強盗犯に反撃した事件を参考に、正当防衛の成否について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事例
福岡県八女市に住む会社員のAさんは、会社帰りに夜道を歩いていたところ、大柄の若い男に金を出せと脅されました。
Aさんは、お金を取られたくなかったのもあり出し渋っていたところ、男の内1人が殴りかかってきたので、Aさんは、この男の身体を両手で突き飛ばしました。
そうしたところ、男がバランスを崩し倒れてコンクリートの地面に頭を打ちつけて気を失ってしまいました。
(フィクションです。)
強盗犯に反撃したAさんの行為が正当防衛になるのかを検証!
正当防衛
犯罪が成立するためには、犯罪の構成要件に該当し、違法で、有責といえる必要がありますが、正当防衛が成立すると、この違法性が阻却されるため刑事罰を受けません。
刑法第36条急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
正当防衛の成立要件
正当防衛が成立するためには
①「急迫不正の侵害」に対して
②「自己又は他人の権利」を
③「防衛するため」に
④「やむを得ずにした行為」
①「急迫不正の侵害」とは、違法な法益侵害が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていることをいいます。
ここでいう「不正」とは、違法であればよく、有責であることまで必要とされません。
③「防衛するため」といえるには、防衛の意思が存在する必要があります。
防衛の意思の内容としては、侵害の認識と侵害に対応する意思があれば足り、防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合でも、必ずしも防衛の意思を欠くものではないとされています。
もっとも、積極的加害意思があるような場合は、防衛の意思は否定されます。
必要性とは、侵害を防ぐために必要な行為であることをいいますが、緊急避難のようにそれ以外に法益保全の手段がないことや必要不可欠な手段であることまでは要求されていません。
次に、相当性とは、防衛する手段として必要最小限度のものであることをいいます。これは、武器対等の原則を念頭に、性別、年齢、力量等も考慮して判断されます。
Aさんは正当防衛になるのか?
Aさんは、夜道でいきなり金を要求された後、男の一人から殴りかかられているので、「急迫不正の侵害」は認められるでしょう。
また、Aさんは自らの身を守るために、とっさに反撃しているものの、その行為は相手の身体を突き飛ばしただけなので、積極的加害意思は認められませんので、「自己の権利」を「防衛するため」に「やむを得ずにした行為」ともいえるでしょう。
以上の状況だけを考慮すると、Aさんの行為には正当防衛が認められる可能性が高いでしょう。
正当防衛を主張するのであれば
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