【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)

【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを万引きしたケース)

今回は、福岡市内のコンビニエンスストアで、スティックシュガーなどを盗んだという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンビニのコーヒーマシンからスティックシュガーなどを盗んだケース

福岡県警察博多警察署は、福岡市博多区のコンビニエンスストアにて、店内のコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーや飲料など商品10点1200円分を盗んだとして、福岡市職員のAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
コンビニエンスストアのオーナーから警察に被害届が提出されており、防犯カメラの解析や従業員からの聞き込みなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「万引きしたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,窃盗罪について

〈窃盗罪〉(刑法第235条)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法38条1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
しかし、経済的にも主観的にも価値が認められないような場合には、保護の対象となりません。
判例では、メモ紙1枚(最高裁判決昭和43年3月4日)やちり紙13枚(東京高裁判決昭和45年4月6日)などが財物性を否定されています。
コンビニのコーヒーマシンコーナーにあるスティックシュガーなどの備品・消耗品は、コーヒーマシンの利用客が無料で利用できるものですが、店側はお金を払って仕入れ、利用客に提供しています。
そのため、スティックシュガーなどの備品・消耗品は所有権の対象となり、経済的な価値も認められるため、「財物」に該当すると考えられます。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思窃盗罪毀棄隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、コンビニでスティックシュガーや飲料など商品である「財物」を「窃取」しており、それについて故意も不法領得の意思も認められるため、Aさんには窃盗罪が成立する可能性があります。

2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動

窃盗罪で起訴されて有罪判決をうけると、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられる可能性があります。
このうち執行猶予付き判決や罰金刑であれば身柄拘束を受けずに済みますが、前科は付くことになります。
上記の事例のように、被疑者・被告人が公務員の場合、禁固以上の刑に処せられると、国家公務員であれ地方公務員であれ、公務員となる資格を失い、当然失職となります。(国家公務員法38条1号地方公務員法16条1号参照)
また、罰金刑に処された場合でも、懲戒処分の対象となる可能性があります。(国家公務員法82条1項地方公務員法29条1項参照)
しかし、起訴されなければ、裁判が開かれることはないため、前科が付くことはありません。
そのため、不起訴処分の獲得を実現するための弁護活動を行うことが重要となります。
窃盗罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、上記の事例のように、被害者がコンビニ、スーパーや書店などの場合には、そもそも示談に応じないという姿勢をとっているところも多いです。
しかし、弁護士が粘り強く交渉をすることで、示談に応じてもらえる場合もあります。
また、示談と言っても内容はさまざまであり、事件を当事者同士で解決し、将来の民事訴訟(例えば、損害賠償請求訴訟など)を防止することを内容とする単なる示談や、刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談などがあります。
これらの内容を考慮しながら示談を成立させることは高度の知識や専門性が要求されるため、当事者同士で示談交渉をすることはあまり得策とは言えません。
そのため、示談交渉は、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

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