【事例解説】横領罪とその弁護活動(返却期限を過ぎてもレンタカーを返さずそのまま乗り捨てたケース)

【事例解説】横領罪とその弁護活動(返却期限を過ぎてもレンタカーを返さずそのまま乗り捨てたケース)

今回は、返却期限を過ぎてもレンタカーを返さずそのまま乗り捨てたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:返却期限を過ぎてもレンタカーを返さずそのまま乗り捨てたケース

福岡県警は、レンタカーを返却しなかったとして、横領の疑いで福岡市在住のAさんを逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは福岡市内のレンタカー店Vで乗用車1台(60万円相当)をレンタルし、返却期限を1カ月過ぎても返却しなかった疑いが持たれています。
乗用車は、市内のコインパーキングに乗り捨てられているところをコインパーキングの管理会社の職員が発見し、レンタカー店Vに連絡。
その後、レンタカー店Vが警察に被害を届け出、捜査を経てAさんを特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「足代わりに使っていた。」「自分が乗り捨てたことに間違いない」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

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1,横領罪について

〈横領罪〉(刑法第252条)

第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法横領罪は、①自己の占有する②他人の物を③横領した場合に成立します。
また、窃盗罪強盗罪など、他人の占有をその占有者の意思に反して自身または第三者の占有に移転する奪取罪とは異なり、横領罪は既に他人の物が自身の占有下にあるため、保護法益は第一次的には所有権であり、第二次的に物を預けた人との信任関係も保護の対象となります。
そのことから、横領罪は、委託信任関係により他人の物を占有している者という身分を持っている人に成立する犯罪と言えます。
①「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力をいい、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を及ぼす状態にあることを意味します。
法律上の支配とは、法律上自身が容易に他人の物を処分し得る状態にある場合を言います。
例えば、不動産の登記名義人は、当該不動産を自由に処分できる地位にあるため、法律上の支配が認められます。
②「他人の物」とは、他人の所有に属する物を言います。
③「横領」行為とは、不法領得の意思を発現する一切の行為をいいます。
不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
横領」行為は、費消(使い込むこと)、着服(バレないように盗むこと)、拐帯(持ち逃げすること)、抑留(借りたものを返さないこと)などの事実行為だけでなく、売却貸与贈与などの法律行為も含まれます。
上記の事例では、Aさんはレンタカー店Vとの賃貸借契約により乗用車を借りており、当該乗用車の所有者はレンタカー店Vです。(②)
また、借りているAさんには当該乗用車に対して事実上の支配力が認められます。(①)
そして、Aさんは、返却期限を1カ月過ぎても当該乗用車を返却することなく足代わりに使い、乗り捨てています。(③)
以上より、Aさんには横領罪が成立することが考えられます。

2,身体拘束の回避にむけた弁護活動

横領罪で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身体拘束されて捜査機関の取調べを受けることになります。
その間、被疑者は生活を厳しく管理・規制され、家族や友人など外部との自由な接触も制限され、捜査機関の取調べにも一人きりで臨まなければならないなど、身体的・精神的に多大な負担を被ることになります。
また、身体拘束期間中は当然のことながら職場に出勤することもできなくなるので、そのような長期間を無断欠勤すれば、職場から解雇される可能性もあり、身体拘束前の社会生活を送ることができなくなるかもしれません。
しかし、勾留による身体拘束を回避すれば、そのような不利益を受けずに済むかもしれません。
被疑者に勾留の理由と必要性があると検察官が判断した場合、検察官が裁判所に勾留請求します。
検察官の勾留請求を裁判所が認めると、被疑者は勾留されることになり、最長で20日間身柄を身体拘束されることになります。
もっとも、弁護士であれば、検察官と裁判所に対して、意見書を提出することで被疑者勾留をしないようはたらきかけることができます。
勾留による身体拘束の理由とは、被疑者が住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合を言うため、それらの要件を否定し得る客観的な証拠や事情を収集し、意見書と一緒に提出することで、被疑者勾留の回避を目指します。
以上のような弁護活動は、被疑者勾留が決定する前に行う必要があるため、ご家族等が身体拘束されてしまったら、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で横領罪の当事者となってしまった方、あるいは横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
横領罪の当事者となり捜査機関に捜査されているなど身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

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