【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(バスの運行会社のコールセンターに無言電話をかけ会社の業務を妨害したケース)
今回は、バスの運行会社のコールセンターに無言電話をかけ続け、対応に当たる職員らの業務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:バス会社のコールセンターに無言電話をかけ会社の業務を妨害したケース
2024年2月から約1か月の間に、およそ500回も無言電話をバスの運行会社Vにかけ続けて業務を妨害したとして、福岡市中央区在住の会社員Aさんが偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは約1か月の間、自分のスマホを使って福岡市中央区のVの営業所におよそ500回にわたり無言電話をかけ続け、転送先であるコールセンターで対応に当たる職員らの業務を妨害した疑いが持たれています。
警察の調べに対し、Aさんは「仕事でストレスを抱えていて、その発散目的でやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,偽計業務妨害罪について
〈偽計業務妨害罪〉(刑法233条後段)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
偽計業務妨害罪は、刑法に信用毀損罪とともに定められており、虚偽の風説を流布または偽計を用いることにより、人の信用を毀損した場合には信用毀損罪が、業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立することになります。
「虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
例えば、そのような事実は無いのに、「あのスーパーで取り扱っている生鮮食品はすべて消費期限が切れている」という噂を、不特定又は多数人に広めた場合などが「虚偽の風説を流布」に該当します。
「偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。
人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用する「偽計」には、例えば、インターネットの掲示板に虚偽の犯行予告を書き込んだ場合などが挙げられます。
計略や策略を講じるなど威力以外の不正な手段を用いるものとしては、上記の事例のように比較的短期間で多数回の無言電話をかけ続けることなどが挙げられます。
「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業をいいます。
そして、「妨害」の結果は実際に業務が妨害されることは必要ではなく、業務の平穏かつ円滑な遂行が妨害されるおそれのある行為がされれば、偽計業務妨害罪は成立します。
このように、犯罪の結果が実際に発生しなくても、結果が発生するおそれがあれば犯罪の成立が認められる犯罪のことを抽象的危険犯といい、偽計業務妨害罪や現住建造物等放火罪などがあります。
2,偽計業務妨害事件における示談交渉
偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪なので、被害者との間で示談交渉を試みます。
被疑者が罪を認めている等の事情があれば、被害者に対する謝罪や弁償等を行うことで示談交渉を進めることができます。
示談交渉はただ被害の弁償や謝罪を行えばいいという訳ではなく、被害者側の意向をくみ取りながら宥恕条項(被害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届や刑事告訴をしている場合には被害届の取下げや刑事告訴の取消しといった約定を加えた示談を成立させる必要があります。
そして、示談交渉は当事者同士でも行うことができますが、当事者同士での交渉は拗れることが多く、また、上記の事例のように、被害者が会社などの場合は業務が妨害されたことで会社が被る損害の額が大きくなる可能性があり、示談交渉が難航するおそれがあります。
そこで、法律の専門家で示談交渉に関するノウハウが豊富な弁護士に依頼して、少しでも有利な結果が実現できるような示談交渉を試みることが肝要です。
3、まずは弁護士に相談を
福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が偽計業務妨害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
偽計業務妨害罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が偽計業務妨害罪の当事者なり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。