【事例解説】脅迫罪とその弁護活動(複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したケース)
今回は、複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:複数回にわたって交際相手を電話で脅迫したケース
福岡県警は、交際相手の女性Vさんに対して「包丁で刺し殺すぞ」などと電話で複数回にわたり脅したとして、福岡市在住のAさんを脅迫の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、Vさんに対して複数回にわたって自身のスマートフォンで電話を掛け、「別れたくない」「(別れるなら)包丁で刺し殺すぞ」などと脅迫した疑いが持たれています。
Vさんは電話を録音しており、脅迫された直後に警察に110番通報しました。
警察はVさんから提出された録音データやVさんへの聴き取りなど捜査を経て、Aさんを逮捕するに至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません。」「別れを切り出されカッとなって言ってしまった」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,脅迫罪について
〈脅迫罪〉(刑法第222条第1項)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法の脅迫罪は、①生命、身体、自由、名誉又は財産に対して②害を加える旨を告知して③人を④脅迫した場合に成立します。
脅迫罪における③「人」とは、自然人を言い、④「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することを言います。
また、害悪の告知が相手方に伝わった時点で既遂となり、その結果として相手方が現実に畏怖したかどうかは問われません。
そのため、例えば、職場の同僚に殺害予告を内容とするメールを送ったところ、それを一読した同僚が豪胆な性格であったために畏怖しなかった場合でも、脅迫罪が成立することになります。
また、①加害の対象は、生命、身体、自由、名誉または財産に限定されています。
そして、②告知の方法については何の制限もありません。
そのため、文書、口頭、態度などいずれの方法でもよく、また、行為者が直接相手方に告知する場合でだけでなく、第三者を媒介にして間接的に告知する場合でも脅迫罪は成立します。
上記の事例では、AさんはVさんに対して電話口で、包丁で刺し殺すぞなどVさんの「生命」に対して「害を加える旨告知」し「脅迫」しています。
以上より、Aさんには脅迫罪(刑法第222条第1項)が成立することが考えられます。
2,不起訴処分獲得に向けた弁護活動
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」と定められているため、脅迫罪で逮捕され、その後起訴を経て裁判になり有罪判決を受けると、懲役刑で刑務所に服役しなければならなくなる可能性があります。
また、罰金刑でも前科が付くため、職場からの解雇や就職活動の採用面接時に前科の有無を確認され、不利に働くことも考えられます。
しかし、不起訴処分を獲得できれば、裁判が開かれることはなくなり前科が付くこともありません。
脅迫罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分獲得への期待が高まります。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、脅迫事件を含む犯罪被害者は、被害を受けたことで加害者側に対して恐怖や怒りから強い処罰感情を有しており、また加害者側から直接連絡されることに抵抗感を覚えることなどを考えると、当事者同士での示談交渉は上手くいかないことや、そもそも示談交渉に応じてもらえないこともあり得ます。
しかし、弁護士であれば、被害者の連絡先が加害者に伝わることは無いこと、加害者が反省・謝罪の意思を有していることなどを冷静かつ丁寧に説明することができることから、示談交渉に応じてもらえることや、示談成立の期待が高まります。
以上より、不起訴処分獲得のためには、被害者との示談成立は重要な役割を果たしますが、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えず、法律の専門家であり交渉に強い弁護士に依頼されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において脅迫罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が脅迫罪の当事者となり身柄拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、当該分野において高い実績を誇ります。
脅迫罪の当事者となり在宅事件で捜査機関の捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が脅迫罪の当事者となり逮捕・勾留により身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。