福岡県の盗撮条例改正
先日、痴漢行為、盗撮行為などを規制する福岡県迷惑行為防止条例が改正、平成31年3月1日に公布されています(以下、改正条例という)。施行日は、令和元年6月1日です。改正条例では、「痴漢行為」「盗撮行為」「嫌がらせ行為」を規制する規定の内容及びそれらの罰則を改正しています。そこで、今回は、そもそもどうして改正する必要があったのか、「盗撮行為」に関して、改正前と改正後ではどのように変わったのか、についてみていきたいと思います。
~ 改正の理由 ~
福岡県警察のホームページでは改正の理由を以下のように説明しています。
「スマートフォンの急速な普及や情報技術の発達等により、改正前の条例では取締りができない住居の浴室、ホテルの客室等での盗撮事案等が発生し、また、インターネット上の掲示板やブログ等への嫌がらせ行為などの新たな迷惑行為が出現しています。このような悪質な迷惑行為を未然に防止し、県民生活の安全、安心を確保するために、今回、条例の一部改正を行ったものです。」
~ 盗撮行為の改正 ~
では、盗撮行為に関する改正の内容について具体的にみていきたいと思います。盗撮行為に関しては「盗撮行為の追加」「被写体(盗撮される人)の変更」及び「罰則の引き上げ」があされています。
~ 盗撮行為の追加 ~
改正条例6条2項2号に次の規定が追加されました。
衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等(写真機、、ビデオカメラその他これらに類する機器)の当該機能を用いて、衣服等で覆われている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影すること
なお、従前から設けられている
写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること(行為)
については改正条例6条2項3号に移動しましたから、
2項2号の行為をする目的で、写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること(行為)
も処罰の対象となります。
~ 被写体の変更 ~
改正前の条例6条3項1号では、被写体として、
「公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所」で当該状態にいる人
としていたところ、改正条例6条3項1号では
「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所」で当該状態にある人
の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影することを禁じることとされました。
ここでは住居が追加されたこと、また「公衆」が削除され、あるいは「公衆」から「人」とされたことが特徴です。したがって、これまで条例では規制されなかった、
・住居の部屋の中、浴室
・ホテルの一室
・病院の診察室
・風俗店の個室
なども含まれ、そこにいる人の姿態を盗撮した場合は改正条例で処罰されることになりますから注意が必要です。
~ 罰則の引き上げ ~
改正前までは、通常の盗撮行為については、
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
とされていたところ、改正条例11条1項では
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
とされています。また、盗撮行為を常習として行った場合にちうては改正前は
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
とされていたところ、改正条例12条1項では
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
とされており、刑が重たくなっています。
~ 施行は令和元年6月1日から ~
冒頭でもご紹介したとおり、改正条例の施行日は令和元年6月1日からです。ということは、この日以降の盗撮行為については改正条例が適用されることになります。なお、施行日前の盗撮行為については従前の条例が適用されることになります(改正条例附則2条)。
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