少年と大麻 

少年と大麻 

福岡県久留米市に住む大学生のA君(19歳)は,知人B君からこれ「マリファナ」「使ってごらん」と言われ,興味本位から,B君から乾燥大麻を受け取り,巻紙に巻いて吸っていたところ,福岡県久留米署の警察官の職務質問に遭いました。そして,A君は,B君から受け取った乾燥大麻の一部を所持していたことから大麻取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕されました。逮捕の知らせを受けたA君の両親は,少年事件・薬物事件に強い弁護士に,A君との接見を依頼しました。
※少年=20歳未満の男女
(フィクションです)

~ 使用罪が処罰されないのはなぜ? ~

大麻取締法は所持罪について以下の規定を設けています。

3条1項
 大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。

24条の2第1項
 大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,5年以下の懲役に処する。

他方で,覚せい剤と異なり,使用罪については規定がありません。理由はいろいろあるようですが,一番大きな理由は,私たちの生活に関係しているようです。すなわち,七味唐辛子の麻の種は元々は大麻草から取れたもの,神社にあるしめ縄の原材料の麻は大麻草の茎から作られていると言われていますが,七味唐辛子もしめ縄も日常生活で使われています。これは,成熟した種や茎は幻覚成分がなく安全とされているからです。他方で,その作成過程では,少なからず生産者の方々が幻覚成分を吸引してしまう可能性があり,使用を処罰するとすると,これらの方々を処罰しなければならず不都合が生じます。そこで,大麻取締法では使用罪の処罰規定を設けていないのです。

ただ,このことは大麻取締法が大麻を合法と認めたわけではないということは言うまでもありません。使用行為の前提として必ず所持行為があります。上記のとおり,大麻取締法は所持行為等を処罰の対象としています。A君も,所持罪で逮捕されています。

~ 少年と大麻 ~

平成29年度版犯罪白書によれば,大麻取締法違反で,検察庁に送致された少年の人数は以下のとおりです。

【平成16年 221人,平成17年 174人,平成18年 187人,平成19年 178人,平成20年 227人,平成21年 211人,平成22年 164人,平成23年 81人,平成24年 66人,平成25年 58人,平成26年 77人,平成27年 144人,平成28年 206人】

近年の傾向としては,平成23年以降100人代を切りましたが,平成27年,平成28年と連続して100人を超え一気に増加している点が気になるところです。
 
少年大麻をはじめとする薬物に手を染めてしまうケースの多くは,薬物に関する知識が浅はかなまま興味本位で,とか,周りの人間の誘いを断れなかった場合です。A君のように,タバコ感覚で大麻に手を出してしまう少年も多くいるようです。また,最近は,ネット社会ということもあり,大麻の売人から直接購入するというよりかは,インターネット上で購入するとうケースも増え,とたんに薬物の世界に足を踏み入れてしまうということにもなりかねません。

~ A君の今後 ~

少年であっても逮捕されないという保証はありません。また,事案によっては拘束期間が長期に及んだり,弁護士以外の者との接見(面会)を禁じる接見禁止決定が出る場合もあります。
A君は,逮捕から48時間以内に検察庁に送致する手続が取られ,送致を受けた検察官は,送致を受けたときから24時間以内に勾留請求するか,勾留に変わる観護措置請求をするか判断します。仮に,前者の判断をした場合,今度は請求を受けた裁判官がA君を勾留するかしないかを判断します。なお,検察官が予備的に勾留に変わる観護措置請求をしていれば,裁判官が勾留に変わり,勾留に変わる観護措置決定を出す場合があります。
勾留すると判断された場合,A君は,裁判官が指定した場所(通常は警察署の留置施設)に身柄を拘束されます。期間は,はじめ,勾留請求の日から10日間です。観護措置の判断をされた場合,A君は,少年鑑別所に収容されます。期間は,請求の日から10日間で,勾留の場合と異なり延長は認められていません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻をはじめとする薬物事件少年事件専門の法律事務所です。お子様,ご家族が大麻などの薬物で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

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