線路に置き石と電車往来危険罪

2019-05-14

線路に置き石と電車往来危険罪

福岡県柳川市に住むAさんは、長年交際していた女性と別れ途方に暮れていました。そんなとき、Aさんはこのむしゃくしゃした気持ちを何かで発散したいと思い、自宅近くを走る西鉄電車の線路に拳大の石を4個置きました。そして、Aさんは、線路を通過した大牟田行きの特急列車を停車させました(なお、これにより運休や遅れが発生し、約1万人の脚に影響を出してしまいました)。Aさんは、すぐにその場から逃げましたが、Aさんの行動を一部始終目撃していた人の証言を基に柳川警察署の警察官に電車往来危険罪で逮捕されてしまいました。Aさんのご家族は刑事事件に強い弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

電車往来危険罪とは普段あまり聞きなれない罪名だと思います。しかし、電車自体は私たちにとって身近な交通手段です。その電車の往来の危険を生じさせた場合、どのような責任に問われるのでしょうか?まずは、、電車往来危険罪の罪の内容からご紹介していきたいと思います。

~ 電車往来危険罪 ~

本罪は、刑法125条1項に規定されています。

刑法125条1項
 鉄道もしくはその標識を損壊し、またはその他の方法により、汽車または電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する。

= その他の方法 =

損壊(物理的に破壊してその効用を失わせること)以外の方法であればよく、手段は問わないとされています。

線路上に石などの障害物を置く
・灯火を消す
・偽りの標識、信号を掲げる
・電車自体を工作する

などの行為はいずれも「その他の方法」に当たるとされています。

= 電車の往来の危険を生じさせた =

往来の安全を害すべきおそれのある状態、すなわち、電車等の衝突・転覆・脱線・破壊など、その往来に危険な結果を生じさせるおそれのある状態を発生させることをいいます。このように、実害発生のおそれが生じたことが必要ですが、現に発生したこと、発生する蓋然性・必然性があることまでは要しないとされています(一般的可能性で足りる)。

= 罰則 =

罰則は2年以上の有期懲役で、有期懲役の上限は20年ですから重たい刑ということができます。刑が重たい理由は、電車の往来危険が生じた場合、非常に多くの人の生命、身体の安全が犠牲になる可能性が高く、また、重い罰則を定めておくことで、このような犯罪を行わせないように予防する必要があるからです。

~ 転覆、破壊、死亡させた場合はさらに無期懲役あるいは死刑にも! ~

刑法125条の罪を犯し、

・現に人がいる電車を転覆させ、又は破壊した場合は「無期又は3年以上の懲役」(刑法127条、126条1項)

・現に人がいる電車を転覆させ、又は破壊し、よって、人を死亡させた場合は「死刑又は無期懲役」(刑法127条、126条3項)

に処せられます。
つまり、置き石によっても電車を転覆又は破壊させた場合は「無期又は3年以上の懲役」、それによって人を死亡させた場合は「死刑又は無期懲役」に処せられる可能性があります。

電車往来危険罪は極めて重たい罪だということを今一度確認しましょう!

~ 実刑の可能性が極めて高い ~

実刑を回避する、すなわち、執行猶予を獲得するには裁判で

3年以下の懲役

の判決の言い渡しを受けることが必要となります。ところが、電車往来危険罪の罰則は最低でも2年の懲役ですから、執行猶予を獲得するためのハードルは高いといえます。

~ 民事責任も ~

以上は刑事責任の話ですが、それに加えて民事責任も発生します。民事責任としては鉄道会社に対する不法行為(民法709条)として、電車を停めた時間の長さや影響範囲に応じて損害を賠償する義務(金銭支払い義務)を負います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,電車往来危険罪などの刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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