公然わいせつ罪と略式裁判

公然わいせつ罪と略式裁判

公然わいせつ罪略式裁判を受けるメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区に住む専門学生のAさん(20歳)は、ストレス発散のため自己の陰茎を女性に見せようと、夜間、人通りの少ない路上で、自己の陰茎をペンライトで照らしながら歩いていたところ、110番通報され、中央警察署の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の連絡を点けたAさんの父親は、今後のことが不安になり刑事事件専門の弁護士にAさんとの接見を依頼しました。その後、Aさんは勾留され、Aさんに公然わいせつ罪の前歴があったことから正式起訴されておかしくない状況でしたが、弁護人の検察官に対する働きかけによって略式起訴され、罰金20万円の略式命令が出た時点で釈放されました。
(フィクションです。)

~ 公然わいせつ罪 ~

公然わいせつ罪は、公園や路上などの不特定または多数の人がいる、またはいる可能性のある場所で、自己の陰部(局部)を露出させたり、見せつけたりするなどのわいせつな行為をした場合に問われ得る犯罪ですす。刑法174条には、

公然とわいせつな行為をした者は,6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

と規定されています。

「公然」とは、不特定又は多数の者が認識することができる状態をいいます。現実に不特定又は多数の者に認識される必要はなく、その可能性があれば足りるとされています。

公園や路上などの人前での行為

が典型だと思いますが、最近は、YouTubeにわいせつな動画をアップして逮捕される方もおり、このようなインターネットの世界も「公然」に当たるとされています。

判例によれば、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。裸、性器等の露出はその典型といっていいでしょう。

~ 略式起訴、略式裁判とそのメリットは?~

検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。

憲法上、全ての国民には公開の法廷で裁判を受ける権利が認められています。ところが、略式起訴は、いわばその手続きを省略する手続きですから、検察官が略式起訴するには、被疑者からの同意を得る必要があります。
また、仮に略式起訴され、裁判官により略式命令を発せられたとしても、その告知を受けた日から14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます

逮捕から略式起訴、略式裁判までの流れは以下のとおりです。

逮捕→勾留→捜査機関(警察、検察)による捜査→検察官から略式起訴、裁判に関する説明を受け、同意を求められる(勾留期間満了の日のおおよそ2日前)→略式起訴

略式裁判」は、公開の法廷に出頭する必要がなく,裁判官が書面だけで審理を行う裁判のことをいいます。

・懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来,刑務所で服役するおそれがなくなる
・公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる),裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)

というメリットのほか

・略式命令が出た時点で釈放される

という点が最大のメリットです。

仮に、勾留中に正式起訴されると自動的に2か月の勾留が決まってしまいます。その間、釈放を目指す場合は裁判所に保釈請求し、裁判官の保釈許可を得て保釈保証金を納付しなければなりません。
これに対し、勾留中に略式起訴された場合は起訴された日に略式裁判が行われ、基本的にその日に略式命令が発せられます。そして、略式命令が発せられるとその瞬間に釈放されます。

起訴前に釈放が困難な場合は略式起訴を目指すことも一つの方法です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

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