を恐喝して、財物を交付させた場合に成立します。
恐喝」とは、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫・暴行を加えることを言います。
脅迫とは、相手方を畏怖させる程度の害悪の告知を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行とは、相手方を畏怖させる程度の有形力の行使を言い、相手方の反抗を抑圧させるに足りない程度のものを言います。
暴行は、相手方を畏怖させる性質のものである限り、直接に相手方に加えられることを要しません。
なお、相手方の反抗を抑圧させる程度の脅迫・暴行が加えられた場合、強盗罪刑法第236条)の成立が検討されることになります。
交付させ」る行為(交付行為)とは、相手方を恐喝行為によって畏怖させ、畏怖に基づいて財産を犯人自身または第三者に移転させることを言います。
そして、恐喝罪は、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付行為→財物の移転が、それぞれ原因と結果の関係を有していることが必要となります。
例えば、お金に困った犯人が被害者を脅迫してお金を渡すように要求したが、被害者は畏怖せず、犯人がお金に困っているという事情を知っており、憐みからお金を犯人に渡した場合には、脅迫行為と犯人の畏怖、畏怖に基づく交付行為の間に因果関係が認められないため、恐喝罪は既遂とならず、未遂にとどまることになります。
上記の事例では、AさんはVさんに対して「金を払わないと痛い目にあわすぞ」などVさんを脅迫し、また、胸や腹部を殴るなどの暴行を加えてVさんの反抗を抑圧するに至らない程度の脅迫・暴行といえるため「恐喝」に当たります。
そして、VさんはAさんの恐喝行為により畏怖し、それに基づき現金10万円をAさんに渡し(交付行為)、Aさんのもとに現金10万円が移転しています。
以上より、上記事例のAさんの行為には恐喝罪が成立することが考えられます。

2,示談交渉の重要性

恐喝罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者と示談交渉を試みることができます。
もし被害者との間で示談が成立すれば、検察官の処分(例えば、起訴猶予による不起訴処分)や身柄拘束の回避・解放などに影響を持つことになります。
そのため、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
もっとも、示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者側は加害者に怖い思いをさせられており、直接連絡されることに抵抗を覚えることも少なくありません。
しかし、相手が弁護士であれば、安心して交渉に応じていただける場合があり、示談成立に期待が持てます。
また、示談と言っても、事件を当事者間で解決することを約束し将来の民事訴訟を予防する単なる示談や、宥恕(加害者を許し、刑事処罰を望まないことの意)付示談や被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談など、内容は多岐にわたります。
どのような内容で示談を成立させることが最善であるかの判断には、刑事事件に専門的な知識や経験が要求されること、また被害者側の怖い思いをさせられ強い処罰感情を有していることなどから、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
以上より、示談交渉は、刑事事件に関する専門的な知識や経験を持ち、交渉に強い弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において恐喝罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、恐喝罪をはじめとする刑事事件・少年事件に関する豊富な実績があります。
恐喝罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(警察署に無言電話など繰り返し署員の業務を妨害したケース)

2025-04-22

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(警察署に無言電話など繰り返し署員の業務を妨害したケース)

今回は、警察署に無言電話など繰り返し署員の業務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:警察署に無言電話など繰り返し署員の業務を妨害したケース

福岡県警は、福岡市内にある警察署に約1時間で100回程度、無言電話などを繰り返し署員の業務を妨害したとして、福岡市内に住むAさんを偽計業務妨害の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは約1時間で警察署に「バカ、アホ」などと言って切る電話や無言電話など合わせて100回程度繰り返し、署員の業務を妨害した疑いが持たれています。
警察の調べに対し、Aさんは「イライラしてやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,偽計業務妨害罪について

〈偽計業務妨害罪〉(刑法第233条後段)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪は、信用毀損罪とともに刑法の同じ条文に定められています。
刑法第233条がその条文であり、虚偽の風説を流布または偽計を用いることにより、人の信用を毀損した場合には信用毀損罪が、業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立することになります。
虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
例えば、そのような事実は無いのに、「あのスーパーで取り扱っている生鮮食品はすべて消費期限が切れている」という噂を、不特定又は多数人に広めた場合などが「虚偽の風説を流布」に該当します。
偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。
人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用する「偽計」には、例えば、インターネットの掲示板に虚偽の犯行予告を書き込んだ場合などが挙げられます。
計略や策略を講じるなど威力以外の不正な手段を用いるものとしては、上記の事例のように比較的短期間で多数回の無言電話をかけ続けることなどが挙げられます。
業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業をいいます。
そして、「妨害」の結果は実際に業務が妨害されることは必要ではなく、業務の平穏かつ円滑な遂行が妨害されるおそれのある行為がされれば、偽計業務妨害罪は成立します。
このように、犯罪の結果が実際に発生しなくても、結果が発生するおそれがあれば犯罪の成立が認められる犯罪のことを抽象的危険犯といい、偽計業務妨害罪現住建造物等放火罪などがあります。
上記の事例では、Aさんは警察署に「バカ、アホ」などと言って切る電話や無言電話を約1時間という比較的短時間に100回程度繰り返しており、威力以外の不正な手段といえるため「偽計」に当たります。
そして、警察署の署員に対応させる必要のない業務を行わせることで「業務」を「妨害」したといえます。
したがって、上記事例のAさんには偽計業務妨害罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束からの解放に向けた弁護活動

偽計業務妨害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を監視・規制される環境に身を置くことになり、家族や友人など外部との接触も制限され、一人きりで捜査機関の取り調べに臨まなくてはなりません。
また、被疑者勾留による身柄拘束が長引けば、職場への出勤や学校への投稿などができなくなり、その結果、職場からの解雇や学校が不審に思い調べることで犯罪の被疑者として捜査されていることが学校側に発覚して停学や退学などの重い処分を下される可能性もあります。
しかし、できるだけ早くに身柄拘束から解放することで、そのような不利益を回避することができるかもしれません。
そもそも、勾留による身柄拘束は、被疑者が住居不定の場合や、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことで、被疑者の早期に身柄拘束からの解放を目指します。
例えば、上記の事例において、Aさんの家族や親族がAさんの身元引き受けを行うことで、Aさんの捜査機関や裁判所への出頭の機会を約束する旨の書面があることは、Aさんの逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となり得ます。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
少しでも早く被疑者の身柄拘束から解放したい場合には、なるべく早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が偽計業務妨害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
偽計業務妨害罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が偽計業務妨害罪の当事者なり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーマーケットで商品を万引きして現行犯逮捕されたケース)

2025-04-19

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(スーパーマーケットで商品を万引きして現行犯逮捕されたケース)

今回は、スーパーマーケットで商品を万引きして現行犯逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:スーパーマーケットで商品を万引きして現行犯逮捕されたケース

福岡県警東警察署は、福岡市東区にあるスーパーマーケットで食料品など商品10点(約5000円)を盗んだとして、同区に住むAさんを窃盗の疑いで現行犯逮捕しました。
警察によりますと、Aさんが持っていたバッグに食料品など商品を詰め込み店を出ていく様子を警備員が目撃し、Aさんが店外にでたところで声をかけて確保していました。
警察の調べに対して、Aさんは「お金を払うのがもったいなかったから盗んだ」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,窃盗罪について

〈窃盗罪〉(刑法第235条)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法第38条第1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪毀棄隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、スーパーマーケットが所有する「財物」である商品を、自分のバッグに入れて会計を済ませず店を出た行為はスーパーマーケット側の意思に反して商品に対する占有をAさん自身に移していると言え「窃取」に当たります(①、②)。
また、Aさんは「お金を払うのがもったいなかったから」と容疑を認めていることから、スーパーマーケットの商品を窃取することを認識しているといえ、窃盗罪の故意と不法領得の意思があるといえます(③、④)。
したがって、上記事例のAさんの行為には窃盗罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避に向けた弁護活動

窃盗罪で逮捕され、その後勾留されると、原則10日間、延長が認められた場合にはさらに10日間、最長で20日間身柄拘束されることになります。
そして、被疑者勾留による身柄拘束中は、被疑者は留置施設内で生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との交流も制限されるなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることが考えられます。
また、身柄拘束により職場への出勤や学校への出席などできなくなるため、職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査されていることが学校へ発覚することで、学校側から停学処分や退学処分を下されてしまう可能性もあります。
しかし、被疑者勾留による身柄拘束を回避することができれば、そのような不利益を被らずに済むかもしれません。
被疑者勾留は、検察官が勾留請求し、裁判官が請求を認めることで行われます。
そこで、弁護士は、検察官や裁判官に対して意見書を提出することで被疑者を勾留しないようはたらきかけます。
そもそも、被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による逃亡や証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、例えば、上記事例におけるAさんの家族や親族がAさんを監督し、捜査機関や裁判所への出頭の機会を確保することを約束する身元引受を行うという事情があれば、Aさんの逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となります。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者勾留による身柄拘束の回避を目指します。
もっとも、意見書の提出は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めて身柄拘束を決定するまでに行う必要があるため、ご家族等が逮捕されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(自転車に乗り追い抜きざまに女性の尻を触ったケース)

2025-04-16

【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(自転車に乗り追い抜きざまに女性の尻を触ったケース)

今回は、自転車に乗り追い抜きざまに女性の尻を触ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:自転車に乗り追い抜きざまに女性の尻を触ったケース

福岡県警南警察署は、住宅街で自転車に乗り、歩いていた女性Vさんの尻を追い抜きざまに触ったとして、Aさんを不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市南区の住宅街で自転車に乗り、前方を歩いていた女性の尻を触った疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが同署に被害を届け出たことで事件が発覚しました。
その後、事件現場での聞き込みや現場付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,不同意わいせつ罪について

〈不同意わいせつ罪〉(刑法第176条第1項)

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
第1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
第2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
第3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
第4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
第5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
第6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
第7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
第8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、Aさんは自転車に乗り追い抜きざまにVさんの胸を触るという「暴行」を加えています(①)。
そして、自転車で追い抜きざまに胸を触るという行為は、極めて短い時間に行われているため、Vさんは「同意しない意思を形成…することが困難な状態」にあったといえます(②)。
また、胸を触るという行為は、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為といえ、「わいせつな行為」に当たります(③)。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には、不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束からの解放に向けた弁護活動

不同意わいせつ罪で逮捕されると最大72時間、逮捕に続いて勾留されると最大で20日間(原則10日、延長されるとさらに10日)、身柄拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
被疑者は、勾留されている間、一挙手一投足を厳しく規制・監視される環境で生活することを余儀なくされ、また、家族や友人など外部との接触も制限されて一人きりで捜査機関による取調べに臨まなければならないなど、被疑者が抱える肉体的・精神的な負担は相当なものであるといえます。
そこで、そのような負担を解消するためには、被疑者を勾留による身柄拘束から少しでも早く解放する必要があるといえます。
そもそも、被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、身柄拘束からの早期解放を実現するためには、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことが重要となります。
そのような弁護活動を通じて、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放をめざします。
もっとも、刑事弁護はスピードが命であるため、自身が捜査機関から捜査の対象になっている場合や、ご家族等が逮捕・勾留されてしまった場合は少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査を受けている、あるいはこれから捜査を受けるおそれのある方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
また、家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては、弁護士が直接身柄拘束を受けている方のもとに赴く初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(ハローワーク職員の顔を平手で殴り職務を妨害したケース)

2025-04-13

【事例解説】公務執行妨害罪とその弁護活動(ハローワーク職員の顔を平手で殴り職務を妨害したケース)

今回は、ハローワーク職員の顔を平手で殴り職務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:ハローワーク職員の顔を平手で殴り職務を妨害したケース

福岡県警は、福岡県内のハローワークの窓口で対応した職員Vさんの顔を平手で殴る暴行を加え、職務を妨害したとして、公務執行妨害の疑いでAさんを現行犯逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは県内のハローワークを訪れた際、窓口で対応した職員Vさんの顔を平手で殴る暴行を加え、Vさんの職務を妨害した疑いが持たれています。
他の職員が警察に110番通報し、駆け付けた警察官により現行犯逮捕されました。
Vさんにけがはありませんでした。
警察の調べに対して、Aさんは「窓口の対応が不満だった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法第95条第1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法の公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員をいいます。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務をいいます。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
そして、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例では、Aさんは、窓口対応したVさんの顔を平手で殴る「暴行」を加えていますが、ハローワークの正規職員は国家公務員であるため、職員であるVさんは「公務員」に当たります。
そして、Vさんの顔を平手で殴る暴行により、Vさんの「職務」を妨害しています。
したがって、上記事例のAさんの行為には、公務執行妨害罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束からの早期解放を目指す弁護活動

