【事例解説】過失運転致傷罪とその弁護活動(怪我をさせひき逃げした架空の事例に基づく解説)

【事例解説】過失運転致傷罪とその弁護活動(怪我をさせひき逃げした架空の事例に基づく解説)

福岡県嘉麻市の路上で横断歩道を歩行中の自営業Vさんが、福岡県嘉麻市在住の会社員Aさんの運転する乗用車にはねられる被害に遭ったという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所東京支部が解説致します。

事例:乗用車で相手を跳ねて逃走したケース

福岡県警察嘉麻警察署は、嘉麻市の路上で横断歩道を歩行中だった自営業のVさんを自分が運転する乗用車ではねて逃走したとして、福岡県嘉麻市在住の会社員Aさんを逮捕しました。
警察の調べによりますと、Aさんは、横断歩道の直前で一時停止することなくVさんをはねた後、車から降りてVさんを見てその場から逃げ去ったとのことです。
警察の調べに対し、Aさんは、「被害者を見ていない。」「車の外で音がしたので、車から降りただけ。」などと供述し、容疑を否認しているとのことです。
なお、Vさんは跳ねられて転倒し、尾てい骨骨折など全治3か月の怪我を負ったとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,過失運転致傷罪について

<過失運転致傷罪>

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし。その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
自動車の運転により人を死傷させる行為等を処罰に関する法律第5条

刑法は原則として故意犯(罪を犯す意思をもってした行為)のみを処罰の対象としています(刑法38条1項)。
過失犯は、過失犯を処罰する規定がある場合に、例外的に、罪を犯す意思がなく不注意で起こした行為であったとしても処罰されます。
過失犯とは、結果回避義務を前提とする注意義務違反であり、結果回避義務とは、結果予見可能性と結果回避可能性によって決定づけられる。
また、注意義務違反とは、注意義務を怠ったことを言います。
上記の例でいえば、Aさんは、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、自動車の運転者は横断歩道の直前で車を一時停止して、前方に注意して、横断歩道の標識等がある場合に歩行者の有無を確認する義務をおっていたにもかかわらず、それらの義務に違反したことになります。
また、その注意義務の前提となる結果回避義務は、結果予見可能性と結果回避可能性から構成されます。
今回の事例で言えば、Aさんは、横断歩道を歩行者が横断しているときに一時停止することなく前方の注意しなければ歩行者をはねてしまうことが予見でき、それが予見できれば歩行者をはねるという結果を回避することができます。
そのため、Aさんは、注意義務の前提となる結果回避義務を負っていたことになります。
以上より、Aさんには過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

<救護義務違反・報告義務違反>

また、交通事故を起こした場合、自動車の運転者には、負傷者を救護し、道路における危険を防止する危険を防止する等必要な措置を講じる義務(救護義務)、そして、事故が発生した日時及び場所等を報告する義務(報告義務)を負います(道路交通法72条1項)。
そして、救護義務に違反した場合は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金道路交通法117条1項)、また被害者の怪我が当該自動車の運転者の運転に起因する場合には10年以下の懲役又は100万円以下の罰金道路交通法117条2項)が、報告義務に違反した場合は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金道路交通法119条1項17号)の刑がそれぞれ科されます。

2,過失運転致傷罪とその弁護活動

過失運転致傷罪で逮捕・勾留されると最長で23日間、身柄を拘束されることになります。
その間、被疑者は取調べを受けることになります。
身柄を拘束されて取調べを受ける際、被疑者は一人であり、肉体的・精神的に大きな負担となるため、まずは被疑者の早期の身柄解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者勾留は逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれ(=犯罪の証拠を隠滅するおそれ)がある被疑者に場合になされます(刑事訴訟法207条1項60条1項)。
そのため、弁護活動としては、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれを否定する事情や客観的証拠の収集活動を行います。
具体的には、被疑者の同居のご家族や親族の方に身元引受人になってもらい監督することで被疑者が逃亡するおそれを否定する事情や、当該犯罪の証拠となり得る物は既に捜査機関に押収されているため、証拠の隠滅はできないという客観的証拠を収集することで、被疑者の早期の身柄拘束を解放できる可能性があります。
また、過失運転致傷罪の場合は法定刑が7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金であり、救護義務違反の場合5年以下の懲役又は50万円以下の罰金道路交通法117条1項)、被害者の怪我が当該自動車の運転者の過失に起因する場合には10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
しかし、弁護活動によっては、不起訴執行猶予を獲得できる可能性があります。
過失運転致傷罪救護義務違反は被害者がいる犯罪であるため、弁護士が被害者に対し被害を弁償し、示談交渉を進め、示談が成立していれば、不起訴処分になる可能性があり前科を回避できます。
仮に起訴されてしまったとしても、示談が成立していれば執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなります。
そのため、過失運転致傷罪救護義務違反で逮捕・勾留されてしまった場合、刑事弁護に関する知識や経験が豊富な弁護士の迅速なサポートを受けることが重要になります。

3,まずは弁護士に相談を

過失運転致傷罪救護義務違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に特化した弁護士が多数在籍しており、過失運転致傷罪救護義務違反でお困りの方からの法律相談を初回無料で承っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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