起訴前釈放と起訴後釈放

起訴前釈放と起訴後釈放

起訴前保釈起訴後保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市に住むAさん(34歳)は、車上荒らしの件(窃盗罪)で福岡県久留米警察署に逮捕されました。
Aさんの弁護人に選任された弁護士Xは、Aさんが起訴される前の釈放を目指して活動していましたが釈放は認められず、Aさんは窃盗罪で起訴されてしまいました。そこで、弁護士Xは、起訴後に保釈請求をしてAさんの釈放を目指したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 起訴前釈放 ~

起訴前釈放とは、起訴される前の身柄拘束中に釈放されることをいいます。
つまり、身柄拘束は「逮捕」にはじまり、その後、最大20日間の「勾留」が続くことがありますが、この「逮捕」あるいは「勾留」中に釈放されることを起訴前釈放というのです。

逮捕から勾留の決定が出るまでは、法律上の不服申し立て制度はありませんから、捜査機関や裁判官に対し事実上の働きかけを行って釈放を目指していきます。
勾留決定後は、準抗告などの法律上の不服申し立て制度が用意されており、それらを活用して釈放を目指していきます。

なお、釈放されたからといって、捜査が終了したこと、刑事処分が「不起訴」となることが確約されたわけではありません。
釈放されたのちも、捜査機関から呼び出しを受けたり、場合によっては起訴されることもあることは頭に入れておくべきでしょう。

~ 起訴後釈放 ~

起訴後釈放とは、つまり、「保釈」のことを意味しています。
ここで、保釈とは被告人に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
勾留の効力が一時的に停止されたにすぎない、という点に注意が必要です。

起訴後の身柄拘束期間は起訴前に比べ長期間となることが想定されていることから、起訴後に限って「保釈(請求)」という制度が認められています。

ただし、保釈請求をすれば必ず釈放される、というわけではなく、

①弁護士等が保釈請求をすること
②裁判所が請求を許可すること
③指定された保釈保証金を裁判所に納付すること

ではじめて釈放が認められます。

では、②裁判所はどんなときに保釈を許可するのでしょうか?
この点、刑事訴訟法は大きく「権利保釈」、「裁量保釈」について規定しています。
「権利保釈」とは、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当しない限りは保釈を許可するというものです。
「裁量保釈」とは、たとえ、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当したとしても、裁判所が、「被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度のその他の事情」を考慮し、保釈を許可するというものです。

【参考】刑事訴訟法 89条

1号 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
2号 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪判決の宣告を受けたことがあるとき
3号 被告人が常習として懲役3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したおのであるとき
4号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
5号 被告人が、被害者その他の事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
6号 被告人の氏名又は住居が分からないとき

たとえば、Aさんが常習的に車上荒らしをしていたことが認められるとします。
車上荒らしは窃盗罪に当たる行為であり、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。ですから、このことは89条3号に当たるおそれがあります。したがって、Aさんは「権利保釈」では保釈請求を許可されません。ところが、その次の段階の「裁量保釈」で保釈が許可される可能性は残されているということです。

釈放を目指すならば、刑事事件専門の弁護士に弁護活動をご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

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