公務執行妨害罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は一挙手一投足が厳しく規制・監督される環境に身を置くことになり、また、家族や友人など外部との接触も厳しく制限されることになります。
そして、この身柄拘束は原則10日(延長されればさらに10日)続きますが、その間は会社に出勤することもできなくなるため、無断欠勤が10日間も続けば会社をクビになり職を失う可能性もあります。
以上より、被疑者勾留にはさまざまな不利益が生じるため、そのような不利益を回避するために、身柄拘束から少しでも早く解放を目指すことが重要となります。
そもそも被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を実現するためには、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張する必要があります。
例えば、被疑者の家族や親族が被疑者の身元を監督し、裁判所や捜査機関への出頭を確保することを約束する身元引受を行い、それを書面化すれば、被疑者による逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
そのような弁護活動を行い、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を目指します。
ご家族やご親族が逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼して身柄拘束による不利益を回避することが重要といえます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内においてご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
ご家族等が公務執行妨害罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方のもとに弁護士が面会に赴く初回接見サービス(有料)をご用意しております。
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【事例解説】公然わいせつ罪とその弁護活動(自分の車の運転席で下半身を露出したケース)

2025-04-10

【事例解説】公然わいせつ罪とその弁護活動(自分の車の運転席で下半身を露出したケース)

今回は、自分の車の運転席で下半身を露出したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:自分の車の運転席で下半身を露出したケース

福岡県警は、自分の車で福岡市内の飲食店のドライブスルーを訪れ、運転席に座ったまま従業員Vさんに下半身をみせたとして、公然わいせつの疑いでAさんを逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは商品を受け取らずに車で逃走しましたが、飲食店からの110番通報をしました。
その後、警察は飲食店の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやりました」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,公然わいせつ罪について

〈公然わいせつ罪〉(刑法第174条)

公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法公然わいせつ罪は、①公然と②わいせつな行為をした場合に成立します。
公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態を言い、現実に不特定又は多数人が認識する必要はなく、認識可能性があれば公然性が認められます。
例えば、不特定又は多数人が通行する可能性がある場所でわいせつ行為を行った場合に、たとえ実際にその場に通行人が全くいなかったとしても、不特定又は多数人の認識可能性は存在するため、公然性は否定されません。
わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為で、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義的観念に反する行為を言います。
わいせつな行為」に当たるとされた具体的な行為は、陰部を露出するストリップショーや見物客に覗かせて密室内で性交の演技などがあります。
上記の事例では、Aさんは飲食店のドライブスルーを訪れ、運転席に座ったまま自分の下半身を露出していますが、飲食店のドライブスルーは、多くの人が利用することが予想され、不特定又は多数人にとって認識可能性が認められるといえます(①)。
また、下半身を露出する行為は、いたずらに性欲を刺激または興奮させる行為、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為といえます(②)。
したがって、上記事例のAさんの行為には、公然わいせつ罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束からの解放に向けた弁護活動

公然わいせつ罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄拘束されて捜査機関による取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を監視・規制される環境に身を置くことになり、家族や友人など外部との接触も制限され、1人きりで捜査機関の取り調べに臨まなくてはなりません。
また、被疑者勾留による身柄拘束が長引けば、職場への出勤や学校への投稿などができなくなり、その結果、職場からの解雇や学校が不審に思い調べることで犯罪の被疑者として捜査されていることが学校側に発覚して停学や退学などの重い処分を下される可能性もあります。
しかし、できるだけ早くに被疑者を身柄拘束から解放することで、そのような不利益を回避することができるかもしれません。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定の場合や、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していくことで、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
例えば、上記の事例において、Aさんの家族や親族がAさんの身元引き受けを行うことで、Aさんの捜査機関や裁判所への出頭の機会を約束する旨の書面があることは、Aさんの逃亡のおそれを否定する客観的な証拠となり得ます。
以上のような弁護活動を通じて、被疑者の早期の身柄解放を目指します。
少しでも早く被疑者を身柄拘束から解放したい場合には、なるべく早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で公然わいせつ罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が公然わいせつ罪の当事者となり身柄を拘束されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が公然わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(停車中の車を金属バットで殴り破損させたケース)

2025-04-07

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(停車中の車を金属バットで殴り破損させたケース)

今回は、停車中の車を金属バットで殴り破損させたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:停車中の車を金属バットで殴り破損させたケース

福岡県警は、停車中の車を金属バットで殴り破損させたとして、福岡市に住むAさんを器物損壊の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは福岡市内のコインパーキングに停車していたVさんの車のフロントガラスなどを金属バットで殴って破損させた疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが警察に通報し、事件が発覚。
その後、現場付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「イライラしてやってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪について

〈器物損壊罪〉(刑法第261条)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法において保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。

2,前科回避に向けた弁護活動

器物損壊罪で逮捕され、その後起訴を経て裁判により有罪判決を受けると、たとえ罰金刑や執行猶予付判決であったとしても、前科が付いてしまいます。
前科が付くことで、職場からの解雇や就職活動時に前科の有無を確認され採用するうえでの判断材料にされることや実名報道されてしまうおそれなど、様々な不利益が生じることが考えられます。
しかし、器物損壊罪は、被害者が存在する犯罪であり、また、公訴を提起するためには被害者の刑事告訴が必要となる犯罪です。
公訴の提起に被害者の刑事告訴が必要となる犯罪のことを親告罪といいます(刑法第264条参照)。
そこで、被害者との間で、刑事告訴をしない、あるいは刑事告訴の取消しを内容とする示談を成立させることができれば、検察官は公訴を提起できなくなり、前科が付くことを避けられます。
そのため、器物損壊罪で前科がつくことを回避するためには、被害者と示談交渉を試み、示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできますが、器物損壊罪の被害者は、被害を受けたことで怒り、あるいは怖い思いをしており、加害者に対して強い処罰感情を有していると考えられます。
しかし、相手が弁護士であれば、被害者側も安心して示談交渉に臨むことができ、交渉に応じていただければ、示談成立の期待が大いに高まります。
以上より、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉に強い弁護士に相談することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(路上で歩いていた女性の後ろから首を絞めてけがをさせたケース)

2025-04-03

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(路上で歩いていた女性の後ろから首を絞めてけがをさせたケース)

今回は、路上で歩いていた女性の後ろから首を絞めてけがをさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路上で歩いていた女性の後ろから首を絞めてけがをさせたケース

福岡県警は、福岡市の路上で女性の首を絞めてけがを負わせたとして、会社員のAさんを傷害の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市内の路上を1人で歩いていたVさんの後ろから腕を回し、肘を使って首を絞めた疑いが持たれています。
被害に遭ったVさんが大声をあげるとAさんはその場から逃走し、Vさんは110番通報しました。
Vさんは頸椎を捻挫し、全治2週間のけがをしました。
現場付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法第204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させたりすることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)、睡眠薬等による約6時間の意識障害の症状を生じさせた場合(最高裁判決平成24年1月30日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは、路上を歩いていたVさんの後ろから首を絞めるという有形力を行使して、Vさんに全治2週間の頸椎捻挫という「傷害」の結果を発生させています。
したがって、上記事例のAさんには傷害罪が成立することが考えられます。

2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動

傷害罪で逮捕されると、捜査機関の下で最長72時間身柄拘束され、その間に取調べを受けることになります。
そして、検察がさらに証拠の収集などの捜査のために被疑者の身柄拘束する必要性があると判断した場合、検察官は勾留請求することになります。
勾留請求が認められた場合、原則10日間、延長が認められればさらに10日間、被疑者は身柄拘束されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて長い間身柄拘束を受けることになり、例えば勤め先に出勤することができなくなり解雇になる危険性があるなどの不利益が生じることになります。
また、勾留中は、生活を厳しく監視・規制される、被疑者は家族や友人など外部と自由に会えない、そして、1人きりで捜査機関による取調べに臨まなくてはならないなど、被疑者が抱える精神的・身体的な負担は過大なものになると言えるでしょう。
そのような不利益や負担を回避するために、弁護士は、検察官や裁判所に対して意見書を提出して、勾留請求しないように働きかけることができます。
被疑者勾留は、検察官が裁判官に勾留を請求し、裁判官が被疑者勾留の要件を満たすと判断した場合に認められます。
そして、被疑者勾留の要件は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合です。
それらの要件を否定し得る客観的な証拠が存在すれば、意見書と一緒に提出し、身柄拘束をしないように働きかけます。
もっとも、意見書は被疑者勾留による身柄拘束が決定される前に提出する必要があるため、被疑者勾留を回避したい場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において傷害罪の当事者となりお困りの方、またはご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
傷害罪の当事者となり身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(メッセージアプリで殺してやるなどと脅迫するメッセージを送ったケース)

