虞犯少年と学校への通報
上記標題について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市八幡西区に住むAさん(14歳)は、高校を退学後、両親との折り合いが悪く、家出をしていました。Aさんは家出中、風俗で働いたり、援助交際をしたりして生活費や遊ぶお金を稼いでいました。しかし、ある晩、Aさんは福岡県八幡東警察署の警察官に補導され、家庭裁判所にぐ犯少年として送致されました。Aさんの両親は、今後のことが不安になって少年事件専門の弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです。)
~ 虞犯少年 ~
虞犯少年とは、少年法3条1項3号イないしニに定められている事由があって、その性格または環境に照らし合わせて、将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年(20歳未満の者)のことを言います。
少年法3条1項3号
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
ロ 正当の理由がなく家庭により附かないこと
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること
二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
「虞犯性」とは、将来の犯罪・触法行為を行う可能性であり、犯罪危険性という一種の評価概念とされています。したがって、虞犯性の判断は、知能・性格等の本人の問題点及び家庭、学校、職場、不良交友等(飲酒、喫煙、怠学、性風俗での稼働・援交の事実など)の外部的行状を総合的に検討して判断されます。
年齢による取扱いは異なりますが、どの年齢の虞犯少年でもいずれは家庭裁判所の少年審判を受けなければならない場合があります。
家庭裁判所で保護処分を受けると、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致、保護観察のいずれかの措置を取られます。
虞犯少年は、何らかの犯罪を犯したわけではありません。
しかしながら、虞犯少年が捜査機関、裁判所の調査、家庭裁判所の少年審判を受ける可能性があるのは、少年の自身の問題や少年を取り巻く環境の問題点をを突き止め、それに対する解決策を提示・実行することにより、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪を未然に防止する必要があるからです。
~ 学校に通報されることはあるの? ~
福岡県では、県内の小学校、中学校、高等学校に通う児童、生徒が逮捕された場合、「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」に従って、警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下、要綱)」は、県内の学校に在籍する児童又は生徒(以下、児童生徒)の非行等の問題行動並びに犯罪及び事故の被害の防止に関し、警察と学校とが必要な情報交換を行うなどして相互の連携を図り、児童生徒の健全育成に資することを目的として定められたもので、平成25年1月1日から施行されています。
要綱では、連絡責任者(警察署長)から学校長へ連絡する事案として以下の事案を対象とするとしています。
・逮捕事案
・逮捕事案以外の事案で、次に掲げる理由により連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
・児童生徒が粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
・他の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
・児童生徒が複数で非行に及んでいること
・児童生徒が非行を繰り返していること
・児童生徒が不良行為を繰り返しており、罪を犯すおそれがあること
・児童生徒の犯罪被害に係る事案で、連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
・児童生徒の善行事案
要綱では、連絡責任者は、上の事案を認めたときは、要綱の定めに従い学校長に連絡するもととされていますが、
捜査、調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは、連絡をしないことができる
とされています。つまり、必ず通報(連絡)されるわけではなく、連絡責任者の裁量で通報(連絡)されるか否か判断されることになります。
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