【事例解説】窃盗罪とその弁護活動(大型書店で雑誌をカバンの中に入れ会計を済ませずに店を出たケース)
今回は、大型書店で雑誌をカバンの中に入れ会計を済ませずに店を出たという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:大型書店で雑誌をカバンの中に入れ会計を済ませずに店を出たケース
福岡県警春日警察署は、福岡県春日市の大型書店で、雑誌5冊(約4000円)をカバンの中に入れ会計を済ませずにそのまま店を出たとして、同市に住むAさんを窃盗の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、防犯カメラを見ていた警備員が不審な動きをしていたAさんを見つけたため警戒していたところ、Aさんが所持していたカバンに商品棚から雑誌を入れ、そのまま店外に出たため、追いかけて捕まえて警察に通報しました。
その後、駆け付けた警察官により逮捕されました。
警察の調べに対して、Aさんは「私が盗んだことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,窃盗罪について
〈窃盗罪〉(刑法第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一般的に万引きと呼ばれる行為は、刑法での窃盗罪に該当します。
そして、窃盗罪は、①他人の財物を②窃取した場合に成立します。
また、上記の他に③故意(刑法第38条第1項)と条文上明記されてはいませんが④不法領得の意思が必要になります。
①他人の「財物」とは、所有権の対象であれば広く保護の対象となります。
②「窃取」とは、占有者の意思に反して財物に対する占有者の占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことを言います。
③故意とは、犯罪事実の認識・認容を言い、窃盗罪の場合は他人の財物を窃取することを認識し、窃取することになっても構わない(認容)していることを言います。
④不法領得の意思とは、Ⓐ権利者を排除して他人の物を自己の所有物として(権利者排除意思)、Ⓑその経済的用法に従いこれを利用・処分する意思(利用処分意思)を言います。
Ⓐの権利者排除意思は、窃盗罪と使用窃盗(例えば、他人の自転車を数分間勝手に乗り回すことなど)を区別するために必要とされます。
Ⓑの利用処分意思は窃盗罪と毀棄・隠匿罪との区別のために必要とされます。
例えば、会社の同僚を困らせる目的で、仕事で使うパソコンを持ち帰った場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法第261条)の成立が検討されることになります。
上記の事例では、Aさんは、大型書店側が所有する「財物」である商品を、自分のバッグに入れて会計を済ませず店を出た行為はスーパーマーケット側の意思に反して商品に対する占有をAさん自身に移していると言え「窃取」に該当します。
そのため、Aさんには窃盗罪が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
窃盗罪は、被害者が存在する犯罪です。
被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分獲得の期待が高まると言えます。
そのため、被害者との示談交渉を試みます。
もっとも、示談交渉は、事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者に対して強い怒りを抱いていることも考えられるため、当事者同士での交渉はあまり得策とは言えません。
加えて、上記の事例のように、被害者が書店やスーパーやコンビニなどの場合は、初めから示談交渉に応じない姿勢をとっていることがあります。
しかし、弁護士が粘り強く交渉することで、加害者が反省・謝罪の意思を有していること、被害弁償や慰謝料を支払う準備があることなどを被害者に対して冷静かつ丁寧に説明することにより交渉に応じていただければ、示談成立の可能性が高まるといえるでしょう。
また、示談と一口に言っても、将来の民事訴訟を予防する単なる示談や、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談、被害届の取下げや刑事告訴の取消を内容に加えた示談など、さまざまな種類の示談があります。
これらを考慮しながら最大限有利な示談を成立させるためには、刑事事件に関する高度な知識や経験が要求されるといえ、当事者同士での示談交渉は難しいといえます。
以上より、不起訴処分獲得のために示談成立は重要な役割を果たしますが、示談交渉は、法律の専門家であり、刑事事件に関する知識や経験が豊富な弁護士に依頼することがオススメです。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県春日市において窃盗罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が窃盗罪の当事者となりお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
窃盗罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が窃盗罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。