福岡県青少年育成条例の淫行罪
福岡県飯塚市に住む会社員のAさん(40歳)は,SNSで知り合ったVさん(16歳)が18歳未満の者であると知りながら,Vさんと福岡県飯塚市内のホテルへ行き,そこでVさんと淫行しました。そうしたところ,数か月経って,Aさんは,福岡県飯塚警察署に,福岡県青少年健全育成条例違反で逮捕されました。Aさんは,接見に来た弁護士に,「Vさんとは交際中だったので逮捕には納得いかない」などと話しています。
(フィクションです)
~ 淫行罪 ~
= 淫行罪に関する規定,罰則 =
淫行罪については,福岡県青少年健全育成条例(以下,条例)31条1項に規定があります。
条例31条1項
何人も,青少年に対し,いん行又はわいせつな行為をしてはならない。
※青少年=18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有されるとされる者を除く。)
また,罰則については,条例38条1項1号に規定があります。
条例38条 次の各号のいずれかに該当する者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
1号 31条1項の規定に違反した者
つまり,淫行罪に問われた場合は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があるのです。
= いん行って何に? =
「いん行」の意義についてはかつて,最高裁が次のように判示しています(昭和60年10月23日)。
広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為
事例を見ると,AさんがVさんを誘惑,威迫,欺罔・困惑したり,心身の未成熟に乗じた不当な手段を用いたという事実はなさそうです。では,「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っていた」と言えるでしょうか?この点,Aさんは「交際中だった」と主張し,「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っていた」点を否認しているようです。
~ 交際中だったと主張しても意味がない!? ~
刑事事件においては,いくら「評価」を主張しても検察官や裁判官を納得させることはできません。あくまで,評価の根拠となる理由,事実関係を的確に主張,立証する必要があります。本件においては,「交際中」ということがいわゆる「評価」に当たるわけですが,ではなぜ,Aさんが交際中と考えているのか,交際中と考える理由,事実関係が重要となってきます。具体的には以下の事実関係を検討すべきと思われます。
1 行為者と青少年との年齢差
→年齢差が極端に開いている
2 行為者と青少年との関係
→会社員,社会人と学生など
3 行為者と青少年とが知り合った経緯
→出会い系サイトやSNSで知り合ったなど
4 知り合ってから淫行に至るまでの経緯,動機
→初めて会った日が初顔合わせなのに,その日に淫行したなど
5 淫行の内容,頻度
→淫行の内容が専ら行為者の性的嗜好,会った日に必ず淫行するなど
6 交際ややり取りの内容
→淫行,性的なやり取りがメイン,真剣な交際らしい出来事が少ない,皆無など
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,淫行罪をはじめとした刑事事件専門の法律事務所です。ご家族が淫行罪で逮捕されお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談・初回接見サービスを24時間体制で受け付けおります。