【事例解説】少年事件とその弁護活動(少年2人がガラスを割り会社の事務所に侵入し車のキーと軽トラックを盗んだケース)

【事例解説】少年事件とその弁護活動(少年2人がガラスを割り会社の事務所に侵入し車のキーと軽トラックを盗んだケース)

今回は、17歳の少年2人がガラスを割り会社の事務所に侵入し車のキーと軽トラックを盗んだというニュース記事を参考に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:少年2人がガラスを割り会社の事務所に侵入し車のキーと軽トラックを盗んだケース

福岡市内の会社事務所のガラスを割って、中にあった会社所有のエンジンキーを使って、軽トラックを盗んだ疑いで少年2人が逮捕されました。
建造物侵入窃盗の疑いで逮捕されたのは、福岡市内在住の少年Aさんら2人で、いずれも17歳です。
警察によりますと、2人は共謀して福岡市内にある会社事務所のガラスを割って侵入しました。
そして中にあった、エンジンキーを手にして、会社が所有する軽トラック1台を盗んだ疑いです。
軽トラックが無くなっていることに気づいた会社の関係者が警察に連絡して、防犯カメラの解析などから、2人を特定して、逮捕しました。
警察は2人のうち、どちらかが会社に出入りしていたものとみて、動機などを調べています。
認否については明らかにしていません。
BS大分放送 4/19(金)10:32配信のニュース記事を参考に、地名や内容を一部変更し引用しています。)

1,建造物侵入罪について

〈建造物侵入罪〉(刑法130条前段)

正当な理由がないのに、…人の看守する…建造物に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入した場合に、建造物侵入罪は成立します。
人の看守する」とは、人が事実上支配管理すること、すなわち侵入を防止するための人的・物的設備を施していることを言います。
侵入」とは、管理権者の意思に反する立ち入りを言います。
建造物」とは、屋根を有し支柱などによって支えられた土地の定着物で、人が出入りできる構造のものを言います。

2,窃盗罪について

〈窃盗罪〉(刑法235条)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します。
財物」とは、財産的価値のある有体物(固体・液体・気体)であるとするのが通説的見解となっています。
電気については、 無体物であるため原則として財物には当たりませんが、「電気は、財物とみなす」(刑法245条)と規定されているため、「財物」と同じように扱われるため、「財物」と同じように窃盗罪の対象とされます。
窃取」とは、他人の占有する財物を、占有者の意思に反して、その占有を侵害し自己又は第三者の占有に移転させることを言います。

3,少年事件の場合に開かれる手続きについて

少年事件では、成人の刑事事件とは異なり、捜査機関が捜査をした結果、犯罪の嫌疑があると判断した場合、事件を家庭裁判所に送致することになっています。(全件送致主義少年法41条42条
また、身柄拘束が少年に与える影響等を考慮し、少年被疑者が勾留の要件を充たしていることに加えて、やむを得ない場合でなければ、検察官は勾留を請求することができません。(少年法43条3項
そして、裁判所も、やむを得ない場合でなければ、勾留状を発することができません。(少年法48条1項
少年事件では、事件が家庭裁判所に送られると非公開の審判という手続きで審理が行われることになり(少年法22条2項)、弁護士は、弁護人ではなく付添人として活動していくことになります。(少年法10条1項

4,審判が開かれた場合の弁護活動

少年事件の審判では、少年被疑者の非行事実に加えて、要保護性も審理の対象になります。
要保護性とは、①犯罪的危険性、②矯正可能性、③保護相当性が認められることを言います。
犯罪的危険性とは、少年の性格や環境に照らして将来再び非行をしてしまう可能性があることを言います。
矯正可能性とは、保護処分による矯正教育を行うことで再び非行を行う危険性を排除することができる可能性を言います。
保護相当性とは、保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であることを言います。
少年事件では、非行が軽微なものであったとしても、要保護性が高い場合には、少年院送致などの重い処分がなされる可能性があります。
そのため、少年事件における付添人としての活動は、非行事実に争いが無い場合には、要保護性の解消が重要となります。
要保護性の解消に向けた活動としては、少年被疑者本人への働きかけを行い、反省を促し、被害者への謝罪の気持ちを持てるようにするといった内面的なものから、少年の事件後の状況を把握したうえで、保護者だけでなく社会活動の場が整っていて、社会内で保護者を含めた「大人」が少年に指導することが期待できるため施設内処遇(あるいは保護処分)は必要ではないとった客観的事情や証拠の収集活動など種々様々な活動が挙げられます。
以上のような活動を行い、少年被疑者がその後の社会生活を送っていくうえで、少しでも有利になるような結果を実現できるよう尽力いたします。

4,まずは弁護士に相談を

福岡県内において少年事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
少年事件の当事者で身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が少年事件の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
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