【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)

【事例解説】恐喝罪とその弁護活動(被害者を殴るなどして現金を脅し取ろうとしたケース)

今回は、Aさんらが2人で共謀してVさんを殴り現金を脅し取ろうとしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:被害者を殴り現金を脅し取ろうとしたケース

福岡県警春日警察署は、恐喝未遂の疑いでいずれも春日市在住のAさんら2人を逮捕した。2人の逮捕容疑は共謀し、春日市内の団体職員の20代男性Vさんを殴るなどして現金を脅し取ろうとした疑い。
捜査に支障があるとして認否を明らかにしていない。
(事例はフィクションです。)

1,恐喝罪について

〈恐喝罪〉(刑法249条)

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法恐喝罪は、人を恐喝して財物(1項)または財産上の利益2項)を交付させた場合に成立します。
恐喝」とは、財物の交付や財産上の利益の移転に向けられた、人を畏怖させるに足りる脅迫または暴行であって、その人の反抗を抑圧させるに至らない程度の行為を言います。
もし暴行または脅迫を加えた相手方の反抗を抑圧するに足りる程に強度であった場合には、恐喝罪ではなく強盗罪刑法236条)の成立が検討されることになります。
財物」とは、所有権の対象となり得る物であれば広く保護の対象となります。
しかし、メモ紙1枚など経済的にも主観的にも価値が認められない場合には、「財物」として保護されません。
もっとも、「財物」として保護の対象とならないとしても、「財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ」た場合には、強要罪刑法223条1項)に該当する可能性があります。
財産上の利益」とは、財物以外の財産上の利益を言い、債務を免除させる場合やサービス・労務を提供させる場合などが、これに該当します。
財産上不法の利益を得」るとは、財産上の利益の取得が暴行または脅迫を用いるなど違法な手段によって行われることを言います。
そのため、財産上の利益が違法なものであったとしても、それを暴行や脅迫など違法な手段で取得すれば、それは「財産上不法の利益を得」たことになります。
そして、恐喝罪詐欺罪と同様、恐喝行為→相手方の畏怖→畏怖に基づく交付(処分)行為→財物または財産上不法の利益の移転という一連の流れがそれぞれ原因と結果の関係を有している必要があります。

2,恐喝罪で逮捕された場合の弁護活動

恐喝罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され捜査機関からの取調べを受けることになります。
被疑者が犯罪の事実を否定しているまたはその認否が明らかでない場合などは、取調べに対してどのように臨むかはとても重要な問題となります。
取調べで話した内容は供述調書となり、その後の裁判で重要な証拠となります。
少しでも事実と異なる場合や話したくないことがあると言った場合でも、被疑者が法律に関する知識が不十分であることが多く、自分では判断ができないことがあります。
また、話したくないからと言ってやみくもに黙秘権を行使すれば、捜査機関側からは何か隠しているのではないか、証拠を隠滅しようとしているのではないか等あまり良くない印象を持たれるおそれや、身柄拘束が長くなるおそれなどが懸念されます。
しかし、弁護士であれば、取調べに対しどのように臨めば良いかや適切な黙秘権の行使方法といった法律の専門家として適切かつ丁寧なアドバイスをすることができます。
また、恐喝罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
かりに、被疑者が罪を認めている等の事情があれば、被害者に対する謝罪や弁償等を行うことで示談交渉を進めることができます。
示談交渉はただ被害の弁償や謝罪を行えばいいという訳ではなく、被害者側の意向をくみ取りながら宥恕条項(被害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届や刑事告訴をしている場合には被害届の取下げや刑事告訴の取消しといった約定を加えた示談を成立させる必要があります。
示談交渉は当事者同士でも行うことができますが、当事者同士での交渉は拗れることが多く、また、捜査機関側からは加害者が被害者に対し口封じ等証拠の隠滅を図っているのではないかなどと思われることもあります。
被害者側としても加害者と直接コンタクトをとることは避けるのが通常と言えますが、弁護士が間に入れば、被害者に対して丁寧な説明をすることができ、示談が成立する可能性が高くなると言えるでしょう。

3,まずは弁護士に相談を

春日市において恐喝罪の当事者となり捜査を受けている方またはこれから捜査を受ける恐れのある方、あるいはご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に特化した弁護士が在籍しており、恐喝罪の当事者で身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が恐喝罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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