【事例解説】建造物侵入罪とその弁護活動(盗撮目的で職場の女子トイレに侵入したケース)

【事例解説】建造物侵入罪とその弁護活動(盗撮目的で職場の女子トイレに侵入したケース)

今回は、盗撮目的で職場の女子トイレに侵入したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:盗撮目的で職場の女子トイレに侵入したケース

福岡県警は、福岡市にある会社Vの女子トイレに盗撮目的で侵入したとして、同社の従業員Aさんを建造物侵入の疑いで逮捕しました。
Vに勤める女性従業員がトイレの個室に小型カメラが設置されていることに気づき、警察に被害を届け出たことで、事件が発覚しました。
その後、聴き取りなどの捜査を経て、Aさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,建造物侵入罪について

〈建造物侵入罪〉(刑法130条前段)

正当な理由がないのに、…人の看守する…建造物…に侵入し…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪は、①正当な理由がないのに、②人の看守する③建造物に④侵入した場合に成立する刑法の犯罪です。
②「人の看守する」とは、個人・法人を問わず、他者が事実上管理・支配していることを意味します。
②「建造物」とは、住宅・邸宅以外の工作物で、屋根があり壁や柱で支えられて土地に定着し、人が出入りできる構造のものをいいます。
例えば、官公庁の庁舎、学校の校舎、工場、駅舎、神社などが「建造物」に該当します。
④「侵入」とは、管理権者の意思に反する立ち入りをいいます。
そのため、管理権者の承諾がある場合には、管理権者の意思に反する立ち入りとはいえず「侵入」には該当しないことになります。
もっとも、立ち入りについて承諾があったとしても、その承諾の範囲外の場所に立ち入れば、その部分については承諾が無いといえるため、「侵入」に該当します。
過去の裁判例では、銀行のATMを利用する他の客のカードの暗証番号などを盗撮する目的で、銀行員が常駐しないX銀行支店出張所に営業中に侵入した場合には、X銀行支店の支店長の承諾を欠くとして、建造物侵入罪が成立するとしました。(最高裁判決平成19年7月2日
また、建造物侵入罪において承諾し得る看守者は、当該建造物の管理権者です。
上記の事例では、AさんはVの従業員として勤務しているため、「建造物」であるVに立ち入ることに問題はないといえます(②,③)。
しかし、AさんがVの女子トイレへの立ち入りは盗撮目的であるところ、Vの管理権者はAさんが女子トイレに立ち入ることについては承諾の範囲外といえるため、AさんのVの女子トイレへの立ち入りはVの管理権者の意思に反する「侵入」に当たります(④)。
また、前述のとおり、AさんのVの女子トイレへの立ち入りは盗撮目的であるため、「正当な理由」もないといえます(①)。
したがって、Aさんが盗撮目的でVの女子トイレに侵入した行為につき建造物侵入罪が成立することが考えられます。
加えて、AさんがVの女子トイレの個室に小型カメラを設置して撮影しようとした行為につき、性的姿態等撮影未遂罪が成立することも考えられます。

2,身柄拘束の回避に向けた弁護活動

建造物侵入罪で逮捕されると、被疑者は警察で24時間、その後検察に身柄を送検されて48時間、身柄拘束され取調べを受けることになります。
そして、検察官が必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求し、認められれば、被疑者は勾留されることになります。
被疑者勾留は、逮捕に比べて身柄拘束期間が長く、原則として10日、さらに必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められるため、最長で20日間身柄拘束されます。
逮捕から計算すると最長で23日間、身柄拘束されることになります。
身柄拘束中、被疑者は生活を厳しく管理・監督され、家族や友人など外部との自由に交流できなくなります。
そして、そのような1人きりの環境で連日続く捜査機関からの取調べに臨まなくてはなりません。
以上から、被疑者勾留により被疑者は大きな負担を抱えることになります。
しかし、被疑者勾留を回避することができれば身柄拘束による負担を減らすことができるといえます。
そこで、弁護士は検察官・裁判官に対して身柄拘束に対する意見書を提出します。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合に認められます。
そこで、弁護士は、被疑者が逮捕されて勾留を請求されている段階であれば、勾留の必要性がないことを示す意見書を提出します。
それにより検察官の勾留を請求しなければ、被疑者は身柄拘束から解放されることになります。
それでも検察官が勾留請求した場合には、裁判官に対して意見書を提出し、勾留決定しないよう働きかけます。
このように、勾留を阻止する機会は2回ありますが、勾留決定されてからではその機会を失うため、逮捕され身柄拘束されてしまった場合にはできるだけ早く弁護士に相談されることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において建造物侵入罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が建造物侵入罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件・少年事件を専門的に取り扱っている法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績を誇ります。
建造物侵入罪の当事者となり捜査機関の捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が建造物侵入罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら