覚せい剤取締法違反

1.覚せい剤取締法ついて

薬物の全般を規制している一般法は存在せず、それぞれの薬物の種類ごとに法律が制定され、取締まられています。

覚せい剤に関しては、「覚せい剤取締法」において規制されています。

法は,フェニルアミノプロパン(「アンフェタミン」)、フェニルメチルアミノプロパン(「メタンフェタミン」)を覚せい剤としていますが、わが国で覚せい剤として乱用されるのは主にメタンフェタミンです。

 

2.覚せい剤の作用等

① メタンフェタミン(フェニルメチルアミノプロパン)

1. 性状
白色結晶性粉末

2. 用法
注射・吸引・吸煙・服用

3. 薬理作用
中枢興奮・気分高揚・強力な陶酔感

4. 依存性等
強力な精神的依存を形成。妄想型の精神病様症状を発現

5. 起源
麻黄(アジア産植物)⇒抽出⇒エフェドリン(合成)⇒化学反応⇒メタンフェタミン

 

② アンフェタミン(フェニルアミノプロパン)

1. 性状
白色結晶性粉末

2. 用法
注射・吸引・吸煙・服用

3. 薬理作用
中枢興奮・気分高揚・強力な陶酔感

4. 依存性等
強力な精神的依存を形成。妄想型の精神病様症状を発現

5. 起源
麻黄(アジア産植物)⇒抽出⇒エフェドリン(合成)⇒化学反応⇒メタンフェタミン

 

3.覚せい剤取締法の刑罰について

覚せい剤取締法では,覚せい剤の輸入・輸出,所持,製造,譲渡・譲受,使用等が禁止され,それぞれに厳しい罰則が科されています。

覚せい剤を営利目的で輸入,輸出または製造した場合は,法定刑に無期懲役が含まれているため,裁判員裁判の対象事件となります。

 

【覚せい剤】

(1) 輸入・輸出・製造

① 単純(営利目的以外)
1年以上の有期懲役

② 営利目的
無期若しくは3年以上の懲役または情状により1000万円以下の罰金併科

(2) 所持・譲渡・譲受(主に問題となる犯罪です)

① 単純(営利目的以外)
10年以下の懲役

② 営利目的
1年以上の有期懲役又は情状により500万円以下の罰金併科

(3) 施用・使用(主に問題となる犯罪です)

① 単純(営利目的以外)
10年以下の懲役

② 営利目的
1年以上の有期懲役又は情状により500万年以下の罰金併科

 

【覚せい剤原料】

(1) 輸入・輸出・製造

① 単純(営利目的以外)
10年以下の有期懲役

② 営利目的
1年以上の有期懲役又は情状により500万年以下の罰金併科

(2) 所持・譲渡・譲受

① 単純(営利目的以外)
7年以下の懲役

② 営利目的
10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金併科

(3) 施用・使用

① 単純(営利目的以外)
7年以下の懲役

② 営利目的
10年以下の懲役又は情状により300万円以下の罰金併科

 

4.具体的検討

(1)覚せい剤がもたらす社会問題

① 幻覚、妄想などによる犯罪の発生

覚せい剤により幻覚、妄想などの精神障害が原因となり、自殺を図ったり、交通事故や放火、強盗、殺人のような凶悪犯罪を引き起こすことがあるほか、薬物購入の資金を得ようと、強盗や窃盗などの犯罪を引き落とすことが少なからずあります。

② 暴力団等の活動資金源

暴力団は、国際的な薬物犯罪組織から薬物を密輸入し、組織的に密輸入し、組織的に密売しているが、流通過程のすべてを統括している組織は存在しないとみられる。

密輸入された薬物は、支配する元売、中間卸及び小売り等の段階を経るが、これらの過程に暴力団等の犯罪組織が関与して莫大な利益を上げ、これを活動資金源としています。

また、近年、来日外国人組織が、多額の利益の獲得をもくろんで、覚せい剤その他の違法薬物の密売に深く関わっています。

 

