殺人未遂罪で逮捕、勾留中の友人を助けるために自首すれば、犯人隠避罪が成立するのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事件
Aさんの友人は、福岡市内で知人のわき腹を包丁で刺したとして、殺人未遂罪で福岡県博多警察署に逮捕され、現在は勾留されています。
実は、逮捕された友人は、刺された知人から恐喝の被害にあっていたAさんを守るために、この事件を起こしたのですが、今のところこの事実を警察は把握していません。
そこでAさんは、逮捕、勾留されている友人を守るために、福岡県博多警察署に「実は刺したのは私です。」と虚偽の自首をしました。
(この事件はフィクションです。)
この参考事件のように、既に逮捕、勾留されている友人の身代わりになろうと警察に自首すれば、どういった刑事責任を問われるのでしょうか?
犯人隠避罪
すぐに思いつくのが犯人隠避罪ではないでしょうか。
犯人隠避罪とは、刑法第103条に規定されている法律で、その内容は以下のとおりです。
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を隠匿し、又は隠避させた者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
まず殺人未遂罪は、罰金以上の刑に当たるので、逮捕、勾留されているAさんの友人は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」に該当するでしょう。
身代わり出頭(虚偽の自首)は隠避?
そして問題となるのは、身代わり出頭(虚偽の自首)が、隠避行為に当たるかです。
そもそも隠避とは、蔵匿以外の方法によって、警察等の逮捕・発見を妨げる一切の行為をいうので、仮に事件を起こした友人が警察に逮捕されておらず逃走中の場合は、Aさんが身代わり出頭(虚偽の自首)すれば、その行為は、隠避行為ととらえることができるでしょう。
ただ今回の事件では、友人は既に警察に逮捕され、勾留まで決定していますので、Aさんが、身代わり出頭(虚偽の自首)したからといって、警察等の逮捕・発見を妨げることはできず、単に、捜査をかく乱するだけのように思われます。
と考えると、既に逮捕、勾留されている友人の身代わり出頭(虚偽の自首)をしたからといって、隠避行為に当たらないようにも思えます。
しかし、犯人隠避罪が規定されている刑法103条は、捜査、審判及び刑の執行等広義における刑事司法の作用を妨害する者を処罰することを目的にしている法律です。
ですから、『罪を犯した者』には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、かかる者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も『隠避』に当たるとされています。
つまり、犯人とされる者が既に逮捕勾留されている状況においても、その者の身代わり出頭(虚偽の自首)をすれば、犯人隠避罪が成立するということになります。
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