シンナーを所持していたとして、毒劇法違反で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
事件内容
左官工をしている少年Aさん(18歳)は、職場の倉庫で保管しているシンナーを盗み出し、隠れて吸引していました。
逮捕された日も、仕事終わりに倉庫からシンナーを持ち出し人目に付かないところで吸引し、残ったシンナーを持って原付で帰宅していたのですが、その道中に信号無視をしたとして、八幡西警察署の警察官に取締りを受けました。
そしてその際に、シンナー臭がしたことから、原付のメットインの中を調べられて吸引目的でシンナーを所持していたことが発覚し、毒物及び劇物取締法違反で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
毒物及び劇物取締法(毒劇法)
毒物及び劇物取締法(「毒劇法」とする)でシンナーの
①無登録販売等
②知情販売・授与
③摂取・吸入・摂取吸入目的所持
を禁止しています。
毒劇法が制定された当初、この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取り締まりを行うことを目的(毒劇法第1条参照)として、毒、劇物の指定と、指定毒、劇物の製造、輸入、販売、取扱い等を規制していました。
そして昭和47年当時、青少年の間でシンナー等の有機溶剤製品の濫用が社会問題化されことから、シンナーの濫用を規制するために、上記事項が新たに禁止されたのです。
かつては、少年の薬物事件の大半を毒劇法事件が占めていましたが、最近は、大麻や、脱法ドラッグ、覚醒剤による薬物事件がほとんどで、Aさんの様にシンナーの吸引目的所持違反で警察に逮捕される少年は減ってきているです。
なお、各禁止事項には、罰則も定められており
①無登録販売等に違反すると「3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの併科」
②知情販売、授与に違反すると「2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科」
③摂取・吸入・摂取吸入目的所持に違反すると「1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又はこの併科」
です。
成人が毒劇法違反で検挙された場合は、この法定刑内で刑事罰を受けることになりますが、再犯を繰り返さない限りは、毒劇法違反で実刑判決となる可能性は非常に低いでしょう。
福岡県の薬物事件に強い弁護士
福岡県内の薬物事件にお困りの方、ご家族が、シンナーの所持で警察に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。