【事例解説】空き巣をした場合に成立する犯罪とその弁護活動(面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース)

【事例解説】空き巣をした場合に成立する犯罪とその弁護活動(面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース)

今回は、面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:面識ある知人宅に侵入し現金を盗んだケース

福岡県警東警察署は、同区に住むVさんの自宅に侵入し、金庫に保管してあった現金30万円を盗んだとして、福岡市中央区に住む会社員のAさんを住居侵入窃盗の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Vさんは犯行時刻に不在で、その後帰宅した際に何者かが入った形跡があり金庫を調べたところ、金庫内に保管してあった現金30万円が無くなっていることに気付き警察に通報しました。
通報を受けた警察は、現場検証や付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を行い、Aさんの犯行を特定し逮捕に至りました。
また、2人は面識がありました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,事例に成立する犯罪について

上記事例のAさんの行為は、一般的には空き巣といわれる行為であり、空き巣をしたときに成立する刑法の犯罪を2種類、それにより科せられる刑罰について解説致します。

(1)住居侵入罪について

正当な理由がないのに、人の住居…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。刑法第130条前段

住居侵入罪は、一般的には不法侵入という言葉で広く社会で使われており、①正当な理由がないのに、②人の③住居に④侵入した場合に成立する犯罪です。
②の「人の」とは犯人自身がその住居の居住者ではないことを意味します。
③「住居」とは、人が起臥寝食に利用する場所のことをいいます。
起臥寝食とは起きたり寝たり食べたりすることを言うので、分かりやすく言えば、人が生活するために使う場所のことであり、具体的には家やマンション、さらに一時的に利用するホテルの部屋であっても「住居」に含まれます。
④「侵入」とは、住居権者の意思に反する立ち入りをいいます。
最後に、①「正当な理由がないのに」とは、侵入の違法性を排除する理由がないことを意味します。
立ち入りに対して住居権者の承諾がある場合には、そもそも「侵入」に当たらず住居侵入罪は成立しないので、この要件は、住居権者の意思に反する立ち入りであることを前提に、例えば刑事訴訟法に基づく捜索のための立ち入りなど「侵入」を正当化する理由がないことを言います。
上記の事例でいえば、Aさんは、Vさんが不在にしている自宅に、Vさんの意思に反して立ち入っています(②,③,④)。
また、侵入の目的は金庫内に保管されている現金を盗むことであったことが推認されるところ、それをVさんが知っていたら面識があるといえどもAさんの立ち入りを許すことはなかったと考えられます。
そのため、AさんのVさんの自宅への立ち入りには正当な理由は無かったといえます(①)。
したがって、Aさんには住居侵入罪刑法第130条前段)が成立することが考えられます。

(2)窃盗罪について

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法第235条

窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。
上記の事例では、Aさんは、Vさんの自宅の金庫で保管されていた現金30万円(①)を、持ち主であるVさんの意思に反してAさん自身の占有に移しています(②)。
したがって、Aさんには窃盗罪も成立することが考えられます。

(3)牽連犯について

…犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。刑法第54条第1項後段

牽連犯とは、数個の行為が手段・目的または原因・結果の関係にある場合をいいます。
例えば、上記の事例のように、窃盗のために住居侵入をした場合には、住居侵入窃盗を遂行するための手段となっているため、牽連犯が成立します。
そして、牽連犯が成立する場合、その最も重い刑により処断されます。
上記事例では、Aさんには住居侵入罪窃盗罪が成立しますが、住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金、窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。
したがって、Aさんはその最も重い刑である窃盗罪の刑罰により処断されることになります。

以上より、上記事例のAさんには住居侵入罪窃盗罪が成立し、窃盗罪の刑罰が科せられることになります。

2,身柄拘束からの早期解放を目指す弁護活動

逮捕・勾留されると、最長で23日間身柄拘束され、捜査機関による取調べを受けることになります。
身柄拘束されると、被疑者は一挙手一投足が厳しく規制・監督される環境に身を置くことになり、また、家族や友人など外部との接触も厳しく制限されることになります。
そして、被疑者勾留は原則10日(延長されればさらに10日)続きますが、その間は会社に出勤することもできなくなるため、無断欠勤が10日間も続けば会社をクビになり職を失う可能性もあります。
以上より、被疑者勾留にはさまざまな不利益が生じるため、そのような不利益を回避するために、身柄拘束から少しでも早く解放を目指すことが重要となります。
そもそも被疑者勾留による身柄拘束は、被疑者が定まった住居を有しない場合や、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そのため、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を実現するためには、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張する必要があります。
例えば、被疑者の家族や親族が被疑者の身元を監督し、裁判所や捜査機関への出頭を確保することを約束する身元引受を行い、それを書面化すれば、被疑者による逃亡のおそれを否定し得る客観的な証拠となります。
そのような弁護活動を行い、被疑者勾留による身柄拘束からの早期解放を目指します。
ご家族やご親族が逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼して身柄拘束による不利益を回避することが重要といえます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
住居侵入窃盗事件の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が住居侵入窃盗事件の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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