(2)薬物からの離脱のための方策

覚せい剤は使用した時の快感を再び求めたいという欲求や、覚せい剤の効果が切れたときの疲労感、倦怠感から逃れたいとの欲求が強いことから、繰り返し覚せい剤を使用してしまうことが多いです(精神的依存症)。

覚せい剤常習者になると、覚せい剤精神病の状態になり、意識がはっきりとした状態において、幻覚、妄想等の妄想型統合失調症に近い症状が現れたり、時には錯乱状態になって、発作的に他人に危害を加えることもあります。

人格面では、過敏、不安となり、怒りっぽく、些細なことで激怒する傾向が認められ、これがさらに発展すると、被害妄想、注察妄想(誰かに監視されている妄想)などが現れます。

また、使用をやめても、睡眠不足や過労、ストレス、飲酒などをきっかけに、突然、幻覚や妄想等の精神障害が現れるフラッシュバックが起こることがあります。

このように、覚せい剤事犯においては、依存症となって使用をやめられないことが多々あり、治療やカウンセリングにつなげ、薬物を止められる環境を作ることが大切です。

カウンセリングには、精神科医や臨床心理士等の専門家によるカウンセリングも考えられます。

また、薬物依存リハビリテーションセンター(例えばDARC)等に通うことも有益です。更に、専門の治療医院に入・通院することも挙げられます。

例えば、早い段階から弁護士をつけて、身体拘束開放活動(保釈)を行い、保釈中から治療を始めることは非常に有益です。

 

(3)量刑上の考慮要素

使用罪については、使用量、使用回数、使用期間、使用方法等が重視され、依存性、親和性の程度を判断することになります。

覚せい剤事犯においては、乱用者は1回あたり通常、約0.02~0.03グラムを0.25ccの水に溶かして静脈注射するとされていますので、1回あたりの使用量が上記量を超えている場合には依存性が高いと判断されることになります。

このような場合には、少しでも早く治療に専念することが重要です。

治療機関を利用しての真剣な薬物離脱をアピールすることで、有利な処分を得ることができますし、人生の再出発にも大きなメリットがあります。

 

5 弁護活動

(1)情状弁護

覚せい剤取締法違反の事実について、犯行を認めて反省の態度を示していること、使用・所持の量が微量であること、薬物使用の常習性・依存性がないこと、家族などの監督により再犯可能性がないこと等を積極的にアピールしてゆき少しでも軽い処分を目指します。

また、薬物犯罪については、専門家等の医療機関を利用することで治療につなげることも重要です。

覚せい剤は依存性の高い薬物なので、再犯を防止するためには、個人の努力のみならず、家族や専門機関を含めた周囲からのサポート体制があることも有利な事情になります。

 

(2)争いのある事件

覚せい剤の所持や譲り渡し等の事件では、たとえば中身を知らされず運ばされた場合のように、違法な物とは知らずに行った行為で検挙されることが考えられます。

違法性の認識については、それが覚せい剤であるという認識までは要求されず、違法な薬物であるという程度の認識で足りるとされているため、知らなかったという弁解はなかなか通用しませんが、本当に知らなかったような場合には、犯罪が成立しないのですから、客観的な状況をもとに無実であることをしっかりと主張する必要があります。

また、捜査過程に違法があれば、それをもとに証拠採用について争うことにより有利な結果を得ることができる可能性も広がります。

 

(3)身柄解放活動

覚せい剤取締法違反事件で逮捕・勾留されてしまった場合でも、適切な取調べ対応とともに、特に証拠隠滅のおそれがないことや逃亡のおそれがないことを示す事情を示すことで早期の身柄解放につなげます。

 

(4)裁判員裁判について

営利目的の輸出・輸入・製造の場合には、裁判員裁判対象事件となります。

裁判員裁判では、連日の集中審理が行われますので、そのために入念な事前準備が必要となります。 

裁判員裁判において、充実した弁護を行うためには、高い弁護技術が求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、数多くの刑事事件の経験を基に、裁判員裁判についてもお力になれるはずです。

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