【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(大型商業施設のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮したケース)
今回は、大型商業施設のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:大型商業施設のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮したケース
福岡県警博多警察署は、福岡市博多区の大型商業施設で別の女性客Vさんのスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、同区在住のAさんを性的姿態等撮影の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、エスカレーターでVさんの背後からスカート内にスマートフォンを差し入れ、盗撮した疑いが持たれているとのことです。
不審な動きに気付いたVさんがAさんを取り押さえ、警察に通報しました。
その後、駆け付けた警察官がAさんのスマートフォン内を確認したところ、盗撮した動画が確認されたため、その場でAさんを逮捕しました。
警察の調べに対して、Aさんは「性的欲求を満たすためにやった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,性的姿態等撮影罪について
〈性的姿態等撮影罪〉
第2条第1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
第1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

いわゆる盗撮行為については、これまでも各都道府県が定める迷惑防止条例などにより処罰の対象となっていました。
しかし、迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰対象が異なるなど、必ずしもこれらの条例などでは対応しきれない場合もありました。
そこで、そのような場合に対応するために、2023年7月13日に「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影等処罰法」と言います。)」が施行され、性的姿態等撮影罪を設けることで盗撮行為を厳罰化し、都道府県ごとに処罰対象が異なるといった状態も解消されることになりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由がないのに、ひそかに、人の性的な姿態を撮影した場合に成立します。
「正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合などが、これに該当すると考えられます。
また、「ひそかに」とは、撮影される者の意思に反して自分の性的な姿態等を撮影されることを言います。
上記の事例では、Aさんは、Vさんのスカート内という「人が身に着けている下着…のうち現に性的な部位を直接または間接に覆っている部分」(性的姿態等)を、Vさんの意思に反してスマートフォンで撮影しています。
また、Aさんの行為は自分の性的欲求を満たすために行われたものであり、「正当な理由」も認められません。
したがって、上記事例におけるAさんの行為には性的姿態等撮影罪(性的姿態等撮影処罰法第2条第1項1号イ)が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
性的姿態等撮影罪は、被害者が存在する犯罪です。
そして、性的姿態等撮影罪を含む盗撮事件において示談の成立は、検察官の終局処分に大きな影響を与えます。
そこで、不起訴処分獲得のために被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は、事件の当事者同士でもできます。
もっとも、性的姿態等撮影罪をはじめとした性犯罪事件では、被害者は恐怖や嫌悪感から自分の連絡先を知られたくない、加害者から直接連絡されたくないと考え、当事者同士での示談交渉は上手くいかないことや、そもそも示談交渉に応じてもらえない可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者に知られることはないことや、加害者が反省・謝罪の意思を有しており、被害弁償をする準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明することで、示談交渉に応じてもらえることも珍しくありません。
そして、示談交渉に応じてもらえれば示談成立の期待が高まります。
また、示談と一口に言っても、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)付き示談や被害届の取下げや刑事告訴の取消しを内容とする示談など、内容は多岐にわたります。
以上より、不起訴処分を獲得するためには示談成立が重要な意味を持ちますが、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えず、交渉は、法律の専門家である弁護士に依頼することがオススメと言えます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識や経験が豊富な弁護士が在籍しております。
性的姿態等撮影罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が性的姿態等撮影罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。