盗品を譲り受けて逮捕~学校への発覚を回避したい

少年事件の学校への発覚回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市小倉北区の県立高校に通う少年A君は、知人V君からバイクの保管を頼まれました。そこで、A君は自宅の駐輪場にバイクを駐車していたところ、ある日突然、福岡県小倉北警察署の警察官がやってきて警察署に出頭するよう求められました。A君はこれに応じましたが、A君の母親は「今後、学校に発覚するのではないか」「退学させられるのではないか」と心配になって少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

◇盗品等に関する罪◇

盗品と知りつつ、その盗品を他人から譲り受けるなどした場合は犯罪となることをご存じでしょうか?
刑法第39章には「盗品等に関する罪」の規定が設けられており、刑法256条には

盗品譲受け等

に関する罪の規定が設けられています。

刑法256条
1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

◇刑事罰の対象となる行為◇

盗品等に関する罪で処罰の対象となる行為は以下のとおりです。

=無償譲受け=

無償で物の所有権を取得することをいいます。
単に、約束、契約があっただけでは成立せず、現実に物の受け渡しがあってはじめて成立します。

=運搬= 

運搬とは、盗品等を場所的に移転することをいいます。有償、無償は問いません。
移転の距離は、必ずしも遠いことを要しないとされていますが、少なくとも被害者の追求が困難となる程度の場所的移転は必要とされます。

=保管=

委託を受けて本犯(実際に窃盗などの罪を犯した人、本件ではBさん)のために盗品等を保管することをいいます。
無償譲受けと同様、単に、約束、契約があっただけでは成立せず、現実に物の受け渡しがあってはじめて成立します。
当初は盗品等と知らなかったものの、途中からそれと知った場合は、その日以降保管罪が成立します。

=有償譲受け=

盗品等の所有権を有償で取得することをいいます。
有償契約をしただけでは足りず、現実に盗品等を受領したことを要しますが、現実に受領した以上は代金の支払いを受けていなくても成立します。

=有償処分あっせん=

盗品等の売買などの盗品等の法律上の有償処分行為を媒介、周旋することをいいます。
たとえば、Bさんが、Aさんに、バイクを買ってくれる(有償処分)Cさんを紹介した、という場合などがこれに当たります。
なお、媒介・周旋自体は無償、有償は問いません。

◇学校への連絡を回避するには◇

事件が学校に伝わるルートは大きく分けて3つあると考えます。

1つは,マスコミなどによる報道です。
しかし,在宅事件で,かつ事件が比較的軽微の場合,マスコミなどが事件を取り上げる可能性は低いといっていいでしょう。

2つ目は,警察から学校への連絡です。
福岡県では,警察本部が制定した「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」(平成25年1月1日施行)などによって運用しているようです。
これによれば,連絡責任者(警察署長)から学校への連絡にかかる事件は
1 逮捕事案
2 逮捕事案以外の事案で,一定の事由があって,連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
3 児童生徒の犯罪被害に係る事案で,連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
4 児童生徒の善行事案
と定められています。

3つ目は,家庭裁判所調査官から学校への連絡です。
事件が家庭裁判所に送致され,家庭裁判所調査官により調査の対象となれば,調査官が調査のため,学校へ「学校照会書」を送ったり,直接学校関係者とコンタクトをとることも考えられます。

ところで,事件が刑事事件化したとしても全ての事件について警察から学校へ連絡されるわけではないため,学校への連絡を回避したい場合は,事前に警察に申入れを行う必要があります。
また,警察が連絡を控えた場合は,調査官も学校側とコンタクトを取ることを控えるとは思いますが,万が一のために備えて,調査官とも密に連絡を取り合う必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件、少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方は0120-631-811までお電話お待ちしております。無料法律相談等、24時間受け付けております。

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