風営法違反・風適法違反

1.風営法・風適法

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の略称です。

風営法は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために風俗営業及び性風俗特殊営業等について、営業時間・営業区域等を制限し及び年少者をこれらの営業所へ立ちいらせることを規制するとともに、風俗営業の健全化に資するためその業務の適正化を促進する等の処置を講ずることを目的としています。

2.罰則

風営法(風適法)の違反で、最も多いのが無許可営業です。

また、風俗営業の許可を取得する際に、虚偽の事実で申請をしたり、実際の営業者とは別の者が許可を受け、営業者に名義を貸したりする行為も風営法(風適法)による規制の対象です。

これらの他にも、風俗店に、18歳未満の者を働かせたり、客として入店させたりした場合など、風俗営業に関する様々な行為が風営法(風適法)上の規制対象とされています。

主な風営法違反の罰則は、下記のとおりです。

(1)風俗営業の無許可営業

風俗営業の無許可営業
虚偽・不正手段による許可の取得
名義貸し禁止違反
営業の停止等処分の違反
店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等営業など
⇒2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又はこれらの併科(風営法49条)

(2)構造設備の無承認変更・不正手段による承認の取得

18歳未満の者に接待行為をさせること
18歳未満の者を客とすることなど
⇒1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科(風営法50条)

(3)客引き(つきまとい、立ちふさがり行為を含む)

⇒6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科(風営法52条)

(4)広告制限地域に広告物を設置した

従業者名簿の備付け義務違反等
従業者の身分確認規定の違反
公安委員会への報告義務違反や警察官の立ち入り妨害など
⇒100万円以下の罰金(同風営法53条)

(5)許可申請書等の虚偽記載

深夜酒類提供飲酒店営業の無届営業など
⇒50万円以下の罰金(風営法54条)

(6)営業許可証の掲示義務違反

風俗営業に係る変更届出書提出義務違反など
⇒30万円以下の罰金(風営法55条)

3.性風俗関連特殊営業に関する規制

特定の種別の営業について、これを「性風俗関連特殊営業」と定義し、風俗営業とは異なり届出制としています。

性風俗を公安委員会が「許可」するのは適当でないという理由からです。

(1) 無届営業

⇒6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)

(2) 店舗型に係る営業所の禁止区域等営業

⇒2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科あり)

(3) 店舗型に係る営業所の禁止区域等営業

⇒2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科あり)

(4) 18歳未満の者を風俗営業等において従事させること・客とすること

⇒1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)

(5) 広告制限区域等における看板の設置

⇒100万円以下の罰金

(6) 客引き(「立ちふさがり、つきまとい行為」も含む)

⇒6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)

(7) 店舗型・無店舗型性風俗特殊営業の無届業者による広告宣伝

⇒100万円以下の罰金

(8) 外国人ホステスの就労資格の確認義務懈怠

⇒100万円以下の罰金

4.行政処分について

風営法に違反した場合、刑事罰以外にも行政処分が下される可能性があります。

具体的には、違反の態様により「許可取消し」「営業停止」「指示」という3つの処分を行うことができます。

5.福岡県風俗案内業の規制に関する条例

(1)条例の目的

清浄な風俗環境を保持し、及び青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗案内業について、風俗案内を行うことのできる地域等を制限し、及び青少年に風俗案内所を利用させること等を規制し、もって県民が安心して暮らすことのできる健全な生活環境の形成に資することを目的としています。

(2)風俗案内業

「風俗案内業」とは、施設又は設備(風俗案内所)を設けて、接待風俗営業又は性風俗特殊営業の店舗等の風俗案内を行う業をいいます。

接待風俗営業の例としてはキャバクラが挙げられます。

また、性風俗特殊営業の例としてはファッションヘルスやソープランドが挙げられます。

(3)禁止事項と罰則

①名義貸しの禁止
自己の名義をもって、他人に風俗案内業を行わせてはいけません。
→6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

②特定の性風俗特殊営業の風俗案内の禁止
福岡県の全域で、特定の性風俗特殊営業(例えば、店舗型ファッションヘルス、派遣型ファッションヘルス)の風俗案内をおこなってはいけません。
→6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

③特定の地域における風俗案内の禁止
都市計画法に定める住居地域等で風俗案内を行ってはいけません。
→6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

④18歳未満の青少年の雇用禁止
18歳未満の青少年を風俗案内業に係る業務に従事させてはいけません。
→6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

⑤18歳未満の青少年の利用禁止
18歳未満の青少年に風俗案内所を利用させてはいけません。
→6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

(4)その他、罰則

①風俗案内所ごとに従業者名簿を備え、必要な事項を記載しておかなければいけません。
→20万円以下の罰金

②対象営業の許可等の有無を確認するとともに、風俗案内所ごとに風俗営業等確認簿を備え、必要な事項を記載しておかなければいけません。
→20万円以下の罰金

(5)遵守事項

福岡県の条例では、風俗案内業を行う上での遵守事項を定め、これに違反した者に対する行政処分を整備しています。

① 事業時間の制限
原則、午前0時から日の出時までは行ってはいけません。
② 騒音の規制
③ 性的感情を刺激する図画等の表示等の禁止
④ 卑わいな行為を行う接待風俗営業の風俗案内の禁止
⑤ 風俗案内の契約締結、解除等に関し、人を威迫することなどの禁止
⑥ 清浄な風俗環境を害する方法での風俗案内の禁止

~風営法違反における弁護活動~

1 身柄拘束を解く

風営法違反事件で逮捕・勾留されてしまった場合には、事案に応じて、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し、釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行います。

2 正式裁判にならないための弁護活動

風営法違反の事実に争いがない場合でも、起訴猶予による不起訴処分又は略式裁判による罰金処分になるように(正式裁判にならないように)弁護活動を行います。

具体的には、違反行為の態様、利益額、期間と回数、経緯や動機、前科・前歴などを慎重に検討して、酌むべき事情があれば警察や検察などの捜査機関に対して主張していきます。

3 情状弁護

風営法違反行為を行って正式裁判になった場合は、裁判所に対して、上記事情に加えて、風営法違反事件の再発防止のための具体的な取り組みや環境作りが出来ていることを主張・立証して、減刑又は執行猶予付き判決を目指す弁護活動を行います。

4 否認事件

身に覚えがない風営法違反(風適法違反)の容疑を掛けられてしまった場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分又は無罪判決が獲得できるよう主張する必要があります。

アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出したり、客観的証拠から経営に関与していないことを指摘するなど風営法違反を立証する十分な証拠がないことを主張することが重要になります。

風営法・風適法違反でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行い、少しでも事件が発覚することがないように適切かつ・有益なアドバイスを致します。

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