【事例解説】不同意わいせつ罪とその弁護活動(路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース)
今回は、福岡県春日市の路上で女性の背後から近づき、手で口をふさいで胸を触るなどわいせつな行為をしたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:路上で女性の口を手でふさぎ胸を触ったケース
福岡県春日市の路上で女性の胸などを触ったとして、春日警察署は春日市在住の会社員Aさんを不同意わいせつの疑いで逮捕しました。
春日警察署によりますと、Aさんは、帰宅途中だったVさんに背後から近づき、手で口をふさいだうえで胸を触るなどわいせつな行為をした疑いが持たれています。
調べに対し、Aさんは「間違いありません」と容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,不同意わいせつ罪について
〈不同意わいせつ罪〉(刑法176条1項)
次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
刑法の不同意わいせつ罪は、①1号から8号までに該当する行為又は事由若しくはこれらに類する行為又は事由により、②同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、③わいせつな行為をした者は、④婚姻関係の有無にかかわることなく成立します。
被害者が同意をしない意思を(1)形成し(2)表明し若しくは(3)全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることとは、以下のような場合をいいます。
(1)被害者が同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかを考えたり、決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと自体が難しい状態を言います。
例えば、アルコールや薬物等の影響により正常な判断ができない状態にある場合などです。
(2)被害者が同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を持つことはできたものの、それを外部に表すことが難しい状態をいいます。
例えば、職場の上司や経済的に優位にある者に、その地位を利用して不利益が生じる可能性などを言われることで、拒否することができなくなっている状態にある場合などです。
(3)被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を外部に表すことはできたものの、その意思のとおりになることが難しい状態をいいます。
例えば、加害者側の暴行や脅迫などにより抵抗することができない状態にある場合などです。
(参照:法務省 性犯罪関係の法改正等Q%A Q4A4)
そして、わいせつな行為とは「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいいます。
具体的には、無理矢理抱きついたり、身体に触ったり、陰部に触るなどの行為が該当します。
上記の事例では、AさんはVさんの背後から近づき、口をふさぐという「暴行」を用いてVさんが「同意しない意思を…全うすることが困難な状態」にさせて胸を触るという「わいせつな行為」をしているため、Aさんには不同意わいせつ罪が成立することが考えられます。
2,示談交渉について
不同意わいせつ罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者との示談交渉を試みます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、不同意わいせつ罪などの性犯罪関係の場合、被害者は加害者に連絡先を知られたくないと思うこと、そして被害者は加害者から直接連絡されることに恐怖や不安を感じて示談交渉を拒否する可能性が高いと言えます。
しかし、守秘義務を負う弁護士であれば、被害者の方に連絡先が加害者に知られないことを説明して、安心して示談交渉に応じていただける可能性が高まるといえます。
また、示談も内容はさまざまであり、宥恕(加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないという意味)付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げを内容に加えた示談などがあります。
もっとも、これらの内容を加えた示談を成立させるためには、刑事事件に対する高度な知識や経験が要求されるため、示談交渉は交渉のプロである弁護士に依頼することをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県春日市において不同意わいせつ罪の当事者となってしまった方、あるいは家族・親族が不同意わいせつ罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡市支部には刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、不同意わいせつ罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を経験し、当該分野において高い実績がございます。
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