風俗トラブルで知っていただきたいこと
風俗トラブルについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市博多区に住む会社員のAさんは中洲のソープランドX店へ行き、風俗嬢Vさんから60分間の性的サービスを受けました。その後、AさんはVさんのことが気に入ったことから、Vさんに「3万で本番できない?」というと、Vさんから「お店からは本番禁止と言われているけど、3万出してくれるならいいよ」などと言いました。そこで、AさんはVさんと本番行為をしました。ところが、その後、Aさんが再びX店へ行くと、AさんはX店店長から「お前、風俗嬢と本番したよな?」「風俗嬢が本番したと言っている。」などと言われ、罰金100万円を支払うよう求められ、「もし支払わなければ警察に強制性交等罪で訴える」などと言われています。困り果てたAさんは弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
いわゆるソープやデリヘルのような風俗では、(1)本番行為(2)盗撮、(3)薬物使用、(4)暴力行為、(5)スカウト行為――などが禁止事項とされていることが多いようです。そして、禁止事項を破り、そのことが店側にバレたら、店から「罰金」の支払いを求められるというケースはよく目にしたり、耳にしたりすることがあるかと思います。
ところで、この「罰金」とは法的にはどんな性質のものなのでしょうか?そして、支払う必要があるのでしょうか?「罰金」の支払を求められた方からすれば、「悪いことをした」などという負い目から、ただなんとなく「支払わないといけない」という気持ちに陥ってはいませんか?
そこで、今回は、この罰金の法的性質や刑事事件における「罰金」との違いなどについて解説いたします。
~ お店から求められる「罰金」の性質 ~
風俗店を利用した場合、通常、利用客はお店と風俗利用の「契約」をしていると考えられます。
契約は書類にサインするなど書面で行われる場合のほか、口頭やある一定の行為をすることによっても成立することがあります。
風俗店の利用の場合でも、利用客が風俗嬢を指名してサービスを受けたい旨を店側に伝え、店側がこれに応じた時点で契約が成立すると考えてよいでしょう。
そこで、お店が「本番禁止」としているにもかからわず、風俗嬢と本番行為に及んだ場合は契約違反を理由にお店から損害賠償額を請求される、というわけです。
そして、お店側の「本番行為をしたら罰金100万円をいただきます」という定めは法律上は「損害額の予定」、つまり「違約金」と解されており、違約金はお店側が損害額について立証しなくても請求できると考えられています。お店側は、この違約金を根拠にあなたにお金を請求してきているのです。
ただ、この「本番行為をしたら罰金100万円をいただきます」という定め自体、公序良俗に反し「無効」と考えられることもあります。また「罰金」といいますが、通常、「罰金」というときは刑罰の「罰金」であって、この刑罰を科すことができるのは裁判官だけです。ですから、裁判官でもない風俗の店長が「罰金」という言葉を使っても、慌てふためくことなく冷静に対処することが大切です。
~ 要求が悪質な場合は脅迫罪、恐喝罪などにも!? ~
また、その他に知っていただきたいこととしては、あまりにも金銭の要求が悪質な場合は、相手を恐喝罪(刑法249条)などの罪に問える可能性があるということです。
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
また、金銭を要求されていなくても、「殺すぞ。」「命がないぞ。」「ネット上で言いふらすぞ。」などと言われた場合は脅迫罪(刑法222条)に問える可能性もあります。
刑法222条
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
下手な争いごとに巻き込まれないためには、禁止行為をしないこと、が一番大切ですが、仮に巻き込まれてしまった場合は、上記の知識も抑えておくことも必要かなと思います。
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