西鉄電車内での痴漢で犯行を否認
痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市南区に住む会社員のAさん(28歳)は,西鉄天神駅から西鉄久留米駅間を走る特急電車内で,前に立っていた女性の尻や太ももなどに自身の股間を当てる痴漢行為をしました。そうしたところ,Aさんは,通報を受け駆け付けた車掌に声をかけられて西鉄久留米駅でおろされ、事務所に連れていかれました。その後、Aさんは福岡県久留米警察署の警察官に引き渡され、福岡県迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。Aさんは、久留米警察署での取調べで、警察官に「女性に触れたかもしれないが、わざと触れたわけではない。」などと話しています。
(フィクションです)
~ 痴漢行為とは ~
痴漢罪という罪の名前はありませんし,それを定めた法律,条例もありません。
痴漢行為は福岡県迷惑行為防止条例(以下,条例)6条1項が定める行為に当たるおそれがあります。
条例6条1項
何人も,公共の場所又は公共の乗物において,正当な理由がないのに,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 他人の身体に直接触れ,又は衣服の上から触れること
罰則は、
条例11条1項で、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
とされ、さらに常習として痴漢行為をした場合は
条例12条1項で、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金
に処するとされています。
なお、痴漢行為は故意犯ですから,条例違反に問われるには,条例に規定されている行為に加え、痴漢行為の故意,つまり
相手に触れてやろうという意図
が必要です。ですから,満員電車内などでたまたま他人の身体に触れたという状況が認められる場合には,痴漢行為の故意が認められないということになり、条例違反に問われることはありません。
~ どんな要素から痴漢行為の故意が認められるのか? ~
ただ、あなたがいくら「相手に触れる意図はなかった」などと主張しても、客観的事実から痴漢行為の故意を推認されてしまうことがあります。
痴漢行為の故意を推認しうる客観的事実の例としては、
① あなたと相手の位置関係
② あなたと相手の服装、体格
③ 触った際の場所
④ 場所の状況
⑤ 触った箇所、部位
⑥ 触った回数
⑦ 触った際の態様
などが考えられます。①から④については警察の実況見分などによって容易に認められるでしょう。⑤から⑦については、あなたが否認している場合は被害者の供述などから認定されていくことになります。
そこで、あなたと被害者の供述が食い違う場合は、
どちらの供述が信用できるのか
という問題となるのです。
~ 取調べ段階から要注意! ~
そこで、痴漢行為を否認する場合は、取調べの段階から一貫した態度、一貫した主張をすることが非常に重要となります。
仮に、取調べ官の圧力に屈し、態度や主張を変えてしまうと、無実であるものが有罪とされる冤罪の危険を生み出す原因ともなってしまいます。
取調べは外部からとの連絡を遮断されたいわゆる「密室」において行われます。
最近では,取調べの可視化といって,一部の事件に限り,取調べの録音録画を実施しているようですが,痴漢事件において確実に実施されるかどうかは不透明です。
録音録画の実施されていない取調べでは,第三者の目が届きずらく,事後的な検証も困難であることから,捜査官による怒号,威圧,人格を否定するかのような暴言,罵倒を浴びせるなどの行為が行われやすいと言えます。
痴漢事件でも同様のことをされるおそれは十分にありますから、痴漢行為を否認する場合はすぐに弁護士と接見し、弁護士から具体的なアドバイスを受けることが必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。