2025-03-31

【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(メッセージアプリで殺してやるなどと脅迫するメッセージを送ったケース)

今回は、メッセージアプリで殺してやるなどと脅迫するメッセージを送ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:メッセージアプリで殺してやるなどと脅迫するメッセージを送ったケース

福岡県警は、交際中の女性Vさんに対し「殺してやるからな」などとメッセージアプリでメッセージを送り脅迫したとして、福岡市に住むAさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
被害に遭ったVさんが警察に被害届を出したことで事件が発覚し、その後の捜査を経てAさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「送ったことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,脅迫罪について

〈脅迫罪〉(刑法第222条第1項)

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

刑法脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③人を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、脅迫罪は害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、「生命、身体、自由、名誉又は財産」に限定されています。
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。
上記の事例では、AさんはVさんに対してメッセージアプリで、「殺してやるからな」などのメッセージを送り、Vさんの「生命」に対して「害を加える旨告知」し「脅迫」しています。
以上より、Aさんには脅迫罪刑法第222条第1項)が成立することが考えられます。

2,示談の重要性

脅迫罪は、被害者が存在する犯罪です。
そこで、被害者と示談交渉を試みます。
被害者との示談成立は、検察官の処分や量刑判断などに影響を与えるだけでなく、身柄拘束からの早期解放も期待できます。
このことから、被害者との示談成立はとても重要であると言えます。
示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、事件の被害者は、加害者側に対して恐怖や怒りなどから強い処罰感情を有しており、示談交渉に応じてもらえないこともあります。
もっとも、弁護士であれば、被害者の方に加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害の弁償を行う準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じていただけることも少なくありません。
そのため、示談交渉を事件の当事者同士で行うことはあまり得策とは言えず、交渉は法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において脅迫罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が脅迫罪の当事者となり身柄拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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脅迫罪の当事者となり在宅事件で捜査機関の捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が脅迫罪の当事者となり逮捕・勾留により身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
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【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置して盗撮したケース)

2025-03-28

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置して盗撮したケース)

今回は、職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置して盗撮したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置して盗撮したケース

福岡県警は、職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置して、同僚女性Vさんを盗撮した疑いで、元従業員のAさんを性的姿態等撮影の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは福岡市内にある会社の女子トイレ内に自分のスマートフォンを設置して、Vさんを盗撮した疑いが持たれています。
被害を受けたVさんが設置されているスマートフォンに気付き、警察に被害を届け出、その後の捜査を経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,性的姿態等撮影罪について

〈性的姿態等撮影罪〉

第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
第1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

いわゆる盗撮については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
上記の事例では、Aさんは、職場の女子トイレに自分のスマートフォンを設置してVさんの「性的な部位」を、Vさんの意思に反して撮影しているといえます。
また、Aさんの行為に「正当な理由」も見受けられません。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には性的姿態等撮影罪性的姿態等撮影処罰法第2条第1項第1号イ)が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避に向けた弁護活動

性的姿態等撮影罪で逮捕され、それに続いて勾留されてしまうと、最長で23日間、身柄拘束され、捜査機関の取調べを受けることになります。
被疑者勾留は、検察官が請求し、裁判官がその請求を認めることで勾留決定となり、被疑者は原則10日間(延長が認められればさらに10日間)身柄拘束されます。
その間、被疑者は職場に出勤することや学校に登校することなどができなくなり、10日間も無断欠勤すれば職場からの解雇や、犯罪の被疑者として捜査を受けていることが学校側に発覚すれば停学や退学など重い処分を下される可能性もあります。
しかし、身柄拘束を阻止できれば、そのような不利益を回避できるかもしれません。
前述の通り、被疑者勾留は、検察官が勾留請求して裁判官がその請求を認めることで勾留決定となります。
そこで、弁護士は、検察官と裁判官に意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
被疑者勾留は、被疑者が住居不定や被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に認められるため、被疑者がそれらの要件に該当しないことを示す客観的な証拠を収集し、意見書と一緒に提出します。
意見書の提出は、検察官に対して勾留請求しないよう1回と、それでも検察官が勾留請求した場合は裁判官に勾留請求を認めないよう1回の計2回の機会があります。
もっとも、被疑者勾留が決定した後は意見書を提出することはできませんので、ご家族などが身柄拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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