一般道でスピード違反した事例を参考に、速度超過でも逮捕される可能性があることを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
参考事例
福岡県嘉麻市で自営業を営むAさんは、ドライブを趣味にしています。
特に昨年、若いころから憧れていたスポーツカーを購入してからは毎週末のように市外にまで足をのばしてドライブを楽しんでいます。
そんなある日のドライブで、Aさんは、道がすいていたので思わずアクセルを踏み込んでしまい、40キロ規制の一般道路を、60キロメートル超過する時速約100キロメートルで走行してしまい、パトカーに停止を求められました。
しかし、逃げ切れるかもしれないと思ったAさんは停止命令に従わず数百メートル逃走しました。
そしてその先の赤信号で停止したAさんは、その場で福岡県嘉麻塚警察署の警察官によって道路交通法違反(速度超過)で逮捕されたのです。
(フィクションです)
道路交通法違反~速度超過~
道路交通法に定められた速度超過の違反は、大きく2種類あります。
一つは指定最高速度違反の罪、もう一つは法定最高速度違反の罪です。
Aさんの場合は、40キロ規制のある道路で速度超過しているので、指定最高速度違反の罪となります。
指定最高速度違反
それでは指定速度違反について解説します。
指定最高速度違反が成立するには
①当該日時に、公安委員会によって適式な道路標識等による最高速度の指定がなされていること
②指定最高速度を超えて走行したこと
に加えて、運転者が上記①、②を認識していることが必要です。
この認識が、指定速度違反の「故意」となり、故意的に速度違反した際の罰則は「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
仮に、運転者に①、②の認識がないと認められる場合は、過失による速度違反の罪に問われることになります。
この時の罰則は軽減され「3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金」です。
それでは、Aさんが違反した道路のように、法定最高速度(60キロメートル)を下回る最高速度指定(40キロメートル)がなされている道路において、Aさんが最高速度の道路標識を看過して(つまり、上記①の認識がなく)、法定最高速度(60キロメートル)を超える速度(100キロメートル)で運転した場合の罪責はどうなるのでしょうか?
その場合
ア 法定最高速度違反の故意犯が成立
イ 指定最高速度違反の過失犯が成立
ウ 指定最高速度違反の故意犯が成立
が考えられますが、裁判例の多くはウ説が採用されています。
~明日のコラムに続く~