猫にエアガンを発射 猫を傷付けた場合の刑事責任は

猫にエアガンを発射して、猫を傷付けた場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県北九州市に住むAさん(20歳)は、大受験に失敗し、浪人生活をしています。
そんな生活を送るAさんは受験勉強でストレスがたまり、たまに近所にある公園で、猫に向けてエアガンを発射してストレスを解消していました。
人目に付かないように夜中に自宅を抜け出してこのような行為に及んでいたのですが、近所では公園で傷付いた猫がよく発見されると噂になっており、住民が福岡県戸畑警察署に届け出たようです。
(フィクションです。)

動物愛護法違反

猫に向けてエアガンを発射して猫を傷付けると、動物愛護法違反に抵触します。
動物愛護法とは「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。
この法律は主に、動物の虐待を防止したり、動物の飼い主やペット業者に責任や義務を課すための法律です。
動物愛護法の対象となる動物は、犬、猫、牛、馬等の哺乳類だけでなく、鳥類や爬虫類で、犬や猫などの一部の動物においては、特定人物の占有下にあるか問われない、つまり俗に言う「野良犬、野良猫」でも対象となります。
そして、この動物愛護法の第44条第2項で、動物に対する虐待を禁止しています。
これに違反して動物を虐待すれば「100万円以下の罰金」が科せられるおそれがあるので注意しなければなりません。
ちなみに、猫に向けてエアガンを発射する行為自体が、虐待行為に当たるので、実際に発射したエアガンの弾が、猫に命中するか否かは違反が成立するかどうかに関係ないとされています。

器物損壊罪

虐待した動物が人の所有物だった場合は、刑法第261条に規定されている器物損壊罪が適用されるでしょう。
器物損壊罪とは、他人の物を損壊する事を禁止する法律で、罰則規定は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
損壊とは、物そのものの形を変更又は滅失させる場合だけでなく、その物の効用を害する一切の行為が損壊に当たるとされています。
人が植えた植物を引き抜いたり、飲食店の食器に放尿する行為、人が飼っている動物を故意的に死傷させる行為も器物損壊罪に当たるとされています。

器物損壊罪は親告罪

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪は、被害者をはじめとした告訴権者による告訴がなければ、検察官は起訴をすることができません。
また告訴は、一度取り下げると、同じ犯罪事実で再度告訴することができません。
そのため器物損壊罪のような親告罪逮捕された場合は、検察官が起訴するか否かを決定するまでに、被害者が告訴を取り下げれば、絶対に起訴を免れることができます。

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