赤色信号看過で過失運転致傷罪

2019-02-27

赤色信号看過で過失運転致傷罪

福岡市東区に住むAさんは,深夜午前1時頃,普通乗用自動車を運転して帰宅途中,前方約70メートルにある交差点の対面信号が赤色信号だったにも関わらず,「深夜だし交差点を通過する車はいないだろう」「早く家に帰ってゆっくりしたい」などと思って,時速約60キロメートルで交差点に進入しました。そうしたところ,右方から交差点に進入してきたVさん運転の軽自動車に自車を衝突させ,Vさん運転の軽自動車を電柱に衝突させてVさんに加療約1か月間を要する怪我を負わせました。
Aさんは,当初,福岡県東警察署過失運転致傷罪で現行犯逮捕され,その後起訴されました。
(フィクションです)

~ 過失運転致傷罪 ~

過失運転致傷罪とは,どんな罪なのでしょうか?まずは,過失運転致傷罪が規定されている法律,条文から確認することにします。
過失運転致傷罪は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下,法律)」の5条に規定されています。

法律5条
 自動車の運転上必要な注意義務を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

つまり,過失運転致傷罪が成立した場合,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処される可能性があります。

= 「自動車の運転上必要な注意義務を怠り」とは? =

「自動車の運転上必要な注意義務を怠った」とは,要は「過失」があることをいいます。では,「過失」とは何かというと「不注意な行為」,つまり,

ある注意義務が課されているにもかかわらず,その注意義務違反があったこと

をいうのです。要は,「~すべき(注意義務)だったにもかかわらず,それを怠った,しなかった」ということです。

= 赤色信号看過における注意義務とは(常識的理解) =

では,赤色信号看過における注意義務とは何なのでしょうか?
これについては,車を運転する方なら誰しも,

赤色信号は守らなければならない,従わなければならない

ということは常識としてご存知のはずで,概ねこれが,赤色信号看過における注意義務と考えていいでしょう。

= 赤色信号看過における注意義務,注意義務違反(法律的理解) =

これを法律に従って解説すると,道路交通法7条では

道路を通行する歩行者又は車両等は,信号機の表示する信号・・・・に従わなければならない

と規定されており,道路交通法施行規則2条では,道路交通法4条4項に規定する信号機の表示する信号の種類,意味について規定しており,

車両等は,停止位置を超えて進行してはならないこと

としています。

つまり,赤色信号看過の場合,

赤色信号に従わなければならない
停止位置を超えてはならない

ということが「注意義務」,それに違反することが「注意義務違反」=「過失」ということになります。

= 信号看過に関する2つの考え方 =

信号看過に関する「過失」のご説明は以上ですが,この信号看過に関する「過失」については次の2つの考え方があります。

* 注意義務の内容を信号の色(赤か黄)で区別する考え方 *

信号看過をした運転者が,仮に対面信号が黄色信号から赤色信号に変わった時点でそのことに気づき,直ちに急ブレーキをかけて,停止位置手前(あるいは交差点入口の安全な場所)で停止できたにもかかわらず,これを看過した場合は赤色信号看過の過失が,停止できない場合には黄色信号看過の過失が成立するとする考え方です。
この考え方の理由として,客観的に黄色から赤色に変わった時点で気づいても,停止位置等で止まれないような場合,運転者に赤色信号看過の過失を問うのは不可能であり,酷だからだとしています。

* 注意義務の内容を信号の色(赤か黄)で区別しない考え方 *

他方で,「(色に関係なく)信号表示に従わずに進行したこと」を「過失」ととらえ,結果的に,車両が交差点手前の停止位置を超える時点において,その対面信号機が赤色表示のときは赤色信号看過の過失が,黄色信号のときは,黄色信号看過の過失が成立するとする考え方です。この考え方によれば,上記の考え方のように,「仮に,赤色信号に気づいた時点で,停止位置で停止することができたか否か」という点は考慮しなくてもいいことになります(単に,信号を看過したか否か,看過したときの信号の色はどうだったのかを考慮すればよい)。

= 量刑における赤色信号看過と黄色信号看過の違い =

赤色信号看過の場合,相手方は,青色信号で交差点に進入してきており,しかも,赤色信号看過して進入してくる車両等はないものと安心しきっていますから,赤色信号看過と黄色信号看過と比べると,前者の方が断然,交通事故発生の危険度は高いです。したがって,量刑でも,黄色信号看過より赤色信号看過の方が重くなります。

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