交際相手の部屋で盗撮

2019-01-18

交際相手の部屋で盗撮 

福岡県筑紫野市に住むAさんは,当時交際していたVさん(20歳)の性的な動画を撮ってあとで自分で楽しもうと思い,盗撮用の小型カメラをバックの中に入れ,Vさんが一人で住む自宅アパート(1K)へ行きました。Aさんが玄関ベルを押すと,Vさんが「待ってたよ」と言って気兼ねなく応じてくれたため,AさんはVさん方へ入りました。AさんとVさんは部屋で食事を摂り,お酒を飲みながらいい気分でいたところ,シャワーを浴びて性交することになりました。Aさんは,Vさんがシャワーを浴びている最中,持って来た小型カメラを部屋の片隅に設置し,カメラを起動させました。そして,Aさんがシャワーを浴びた後,二人は性交しました。性交後,Aさんはシャワーを浴びました。そのときでした。Vさんが小型カメラを見つけました。Aさんは,Vさんから問い詰められたあげく小型カメラの動画の内容を確認すると,さきほどの性交時の動画が記録されていました。Aさんは部屋を追い出されました。そして,後日,福岡県筑紫野警察署から,住居侵入罪,軽犯罪法違反の件で呼び出しを受けました。
(フィクションです)

~ 検討1(盗撮行為について) ~

= 福岡県迷惑行為防止条例 =

盗撮と言えば,福岡県迷惑行為防止条例(以下,条例)を思い浮かべる方もおられるのではないでしょうか?しかし,条例では,公共の場所,公共の乗物,その他の公衆の目に触れるような場所(学校の教室,会社事務室,更衣室,貸切バス等)(条例6条2項)の他,公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室,その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいるような場所(ショッピングセンターの授乳室等)(条例6条3項)での盗撮行為を禁じていることから,Aさんの行為が条例に該当することはありません。

= 軽犯罪法 =

次に,軽犯罪法23号(窃視の罪)はいかがでしょうか?
同号では,

 正当な理由がなくて人の住居,浴場,更衣場,便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

を「拘留又は科料」に処する旨定めています。

まず,「正当な理由がなく」と規定されていますが,ひそかにのぞき見たこと自体違法性のある行為ですから,例えば,警察官が捜査の必要性から人の住居をひそかにのぞき見たというような場合でない限り「正当な理由がない」とされることがほとんどでしょう。次に,「人」とは,自分以外の「他人」という意味です。よって,AさんとVさんのように交際しているか否かは無関係です。部屋の一室ももちろん「住居」です。「ような場所」とは,衣服を着けないでいる可能性があれば足りることを示しています。そのような場所であれば,現に人が衣服を着けているかどうか,人がいるかどうかは問いません。また,同号はあくまで「場所」をのぞき見る行為を処罰するものです。最後に,のぞき見るとは第一義的には肉眼で直接見ることを意味すると思いますが,ビデオカメラを設置した行為につき「のぞき見る」に当たる旨判示した裁判例があります(福岡高裁平成27年4月15日判決)。

以上から,Aさんが小型カメラを設置した行為は軽犯罪法23号に当たる可能性が高いです。

~ 検討2(Vさん方に立ち入った行為について) ~

AさんがVさん方に立ち入った行為について,Aさんは住居侵入罪に問われています。

刑法130条前段
 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し(略)た者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

侵入とは,住居等の平穏を害する形で立入ること,すなわち,住居者・看守者の意思又は推定的意思に反して立ち入ることをいいます。Aさんは,アパートに一人暮らしということですから,Aさんが「住居者」ということになります。ただ,AさんがVさん方に立ち入った時点では,VさんはAさんに対し「待ってたよ」と言っていることから,VさんはAさんの立入りに対し承諾していたものと思われます。よって,Aさんの立入りは「侵入」とは言えず,Aさんには住居侵入罪が成立しないようにも思えます。
しかし,このVさんの承諾は,住居者等の任意かつ真意に出たものでなければならないとされています。仮に,VさんがAさんの盗撮目的を知っていたならば,当然,VさんはAさんの立入りを認めなかったでしょうから,Vさんの承諾は真意に出たものとはいえず無効とも思えます。よって,AさんがVさん方に立ち入った時点で,Aさんの行為は「侵入」に当たり,Aさんに住居侵入罪が成立するものと思われます。
なお,Vさんの真意の承諾の下立ち入ったものの,その後お,Vさんから退去を求められたにもかかわらず退去しなかった場合は,不退去罪(刑法130条後段)が成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮などの刑事事件を専門の法律事務所です。盗撮などでお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービス24時間受け付けております。

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