【事例解説】威力業務妨害罪とその弁護活動(飲食店で迷惑行為を行う動画を撮影しSNSに投稿して店の業務を妨害したケース)

【事例解説】威力業務妨害罪とその弁護活動(飲食店で迷惑行為を行う動画を撮影しSNSに投稿して店の業務を妨害したケース)

今回は、飲食店において水の入ったピッチャーのふたを舐めるなどの迷惑行為を行う様子を動画で撮影し、それをSNSに投稿して店の業務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:飲食店で迷惑行為を行う様子を動画で撮影しSNSに投稿して店の業務を妨害したケース

福岡市中央区にある飲食店において、迷惑行為を行う様子の動画がSNSに投稿された事件で、福岡県警察中央警察署は、福岡市在住の大学生Aさんら3人を威力業務妨害の疑いで逮捕しました。
中央警察署の発表によりますと、Aさんらは、水の入ったピッチャーのふたを舐めるようなしぐさをする様子をスマートフォンで動画を撮影し、SNSに投稿したところ、投稿された動画が拡散された動画により店側に苦情の対応などをさせて業務を妨害した疑いが持たれています。
警察の調べに対し、Aさんらは動画の撮影と投稿を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,威力業務妨害罪について

〈威力業務妨害罪〉(刑法234条)

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法に定められた威力業務妨害罪は、①威力を用いて②の③業務を④妨害した場合に成立します。
①「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を言い、暴行・脅迫を用いる場合のみならず、それに至らない程度の威迫行為を用いる場合にも「威力」に該当します。
過去の裁判例では、猫の死骸を事務所の机の引き出し内に入れておいて被害者に発見させた場合(最高裁判決平4年11月27日)や教室で授業中の大学講師に対して大きな声で質問し続けた場合(大阪高等裁判所判決昭和58年2月1日)などが、「威力」に該当するとしています。
②「」には、自然人のみならす法人も対象となります。
③「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業を言います。
④「妨害」とは、業務の平穏かつ円滑な遂行を害するおそれのある行為を言い、実際に業務遂行の妨害したことは必要となりません。

2,身柄解放・不起訴処分獲得に向けた弁護活動

威力業務妨害で逮捕・勾留されると、最長で23日間、身柄を拘束されて捜査機関による取調べを受け、検察官により起訴・不起訴が判断されます。
そこで、まず、早期の身柄解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者段階における勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そのため、弁護活動としては、それらの要件を否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張していくことが考えられます。
例えば、被疑者が定まった住居を有しない場合には、ご家族や親族の方にお願いして被疑者の身柄を引き受けてもらうなど環境調整を行い、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となるため、それらを捜査機関や裁判所に対して主張していきます。
また、上記の事例のように、犯罪行為に使われたスマートフォンやパソコンなどの電子端末が捜査機関に既に押収されている場合には、被疑者による証拠隠滅は困難であるため、剃証拠隠滅のおそれを否定し得る客観的な事情であると言えるでしょう。
以上のような弁護活動を行い早期の身柄解放を目指します。
威力業務妨害罪は、被害者が存在する犯罪でもあるため、被害者との示談交渉が重大な弁護活動の1つでもあります。
示談交渉は加害者側と被害者側の当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での示談交渉は拗れて上手くいかない可能性があります。
そこで、弁護士が加害者の立場から、被害者に対して反省・謝罪の意思を示し、被害の弁償を行うことで示談の成立を目指します。
示談が成立し被害者が加害者側を許していれば、起訴猶予による不起訴処分の獲得が期待できます。
そのため、反省・謝罪の意思を示し被害弁償を行うだけでなく、宥恕条項(加害者の謝罪を受け入れ加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの約定を加えた内容での示談を成立させることが必要不可欠です。
また、示談が成立すれば、不起訴処分の獲得が期待できるだけでなく、捜査機関や裁判所から被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれは低いと考えられ、早期の身柄解放も期待できます。
もっとも、示談は、逮捕されてから起訴・不起訴が決められるまでの間に成立させていることが重要であり、起訴されてしまうと前科が付く可能性があり、職場からの解雇や転職活動、婚姻関係の解消(離婚)など、その後の人生に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。
そのため、威力業務妨害罪で逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合や、身柄拘束を受けない在宅事件として捜査が進んでいる場合には、少しでも早く弁護士に相談することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において威力業務妨害罪の当事者となり在宅事件で捜査を受けている、あるいはご家族等が威力業務妨害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しております。
そのため、威力業務妨害罪の当事者で在宅事件として捜査を受けているなど身柄を拘束されていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が威力業務妨害罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

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